[市況]
28日のNY DowとNASDAQは下落しました。29日の日経平均先物は、前日比200円安で寄り付きました。前場は230円安と140円安の間の揉み合いとなりました。後場は再度230円安まで売られた後は小動きとなり、最終的に前日比200円安で終わりました。日経平均は183円安で引け、出来高は26.4億株と増加しました。寄り付き前の外国人は600万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅が拡大しました。個別銘柄に関しては、”売り”が有利な状態です。
28日の米国市場では、9月の耐久財受注はほぼ市場の予想どおりだったものの、9月の新築住宅販売件数が前月比で市場予想に反して減少し、景気の先行き不透明感が意識され、売りが優勢となりました。原油安や、鉄鋼最大手アルセロール・ミタルが発表した利益見通しが市場予想を下回ったことも悪材料となりました。
29日の日本市場では、米市場安や円安一服、アジア市場安から、国際優良株や資源関連株などを中心に幅広い銘柄が売られました。しかし、9月鉱工業生産の前月比プラス幅の改善や、1万円割れに伴う値頃感などが下支えとなりました。
[テクニカル視点]
日経平均は9日線、25日線の下に在ります。短期トレンドは赤信号が点灯しています。一方、日経平均の総合乖離率は+2.5%となり、プラス幅は縮小しました。200日線との乖離率は+7.1%となり、プラス幅は縮小しました。一目均衡表では雲の下に在ります。2つがプラスですので、中期的トレンドは、黄信号が点灯しています。ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)では200日線の上に在りますが、25日線、9日線の下に在り、75日線を下回りました。一目均衡表では雲の中に在ります。
NY Dowは200日線、75日線の上に在りますが、9日線の下に在り、25日線を下回りました。一目均衡表では雲の上に在ります。NASDAQは、200日線、75日線の上に在りますが、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡では雲の上に在ります。米国市場の短期トレンドは黄信号から赤信号に変わりました。中期トレンドは青信号が点灯しています。
日・米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が8.1ポイント割安にある状態となり、テクニカル面の割安幅は縮小しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、9月に改定されたOECDの2009年の予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が3.7ポイント割高となっています。
市場は現在、「米国・中国の実体経済の見通し」、「欧米の金融機関の損失拡大による金融危機再来」、「為替の動向」といった問題を主要なテーマにしているようです。1つめについては、4-6月期の米GDPや10月のNY連銀景気指数や9月の小売売上高が改善しました。米企業の7-9月決算は好調な企業が多いものの、10月の消費者態度指数が予想以下となり、住宅関連指標もまちまちです。9月の雇用統計は雇用者数が予想以上に減少し、9月のISM製造業景況指数が前月比で低下したことや、米国の設備投資の伸びなやみが景気の足かせとなっています。2つめについては、ストレステストの結果発表により金融危機は短期的には遠のきましたが、不良資産が本当に減少しているか否かは時価会計基準が緩和されたこともあり、不透明です。FRBは当面ゼロ金利政策維持の方向で、主要金融機関の7-9月期業績を見ると投資銀行業務は好調ですが、米地銀をはじめ、商業銀行業務は不良債権問題で不調です。ノンバンク大手CITの破綻懸念問題がくすぶっています。引き続き、金融機関の決算での不良債権に注目する必要があります。3つめについてはオーストラリアの中央銀行が利上げしたことにより、世界的な低金利政策から各国の事情ごとの金利政策への転換点となったようです。為替は金利差による変動となる要素が増しそうです。
一方、中長期的に見ると、世界景気は底打ちの気配があるものの、前年からの落ち込み幅は大きく、輸出の低迷や雇用の減少傾向は世界的に続いています。2010年まで続くと言われる商業用不動産価格の下落や個人向けローンのこげつきから、金融機関の不良債権増加懸念は払しょく出来ず、個人消費や企業の資金調達への悪影響を与え続けます。新型インフルエンザの蔓延による欧米やアジア経済の停滞懸念もあります。先安感は今後も居座り続けるでしょう。引き続き、金融機関の株価の推移や経済指標などに留意することが肝要と思われます。
ちなみに、シティグループの株価は28日、下落しました。(1月高値7.59ドルと3月安値1.02ドルに対し、現在4.08ドル)8月下旬に61.8%戻し(5.43ドル)を達成後揉み合っています。
一方、日経平均採用銘柄に関しては、予想PERは37.6となりました。PBRは1.21となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、やや円高に振れたこともあり、NY Dowの下落率以上に下げました。結果、NY Dowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-1.5%(160円の割安)となっており、日経平均のプレミアムのマイナス幅は縮小しました。プレミアム値は、ここ1週間は、-310円~-50円の間で推移しています。日経平均は、NY Dowの動きに対して下振する動きが続いていますが、円高の割には下振れ幅は拡大しませんでした。円ベースでの日経平均は100円程度の下振れとなっています。民主党の政策の影響など日本自身の弱さによる分が130円程度です。米国市場の短期トレンドも赤信号となりました。今夜の米国市場では7~9月GDPが注目されそうです。日経平均は、26週線の9980円を大きく割り込みましたので、次の節目としてはボリンジャーバンドの-2σの9660円近辺までの下げが考えられます。
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