[市況]
21日のNY DowとNASDAQは下落しました。22日の日経平均先物は、前日比90円安で寄り付きました。前場は寄り付き後に60円安まで下げ幅を縮めましたが、後場にかけて170円安まで売られました。引けにかけては買い直される動きとなり、最終的に前日比60円安で終わりました。日経平均は66円安で引け、出来高は20.4億株と低水準でした。寄り付き前の外国人は20万株の買い越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮小しました。個別銘柄に関しては、”買い”が有利な状態です。
21日の米国市場では、市場予想を上回る決算を発表したヤフーや、モルガン・スタンレーが堅調に推移したことや石油株の上昇が、相場を支えました。引けにかけて、アナリストがウェルズ・ファーゴの投資判断を「中立」から「売り」に引き下げたと伝わったことで金融株が売られ、相場全体の下げにつながりました。
22日の日本市場は、米市場安を受けて安く始まりました。7-9月期の中国実質GDPが8.9%増と良好な数値を示したものの、事前予想とほぼ同水準であったことで、かえって好材料出尽くし感につながり、相場をさらに押し下げる展開となりました。ただ、その後は先物への買いを契機に押し目買いが入り、大引けにかけては急速に下げ渋りました。
[テクニカル視点]
日経平均は、25日線、9日線の上に在ります。短期トレンドは青信号が点灯しています。一方、日経平均の総合乖離率は+14.5%となり、プラス幅は縮小しました。200日線との乖離率は+11.6%となり、プラス幅は縮小しました。一目均衡表では雲の中に在ります。2つがプラスですので、中期的トレンドは、黄信号が点灯しています。ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)では200日線、75日線、25日線の上に在りますが、9日線を下回りました。一目均衡表では雲の上に接近しました。
NY Dowは200日線、75日線、25日線の上に在りますが、9日線を下回りました。一目均衡表では雲の上に在ります。NASDAQは、200日線、75日線、25日線の上に在りますが、9日線を下回りました。一目均衡では雲の上に在ります。米国市場の短期トレンドは青信号から黄信号に変わりました。中期トレンドは青信号が点灯しています。
日・米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が9.7ポイント割安にある状態となり、テクニカル面の割安幅は若干縮小しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、9月に改定されたOECDの2009年の予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が3.6ポイント割高となっています。
市場は現在、「米国・中国の実体経済の見通し」、「欧米の金融機関の損失拡大による金融危機再来」、「為替の動向」といった問題を主要なテーマにしているようです。1つめについては、4-6月期の米GDPや10月のNY連銀景気指数や9月の小売売上高が改善しました。米企業の7-9月決算は今のところまだら模様ながら期待が先行しています。しかし、9月の消費者態度指数やシカゴ購買部協会景気指数が予想以下となり、消費関連経済指標もまちまちです。9月の住宅着工件数が市場予想を下回り、9月の雇用統計は雇用者数が予想以上に減少し、さらに、9月のISM製造業景況指数が前月比で低下したことや、米国の設備投資の伸びなやみが景気の足かせとなっています。2つめについては、ストレステストの結果発表により金融危機は短期的には遠のきましたが、不良資産が本当に減少しているか否かは時価会計基準が緩和されたこともあり、不透明です。一方、FRBは当面ゼロ金利政策維持の方向です。しかし、主要金融機関の7-9月期業績はまちまちで、米地銀の不良債権問題やノンバンク大手CITの破綻懸念問題がくすぶっています。引き続き、金融機関の決算での不良債権に注目する必要があります。3つめについてはオーストラリアの中央銀行が利上げしたことにより、世界的な低金利政策から各国の事情ごとの金利政策への転換点となったようです。為替は金利差による変動となる要素が増しそうです。
一方、中長期的に見ると、世界景気は底打ちの気配があるものの、前年からの落ち込み幅は大きく、輸出の低迷や雇用の減少傾向は世界的に続いています。2010年まで続くと言われる商業用不動産価格の下落や個人向けローンのこげつきから、金融機関の不良債権増加懸念は払しょく出来ず、個人消費や企業の資金調達への悪影響を与え続けます。新型インフルエンザの蔓延による欧米やアジア経済の停滞懸念もあります。先安感は今後も居座り続けるでしょう。引き続き、金融機関の株価の推移や経済指標などに留意することが肝要と思われます。
ちなみに、シティグループの株価は21日、若干下落しました。(1月高値7.59ドルと3月安値1.02ドルに対し、現在4.42ドル)8月下旬に61.8%戻し(5.43)を達成後揉み合っています。
一方、日経平均採用銘柄に関しては、予想PERは39.6となりました。PBRは1.27となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、やや円安に振れた割に、NY Dowの下落率程度の下げでした。結果、NY Dowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-1.5%(160円の割安)となっており、日経平均のプレミアムのマイナス幅は拡大しました。プレミアム値は、ここ1週間は、-320円~-90円の間で推移しています。日経平均は、NY Dowの動きに対して下振する動きが続いています。円ベースでの日経平均は30円程度の上振となり円高の影響は短期的にはほぼ無くなったようです。日本市場独自の弱さによる分が130円と言うことになります。今夜の米国市場では9月の景気先行指数、アマゾン、ダウ・ケミカル、AT&Tなどの7-9期決算が注目されそうです。日本株の弱さの要因に変化は見られませんので、日経平均は、米国市場の上昇と外人買い頼みも怪しくなってきたようです。明日以降の25日線、75日線、一目の転換線が集まる10115円近辺を下回るか否かに注目したいと思います。
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