[市況]
16日のNY DowとNASDAQは下落しました。19日の日経平均先物は、前日比90円安で寄り付きました。前場は徐々に下落幅を拡大する展開となりました。後場は一転して戻り歩調となり、最終的に前日比20円安で終わりました。日経平均は21円安で引け、出来高は18.7億株と低水準でした。寄り付き前の外国人は10万株の買い越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス転換しました。個別銘柄に関しては、”買い”が有利な状態です。
16日の米国市場では、バンカメの四半期決算は個人向け融資の焦げ付き増加などが響き、3四半期ぶりに赤字に転落。GEは、売上高が市場予想を下回りました。前日夕にIBM発表した四半期決算は1株利益、売上高ともに予想を上回りましたが、一部事業部門の不振などから売られました。好決算への期待買いが一服しました。また、10月の米消費者態度指数は前月から低下し、市場予想を下回ったことも相場押し下げに繋がりました。
19日の日本市場では、前週末の米市場安を受け、輸出関連株を中心に売りが優勢となりました。一時130円超下落する場面もありましたが、25日移動平均線近辺で下げ渋る展開となりました。後場に入るとアジア株市場の堅調な推移が買い安心感を誘い前日終値水準まで戻す場面がありました。
[テクニカル視点]
日経平均は、9日線の上に在り、25日線を上回りました。短期トレンドは青信号が点灯しています。一方、日経平均の総合乖離率は+13.9%となり、プラス幅は拡大しました。200日線との乖離率は+11.6%となり、プラス幅は拡大しました。一目均衡表では雲の中に在ります。2つがプラスですので、中期的トレンドは、黄信号が点灯しています。ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)では200日線、75日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。
NY Dowは200日線、75日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。NASDAQは、200日線、75日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡では雲の上に在ります。米国市場の短期トレンドは青信号が点灯しています。中期トレンドも青信号が点灯しています。
日・米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が10.7ポイント割安にある状態となり、テクニカル面の割安幅は縮小しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、9月に改定されたOECDの2009年の予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が3.6ポイント割高となっています。
市場は現在、「米国・中国の実体経済の見通し」、「欧米の金融機関の損失拡大による金融危機再来」、「為替の動向」といった問題を主要なテーマにしているようです。1つめについては、4-6月期の米GDPや10月のNY連銀景気指数や9月の小売売上高が改善しました。しかし、米企業の7-9月決算は今のところまだら模様で、住宅関連指数もまちまちで9月の消費者態度指数やシカゴ購買部協会景気指数が予想以下となり、消費関連経済指標もまちまちです。9月の雇用統計は雇用者数が予想以上に減少し、さらに、9月のISM製造業景況指数が前月比で低下したことや、米国の設備投資の伸びなやみが景気の足かせとなっています。2つめについては、ストレステストの結果発表により金融危機は短期的には遠のきましたが、不良資産が本当に減少しているか否かは時価会計基準が緩和されたこともあり、不透明です。一方、FRBは当面ゼロ金利政策維持の方向です。しかし、主要金融機関の7-9月期業績はまちまちで、米地銀の不良債権問題やノンバンク大手CITの破綻懸念問題がくすぶっています。引き続き、金融機関の決算での不良債権に注目する必要があります。3つめについてはオーストラリアの中央銀行が利上げしたことにより、世界的な低金利政策から各国の事情ごとの金利政策への転換点となったようです。為替は金利差による変動となる要素が増しそうです。
一方、中長期的に見ると、世界景気は底打ちの気配があるものの、前年からの落ち込み幅は大きく、輸出の低迷や雇用の減少傾向は世界的に続いています。2010年まで続くと言われる商業用不動産価格の下落や個人向けローンのこげつきから、金融機関の不良債権増加懸念は払しょく出来ず、個人消費や企業の資金調達への悪影響を与え続けます。新型インフルエンザの蔓延による欧米やアジア経済の停滞懸念もあります。先安感は今後も居座り続けるでしょう。引き続き、金融機関の株価の推移や経済指標などに留意することが肝要と思われます。
ちなみに、シティグループの株価は16日、下落しました。(1月高値7.59ドルと3月安値1.02ドルに対し、現在4.59ドル)8月下旬に61.8%戻し(5.43)を達成後揉み合っています。
一方、日経平均採用銘柄に関しては、予想PERは39.0となりました。PBRは1.26となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、NY Dowの下落率ほどは下げませんでした。結果、NY Dowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-1.8%(180円の割安)となっており、日経平均のプレミアムのマイナス幅は縮小しました。プレミアム値は、ここ1週間は、-320円~-40円の間で推移しています。日経平均は、NY Dowの動きに対して下振する動きが改善しました。円ベースでの日経平均は70円程度の下振となりあまり変わりませんが。日本市場独自の弱さによる分が120円、円安による上振れ分が50円と言うことになります。今日は銀行株が反発したことがで25日線がサポートラインとなり、米国市場安の影響を和らげました。今夜の米国市場では10月の住宅市場指数やアップル、TIの7-9期決算が注目されそうです。JAl問題で企業再生支援機構活用案への期待感が今日の銀行高の一因ですが、今後の展開を期待したいところですが、今日の動きは一時的と考えた方が良さそうです。ここしばらく、日経平均は米国市場の上昇と外人買い頼みが続きそうです。
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