[市況]
19日、NYDowは上昇し、NASDAQは小幅下落しました。20日の日経平均先物は、前日比50円高で寄り付きました。前場は100円高まで上げた後は、徐々に値を下げる展開となりました。後場は中頃まで小動きな動きでしたが、大引けにかけて売られ、最終的に10円安で終わりました。日経平均は8円安で引け、出来高は19.5億株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、490万株の買い越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅が縮小しました。個別銘柄に関しては「売り」が有利な状態です。
19日の米国市場では、シティが発表した1-3月期決算が大幅増益となり、米金融機関の財務・業績が回復に向かうとの見方が強まり、シティは7%急伸しました。また、3月の景気先行指数が前月比で予想以上に上昇したことも、米景気回復への期待を誘いました。NYDowは前週末からの売りが続いて午前中は安く推移する場面もありましたが、午後にかけて次第に買い優勢となりました。GS株が上昇に転じて終えたことも支援材料となりました。
20日の日本市場では、米金融セクター全般への規制強化への懸念が後退し、朝方は買い先行で始まりました。前場中頃に11000円まで接近する場面もありましたが、外部環境の不透明感は完全に払拭されていないとの見方は根強く、戻り売り圧力が強まりました。後場は中国政府による不動産規制強化を背景にアジア市場が軟調推移を示したことが投資家心理を冷やし、日経平均株価は次第に上げ幅を縮小しました。
[テクニカル視点]
日経平均は9日線、25日線の下に在ります。短期トレンドは赤信号が点灯しています。総合乖離率は+7.3%とプラス幅は縮まりました。200日線との乖離率は+6.2%とプラス幅が縮まりました。日経平均は一目均衡表の雲の上に在ります。3つの要素がプラスですので、中期的トレンドは青信号が点灯しています。また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線、75日線の上に在りますが、9日線、25日線の下に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。
NYDowは200日線、75日線、25日線、9日線の上に在り、一目均衡表では雲の上に在ります。NASDAQは、200日線、75日線、25日線、9日線の上に在り、一目均衡表では雲の上に在ります。米国市場の短期トレンドは青信号が点灯しています。中期トレンドは青信号が点灯しています。
テクニカル的な指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が7.9ポイント割安であることを示しています。日本市場の割安幅は0.1ポイント縮小しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2010年の予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が2.1ポイント割高となっています。
市場は現在、「米国の景気と雇用状況と金融規制の影響」、「欧州の財政赤字国の拡大とユーロ安の行方」や「中国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。米国の10月~12月期のGDPは予想以上の伸びでしたが、米企業の1月-3月期決算発表が始まり、今のところ、概ね好調のようです。経済指標では、4月の連銀製造業景況感指数、4月の景気指数、3月のISM製造・非製造業景況感指数、消費者信頼感指数、小売売上高や2月の個人消費支出は市場予想を上回りましたが、4月の消費者態度指数、3月の鉱工業生産指数、2月の卸売物価指数は低下しました。3月の失業率は9.7%と変らなかったものの、雇用者数が16.3万人増と事前予想よりは少なかったものの改善傾向を示しました。一方、住宅関連では、2月の中古住宅販売が減少したものの予想以上となり、2月の仮契約住宅販売指数も予想以上で、3月の住宅着工件数も3ヶ月連続で改善しました。1月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前月比で下落しましたが、市場予想より小幅でした。ただ、2月の新築一戸建て住宅販売件数は4ヶ月連続減少し、調査開始以来の最低水準を更新しています3・4月の景気指標は改善傾向ながら、雇用と消費者マインドは横ばいのままのようです。中国の金融引き締めと元の切上げ観測の影響も、まだ注視する必要がありそうです。
米大手銀行の相次ぐ公的資金返済発表で表面的に資本不足は解消し、金融は正常化したように見えますが、時価会計基準が緩和されたこともあり、金融機関の不良資産が本当に減少しているかどうかは定かではありません。また、また、ギリシャや財政赤字国の債務不履行懸念問題は対策案が発表され、EUが支援する方向となっていますが、まだ、解決したとは言えません。さらに、英国・米国のソブリン・リスク問題も議論され始め、長期金利への影響が懸念されます。このような環境の下、FRBの低金利政策は継続されています。
全世界的な低金利政策は、各国の事情による金利政策に変りつつあります。為替は、金利差の変動に大きく左右されています。
世界景気は底を打ったように見えますが、消費の低迷や雇用の減少は、世界中で継続しています。また、2011年まで続くと言われる米国の商業用不動産価格の下落や個人向けローンのこげつきは、金融機関の不良債権の増加を懸念させ、企業および個人の資金調達に悪影響を及ぼしています。先安感は今後も居座り続けるでしょう。引き続き、金融機関の株価の推移や企業業績の推移に留意することが肝要です。
ちなみに、シティグループの株価は19日、上昇しました。(昨年1月高値7.59ドル・昨年3月安値1.02ドルに対し、現在4.88ドル)。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが32.5、PBRが1.41、ROEが4.3%となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、米国市場の上昇にも関わらず下げました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-2.9%%となり、日経平均は320円の割安で、割安幅は縮小しました。プレミアム値は、ここ1週間、-330円~-50円の間で推移しています。日本市場は、中国の不動産規制強化を嫌気し、円高の一服の割に上げきれませんでした。今夜の米国市場では、消費者信頼感指数、3月の半導体製造装置BBレシオや、ゴールドマン・サックス、アップルの1-3月期の決算発表が注目されそうです。ギリシャ国債の入札状況、GS問題の行方など、懸念材料で米国市場も上昇しづらい相場が続きそうですので、今後は、揉み合いながら75日移動平均線(10700円近辺)に接近する動きとなりそうです。
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