[市況]
16日、NYDowとNASDAQは大幅下落しました。19日の日経平均先物は、前日比150円安で寄り付きました。前場は徐々に値を下げる展開となりました。後場の開始後に一時210円安となる場面がありましたが、その後は若干戻す展開となり、最終的に180円安で終わりました。日経平均は193円安で引け、出来高は20.3億株と減少しました。寄り付き前の外国人の売買注文は、450万株の買い越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス転換しました。個別銘柄に関しては「売り」が有利な状態です。
16日の米国市場では、サブプライムローンを裏付けとした有価証券の販売に絡み、GSが投資家に重要情報を開示せず、自ら莫大な利益を得たとSECが判断したため、GSを訴追したと伝わり、市場では米当局による金融機関への規制強化に加え、他の金融機関にも訴追が波及するとの思惑で金融株が軒並み売られました。3月の米住宅着工件数は3ヶ月連続で増加し市場予想を上回りました。また、4月の消費者態度指数は前月から低下し市場予想も下回わりましたが、GS関連の報道に隠れて相場への影響は限られました。
19日の日本市場では、前週末の米国市場が大幅下落したことや91円台まで円高が進行したことが嫌気され、朝方から全面安となりました。後場寄り直後はアジア市場の下落も重しとなり、日経平均株価は一時10900円を割り込む場面もありました。下値圏では値頃感が意識されましたが、積極的に買う動きは乏しく、大引けにかけては下値圏での膠着状態が続きました。
[テクニカル視点]
日経平均は9日線の下に在り、25日線を下回りました。短期トレンドは黄信号から赤信号に変りました。総合乖離率は+7.7%とプラス幅は縮まりました。200日線との乖離率は+6.3%とプラス幅が縮まりました。日経平均は一目均衡表の雲の上に在ります。3つの要素がプラスですので、中期的トレンドは青信号が点灯しています。また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線、75日線、25日線の上に在りますが、9日線を下回りました。一目均衡表の雲の上に在ります。
NYDowは200日線、75日線、25日線、9日線の上に在り、一目均衡表では雲の上に在ります。NASDAQは、200日線、75日線、25日線、9日線の上に在り、一目均衡表では雲の上に在ります。米国市場の短期トレンドは青信号が点灯しています。中期トレンドは青信号が点灯しています。
テクニカル的な指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が8.0ポイント割安であることを示しています。日本市場の割安幅は変化はありませんでした。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2010年の予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が2.1ポイント割高となっています。
市場は現在、「米国の景気と雇用状況と金融規制の影響」、「欧州の財政赤字国の拡大とユーロ安の行方」や「中国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。米国の10月~12月期のGDPは予想以上の伸びでしたが、米企業の1月-3月期決算発表が始まり、インテルに続き、JPモルガン・チェースは予想以上でしたが、アルコアは売上が予想以下となりました。経済指標では、4月の連銀製造業景況感指数、3月のISM製造・非製造業景況感指数、消費者信頼感指数、小売売上高や2月の個人消費支出は市場予想を上回りましたが、4月の消費者態度指数、3月の鉱工業生産指数、3月の景気指数、2月の卸売物価指数は低下しました。3月の失業率は9.7%と変らなかったものの、雇用者数が16.3万人増と事前予想よりは少なかったものの改善傾向を示しました。一方、住宅関連では、2月の中古住宅販売が減少したものの予想以上となり、2月の仮契約住宅販売指数も予想以上で、3月の住宅着工件数も3ヶ月連続で改善しました。1月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前月比で下落しましたが、市場予想より小幅でした。ただ、2月の新築一戸建て住宅販売件数は4ヶ月連続減少し、調査開始以来の最低水準を更新しています3・4月の景気指標は改善傾向ながら、雇用と消費者マインドは横ばいのままのようです。中国の金融引き締めと元の切上げ観測の影響も、まだ注視する必要がありそうです。
米大手銀行の相次ぐ公的資金返済発表で表面的に資本不足は解消し、金融は正常化したように見えますが、時価会計基準が緩和されたこともあり、金融機関の不良資産が本当に減少しているかどうかは定かではありません。また、また、ギリシャや財政赤字国の債務不履行懸念問題は対策案が発表され、EUが支援する方向となっていますが、まだ、解決したとは言えません。さらに、英国・米国のソブリン・リスク問題も議論され始め、長期金利への影響が懸念されます。このような環境の下、FRBの低金利政策は継続されています。
全世界的な低金利政策は、各国の事情による金利政策に変りつつあります。為替は、金利差の変動に大きく左右されています。
世界景気は底を打ったように見えますが、消費の低迷や雇用の減少は、世界中で継続しています。また、2011年まで続くと言われる米国の商業用不動産価格の下落や個人向けローンのこげつきは、金融機関の不良債権の増加を懸念させ、企業および個人の資金調達に悪影響を及ぼしています。先安感は今後も居座り続けるでしょう。引き続き、金融機関の株価の推移や企業業績の推移に留意することが肝要です。
ちなみに、シティグループの株価は16日、下落しました。(昨年1月高値7.59ドル・昨年3月安値1.02ドルに対し、現在4.81ドル)。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが32.5、PBRが1.42、ROEが4.3%となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、米国市場の下落に連動して下げました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-1.7%%となり、日経平均は190円の割安で、割安幅は縮小しました。プレミアム値は、ここ1週間、-240円~-10円の間で推移しています。日本市場は先週末に先行して下げた分、円高の割に、下げ幅は小さかったようです。米国の長期金利の低下と日米金利差の縮小に加えGS提訴問題で、為替が円高方向に振れている為に、日本市場の方が軟調な展開が続いています。今夜の米国市場では3月のコンファレンスボード景気先行指数やIBM、シティグループの1-3月期の決算発表が注目されそうです。米国市場が調整に入ったようですので、日経平均は25日移動平均線を下回る動きとなりました。今後は、揉み合いながら75日移動平均線(10700円近辺)に接近する動きとなりそうです。
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