[市況]
29日、NYDowとNASDAQは大幅上昇しました。30日の日経平均先物は、前日比140円高で寄り付きました。前場はその水準で小動きでした。後場も膠着感の強い相場でしたが、大引けにかけてやや値を下げ、最終的に110円高で終わりました。日経平均は132円高で引け、出来高は22.3億株と増加傾向を維持しました。寄り付き前の外国人の売買注文は、1150万株の買い越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス転換しました。個別銘柄に関しては「売り」が有利な状態です。
29日の米国市場では、財政危機に直面するギリシャの財政再建策を巡り、EUなどと同国政府の協議が早ければ週内にも妥結する見通しとなったことで、ギリシャを巡る不透明感がひとまず後退し、投資家のリスク許容度が改善し買いが広がりました。FOMCで超低金利政策を当面続ける姿勢を改めて示したことや、週間の新規失業保険申請件数は448,000件と、前週から11,000件減少し、労働市場の持ち直し傾向も支援材料となりました。
30日の日本市場では、欧米の市場が上昇したことや、円高一服などが支援材料となり、朝方から買いが優勢となりました。寄り前に発表された3月鉱工業生産指数は市場予想を下回わりましたが、2ヶ月ぶりに前月比で増加したことが安心感を誘いました。ただ、国内では大型連休が本格化することもあり、買い一巡後は模様眺め気分が強まりました。
[テクニカル視点]
日経平均は、25日線を下回りましたが、9日線を上回りました。短期トレンドは赤信号から黄信号に変りました。総合乖離率は+10.3%とプラス幅は拡がりました。200日線との乖離率は+7.3%とプラス幅が拡がりました。日経平均は一目均衡表の雲の上に在ります。3つの要素がプラスですので、中期的トレンドは青信号が点灯しています。また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線、75日線の上に在りますが、25日線、9日線を下に在ります。一目均衡表の雲の上に在ります。
NYDowは200日線、75日線の上に在り、25日線、9日線を上回りました。一目均衡表では雲の上に在ります。NASDAQは、200日線、75日線、25日線の上に在り、9日線を上回りました。一目均衡表では雲の上に在ります。米国市場の短期トレンドは黄信号から青信号に変りました。中期トレンドは青信号が点灯しています。
テクニカル的な指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が6.9ポイント割安であることを示しています。日本市場の割安幅は0.4ポイント拡大しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2010年の予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が1.8ポイント割高となっています。
市場は現在、「米国の景気と雇用状況と金融規制の影響」、「欧州の財政赤字国の拡大とユーロ安の行方」や「中国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。米国の10月~12月期のGDPは予想以上の伸びでしたが、米企業の1月-3月期決算発表が始まり、今のところ、概ね好調です。経済指標では、4月の連銀製造業景況感指数、4月の景気指数、消費者信頼感指数、3月のISM製造・非製造業景況感指数、小売売上高は市場予想を上回りましたが、資本財は増えたものの、3月の耐久財受注額は市場予想に反して減少しました。また、4月の消費者態度指数、3月の鉱工業生産指数は低下しました。3月の失業率は9.7%と変らなかったものの、雇用者数が16.3万人増と事前予想よりは少なかったものの改善傾向を示しました。一方、住宅関連では、3月の新築一戸建て販売件数が前月比26.9%の大幅増となり、市場予想を大幅に上回り、3月の住宅着工件数も3ヶ月連続で改善しました。2月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数も改善傾向でした。3・4月の景気指標は改善傾向ながら、雇用と消費者マインドは横ばいのままのようです。中国の不動産高騰に伴う金融引き締めや元の切上げ観測の影響も、まだ注視する必要がありそうです。
米大手銀行の好決算が相次ぎ、資本不足は解消し、一旦、金融は正常化したように見えますが、変って、各国の財政赤字拡大が経済運営上のリスクとなりつつあります。ギリシャや財政赤字国の債務不履行懸念問題は対策案が発表され、EUが支援する方向となっていますが、まだ、解決したとは言えません。さらに、英国・米国のソブリン・リスク問題も議論され始め、長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が懸念されます。このような環境の下、FRBの低金利政策は継続されています。引き続き、金融機関の株価の推移や企業業績の推移に留意することが肝要です。
ちなみに、シティグループの株価は29日、上昇しました。(昨年1月高値7.59ドル・昨年3月安値1.02ドルに対し、現在4.56ドル)。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが28.7、PBRが1.43、ROEが5.0%となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、米国市場のここ2日の上昇率ほどは上げませんでした。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-2.7%%となり、日経平均は300円の割安で、割安幅は拡大しました。プレミアム値は、ここ1週間、-420円~-140円の間で推移しています。日本市場は、米国市場より弱い相場が続いています。今夜の米国市場では、1-3月期のGDP速報値、4月のシカゴ購買部協会景気指数、4月のミシガン大学消費者信頼感指数などが注目されそうです。S&Pのギリシャとポルトガル格下げショックはとりあえず一過性だったようですが、連休を控えて、日本市場の戻りは弱い状況です。まだ様子見気分が抜けないようです。連休中に、この問題が再燃しなければ、本格化した日本企業の3月期決算発表が支援材料となり日経平均は上昇余地がありそうです。しかし、ギリシャ問題がまだリスク要因であり、加えて、米国の金融規制法案の行方と上海市場の低迷もリスク要因として残っています。増益基調の企業業績と改善傾向の経済指標と云う好材料との間で、暫く綱引きとなりそうです。
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