[市況]
12日の、NYDowと、NASDAQは大幅上昇しました。13日の日経平均先物は、前日比200円高で寄り付きました。前場は寄り値を挟んで小幅に上下する動きでした。後場は買いが優勢となり、最終的に270円高で終わりました。日経平均は226円高で引け、出来高は22.7億株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、50万株の買い越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅が縮小しました。個別銘柄に関しては「売り」が有利な状態ながらボトムアウト感があります。
12日の米国市場では、ユーロ圏の1-3月期のGDPが前期比0.2%増加し、市場予想を上回ったことや、ポルトガルが無難に国債発行を終えたこと、スペインによる財政赤字の追加削減策も評価されたことで、欧州市場が落ち着き、米市場でも買い安心感を誘いました。投資家向け説明会で2015年までに1株利益を倍増させると発表したIBMが4%超上昇するなど、ハイテク株の一角が上昇しました。
13日の日本市場では、欧州信用不安の後退で、米国市場が急落前の水準を回復させたことを受けて、朝方から買いが先行しました。節目の10500円を超える水準では上値の重さを示す場面もありましたが、後場に入るとアジア市場の堅調推移も買い安心感を誘い、上げ幅を拡大させました。また、決算発表での好業績銘柄への物色意欲も強まる展開となりました。
[テクニカル視点]
日経平均は、25日線、9日線の下に在ります。短期トレンドは赤信号が点灯しています。総合乖離率は-0.8%とマイナス幅を縮めました。200日線との乖離率は+2.7%とプラス幅を拡げました。日経平均は一目均衡表の雲の中に在ります。1つの要素がプラスですので、中期的トレンドは黄信号が点灯しています。また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線、75日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表の雲の下に在ります。
NYDowは200日線、75日線、9日線の上に在りますが、25日線の下に在ります。一目均衡表では雲の上に出ました。NASDAQは、200日線、75日線、9日線の上に在りますが、25日線の下に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。米国市場の短期トレンドは赤信号から黄信号に変りました。中期トレンドは黄信号から青信号に変りました。
テクニカルな指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が6.6ポイント割安であることを示しています。日本市場の割安幅は変化ありません。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2010年の予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が1.4ポイント割高となっています。
市場は現在、「米国の景気と雇用状況と金融規制の影響」、「欧州の財政赤字国の拡大とユーロ安の行方」や「中国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。米国の1月~3月期のGDPは予想どおりの伸びで、米企業の1月-3月期決算発表は、概ね好調でした。経済指標では、4月の連銀製造業景況感指数、4月の景気指数、消費者信頼感指数、4月のISM製造・非製造業景況感指数、小売売上高は市場予想を上回りましたが、4月の消費者態度指数、3月の鉱工業生産指数は低下しました。4月の失業率は9.9%と増加したものの、雇用者数が29万人増と事前予想より多くなり2ヶ月連続で改善傾向を示しました。一方、住宅関連では、3月の新築一戸建て販売件数が前月比26.9%の大幅増となり、市場予想を大幅に上回り、3月の住宅着工件数も3ヶ月連続で改善しました。2月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数も改善傾向でした。3・4月の景気指標は改善傾向ながら、消費者マインドは横ばいのままのようです。中国の不動産高騰に伴う金融引き締めや、元の切上げ観測の影響も、まだ注視する必要がありそうです。
米大手銀行の好決算が相次ぎ、資本不足問題は、一旦解消したものの、変って、ギリシャを初めとするEU各国の財政赤字拡大が債務不履行懸念を生み、新たな金融不安が生じています。EU各国は緊急支援基金の設立で合意しましたが、これで、沈静化するかどうかは不透明です。さらに、英国・米国のソブリン・リスク問題も議論され始め、長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下、FRBの低金利政策は継続されています。引き続き、金融機関の株価の推移や企業業績の推移に留意することが肝要です。
ちなみに、シティグループの株価は12日、若干上昇しました。(昨年1月高値7.59ドル・昨年3月安値1.02ドルに対し、現在4.18ドル)。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが21.2、PBRが1.32、ROEが6.2%となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、米国市場の上昇に連動して上げました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-1.9%%となり、日経平均は210円の割安で、割安幅は縮小しました。プレミアム値は、ここ1週間、-310円~+200円の間で推移しています。日本市場は、ここ3日は米国市場より弱含みで推移していますが、改善傾向です。今夜の米国市場では、新規失業保険申請件数が注目されそうです。欧州市場は一旦は落ち着きましたが、ユーロはさほど戻していません。やはり、ソブリン・リスクの根本原因である財政健全化の道筋が見えないとユーロは簡単に戻らないようです。中国の金融引き締め懸念や、米国市場の異常な急落の原因がはっきりしない点も影響は残っていると思われます。本格的な反転の為にはこの3点がはっきりするか織り込み済みとなることが必要と思われますので、欧米市場の反騰がこのまま続くか否かは微妙です。日経平均の方向性は25日移動平均線を上回れるか否かと200日移動平均線を割るかどうかで判断した方が良いように思います。
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