[市況]
6日、NYDowは小幅下落し、NASDAQは上昇しました。7日の日経平均先物は、前日比20円高で寄り付きました。前場は小動きの中10円安まで下げた後、上昇に転じました。後場初めに90円高を付ける場面もありましたが、その後は徐々に売られ、最終的に10円高で引けました。日経平均は10円高で引け、出来高は23.9億株と増加しました。寄り付き前の外国人の売買注文は、30万株の買い越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅が縮小しました。個別銘柄に関しては「買い」が有利な状態です。
6日の米国市場では、ギリシャへの支援策をめぐる不透明感が再燃し、朝方は売りが先行しました。ただ景気回復期待や原油相場上昇を手掛かりに素材株や、一部エネルギー株への買いは続きました。アナリストが投資判断を引き上げた金融株にも上げが目立ちました。午後にFRBが公表したFOMC議事要旨で、超低金利政策を当面続けるとの見方が改めて広がると、NYDowは上げに転じる場面もありました。
7日の日本市場では、朝方は利益確定売りが優勢でしたが、円高一服や、外国人投資家によるメガバンク株への買い観測も安心感を誘い、前引けにかけては一時70円近くまで上昇しました。ただ、手掛かり材料は乏しく、前日高値の11358円近辺では再び利益確定売りが優勢となりました。大引けにかけては、次第に上げ幅を縮小させました。
[テクニカル視点]
日経平均は25日線、9日線の上に在ります。短期トレンドは青信号が点灯しています。総合乖離率は+22.0%とプラス幅は縮まりました。200日線との乖離率は+10.7%とプラス幅が拡がりました。日経平均は一目均衡表の雲の上に在ります。3つの要素がプラスですので、中期的トレンドは青信号が点灯しています。また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線、75日線、25日線、9日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。
NYDowは200日線、75日線、25日線、9日線の上に在り、一目均衡表では雲の上に在ります。NASDAQは、200日線、75日線、25日線の上に在り、一目均衡表では雲の上に在りますが、9日線を下回りました。米国市場の短期トレンドは青信号から黄信号に変りました。中期トレンドは青信号が点灯しています。
テクニカル的な指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が3.0ポイント割安であることを示しています。日本市場の割安幅は0.1ポイント拡大しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2010年の予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が2.2ポイント割高となっています。
市場は現在、「米国の景気と雇用状況と金融規制の影響」、「欧州の財政赤字国の拡大とユーロ安の行方」や「中国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。米国の10月~12月期のGDPは予想以上の伸びでしたが、米企業の10月-12月期決算発表は、好悪まちまちな状況でした。経済指標では、3月のISM製造・非製造業景況感指数、消費者信頼感指数、2月の小売売上高、個人消費支出は市場予想を上回りましたが、3月の景気指数、2月の卸売物価指数は低下しました。3月の失業率は9.7%と変らなかったものの、雇用者数が16.3万人増と事前予想より改善傾向を示しました。一方、住宅関連では、2月の中古住宅販売が減少したものの予想以上となり、2月の仮契約住宅販売指数も予想以上で、1月の住宅着工件数も改善しました。1月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前月比で下落しましたが、市場予想より小幅でした。ただ、2月の新築一戸建て住宅販売件数は4ヶ月連続減少し、調査開始以来の最低水準を更新しています。2・3月の景気指標は改善傾向ながら、雇用と消費者マインドは低下したままのようです。2月の消費者物価指数が高い伸びとなった中国の金融引き締めの影響も、まだ注視する必要がありそうです。
米大手銀行の相次ぐ公的資金返済発表で表面的に資本不足は解消し、金融は正常化したように見えますが、時価会計基準が緩和されたこともあり、金融機関の不良資産が本当に減少しているかどうかは定かではありません。また、米地銀の不良債権問題の影響も懸念されます。一方、米政府の金融機関に対する規制問題は悪材料ですが一旦は織り込んだようです。また、ギリシャや財政赤字国の債務不履行懸念問題は対策案が発表され、EUが支援する方向となっていますが、まだ、解決したとは言えません。このような環境の下、FRBの低金利政策は継続されています。
全世界的な低金利政策は、各国の事情による金利政策に変りつつあります。為替は、金利差の変動に大きく左右されています。
世界景気は底を打ったように見えますが、消費の低迷や雇用の減少は、世界中で継続しています。また、2011年まで続くと言われる米国の商業用不動産価格の下落や個人向けローンのこげつきは、金融機関の不良債権の増加を懸念させ、企業および個人の資金調達に悪影響を及ぼしています。先安感は今後も居座り続けるでしょう。引き続き、金融機関の株価の推移や企業業績の推移に留意することが肝要です。
ちなみに、シティグループの株価は6日、上昇しました。(昨年1月高値7.59ドル・昨年3月安値1.02ドルに対し、現在4.29ドル)。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが33.7、PBRが1.44、ROEが4.3%となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、米国市場に連動し、小動きでした。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.7%%となり、日経平均は80円の割安で、割安幅は縮小しました。プレミアム値は、ここ1週間、-160円~+80円の間で推移しています。米国市場よりは日本市場の方が軟調な展開となっています。今夜の米国市場ではバーナンキFRB議長講演やMBA住宅ローン申請指数、米2月消費者信用残高などの経済指標が注目されそうです。日本市場の騰落レシオは145と依然として高水準ですが、日経平均の25日移動平均乖離率は4.2%に減少しました。日経平均は、調整局面入りと思われますが、目先は9日移動平均の11180円を下回るかどうかに注目したいと思います。
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