[市況]
29日のNY DowとNASDAQは大幅上昇しました。30日の日経平均先物は、前日比160円高で寄り付きました。前場に100円高まで上げ幅を縮める場面がありました。後場寄り付きにかけて、徐々に値を戻す動きとなりましたが、その後はもみ合いとなり、最終的に前日比130円安で終わりました。日経平均は143円高で引け、出来高は17.9億株と低水準でした。寄り付き前の外国人は1140万株の買い越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅が縮小しました。個別銘柄に関しては、”売り”が有利な状態です。
29日の米国市場では、7-9月期の米実質GDPが5四半期ぶりに3.5%のプラスとなり、市場予想の3.2%を上回ったことで、米景気が後退局面を脱したとの見方が広がり、景気敏感株を中心に幅広い銘柄に買いが入り株価指数は大幅に上昇しました。
30日の日本市場では、米市場の大幅反発に加え、9月完全失業率の低下と有効求人倍率の上昇などが追い風となり、買い優勢で始まりました。ただ、節目の1万円大台を回復させた後は、一時アジア市場の上昇を受けて上げ幅を160円近くまで広げる場面もあったものの、上値の重い展開となりました。
[テクニカル視点]
日経平均は9日線、25日線の下に在ります。短期トレンドは赤信号が点灯しています。一方、日経平均の総合乖離率は+7.0%となり、プラス幅は拡大しました。200日線との乖離率は+8.7%となり、プラス幅は拡大しました。一目均衡表では雲の中に在ります。2つがプラスですので、中期的トレンドは、黄信号が点灯しています。ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)では200日線の上に在りますが、25日線、9日線の下に在り、75日線を上回りました。一目均衡表では雲の中に在ります。
NY Dowは200日線、75日線の上に在り、9日線、25日線を上回りました。一目均衡表では雲の上に在ります。NASDAQは、200日線、75日線の上に在りますが、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡では雲の上に在ります。米国市場の短期トレンドは赤信号から黄信号に変わりました。中期トレンドは青信号が点灯しています。
日・米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が8.4ポイント割安にある状態となり、テクニカル面の割安幅は拡大しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、9月に改定されたOECDの2009年の予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が3.7ポイント割高となっています。
市場は現在、「米国・中国の実体経済の見通し」、「欧米の金融機関の損失拡大による金融危機再来」、「為替の動向」といった問題を主要なテーマにしているようです。1つめについては、7-9月期の米GDPや10月のNY連銀景気指数や9月の小売売上高が改善しました。米企業の7-9月決算は好調な企業が多いものの、10月の消費者態度指数が予想以下となり、住宅関連指標もまちまちです。9月の雇用統計は雇用者数が予想以上に減少し、9月のISM製造業景況指数が前月比で低下したことや、米国の設備投資の伸びなやみが景気の足かせとなっています。2つめについては、ストレステストの結果発表により金融危機は短期的には遠のきましたが、不良資産が本当に減少しているか否かは時価会計基準が緩和されたこともあり、不透明です。FRBは当面ゼロ金利政策維持の方向で、主要金融機関の7-9月期業績を見ると投資銀行業務は好調ですが、米地銀をはじめ、商業銀行業務は不良債権問題で不調です。ノンバンク大手CITの破綻懸念問題がくすぶっています。引き続き、金融機関の決算での不良債権に注目する必要があります。3つめについてはオーストラリアの中央銀行が利上げしたことにより、世界的な低金利政策から各国の事情ごとの金利政策への転換点となったようです。為替は金利差による変動となる要素が増しそうです。
一方、中長期的に見ると、世界景気は底打ちの気配があるものの、前年からの落ち込み幅は大きく、輸出の低迷や雇用の減少傾向は世界的に続いています。2010年まで続くと言われる商業用不動産価格の下落や個人向けローンのこげつきから、金融機関の不良債権増加懸念は払しょく出来ず、個人消費や企業の資金調達への悪影響を与え続けます。新型インフルエンザの蔓延による欧米やアジア経済の停滞懸念もあります。先安感は今後も居座り続けるでしょう。引き続き、金融機関の株価の推移や経済指標などに留意することが肝要と思われます。
ちなみに、シティグループの株価は29日、上昇しました。(1月高値7.59ドルと3月安値1.02ドルに対し、現在4.31ドル)8月下旬に61.8%戻し(5.43ドル)を達成後揉み合っています。
一方、日経平均採用銘柄に関しては、予想PERは38.5となりました。PBRは1.25となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、円安に振れた割には、NY Dowの上昇率に比べ物足りませんでした。結果、NY Dowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-2.8%(290円の割安)となっており、日経平均のプレミアムのマイナス幅は拡大しました。プレミアム値は、ここ1週間は、-320円~-50円の間で推移しています。日経平均は、NY Dowの動きに対して下振する動きが続いていますが、円安にも関わらず下振れ幅は拡大しました。プレミアムの中身は、円安を評価しなかった分が150円、民主党の政策の影響など日本自身の弱さによる分が140円程度と考えられます。NY Dowは一昨日の下げ幅以上に上げましたがNasdaqと日経平均は一昨日の下げ分は埋められませんでした。短期トレンドが反転したと判断するのは早計と思われます。今夜の米国市場では10月のシカゴ購買部協会景気指数が注目されそうです。日経平均は、10180円を回復しないと安心できませんが、NY Dowは反転したようですので、日経平均も遅れて追従しそうです。
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