[ファンダメンタルの現状認識]
米国市場では景気対策効果が薄れたものの、低金利が続き景気回復期待が勝ってきたようです。しかし、中長期的には、米国を中心とする消費の低迷や雇用の悪化などによる個人ローンの不良債権化と商業用不動産価格の下げによる信用収縮傾向が、今後も景気の足を引っ張る原因となる可能性が大と思われます。
そのような環境の中、先週の米国市場は、9月のISM非製造業景況感指数が前月比で市場予想以上に上昇したことやアルコアの7-9月期決算が市場予想を上回ったこととなったことなどでリバウンドしました。今週は、9月の小売売上高や主要企業の7-9月期決算などが注目されそうです。
2009年の実質GDP伸率考慮後の日米市場のイールド・スプレッドの差はOECDのGDP予想値が改訂され日本市場が3.6ポイント割高となっています。先週と比べ0.3ポイント割高幅が縮小しました。日本市場は米国市場に比べGDPの減少率と企業利益の減少が著しい点が割高の原因です。日経平均のPERは38.8で、S&P500のPERの18.0と比べると、企業のファンダメンタルに大きな差が有ります。長期金利差でこれを埋める形ですが、それでも大幅な割高感があります。
[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇、
②従来以上の今期の予想増益率のUP、
③日米の金利差の拡大、
④日本の2009年GDP予測値(現在-5.6%)の上方修正、
⑤外人の買い越し、
最近の動きを見ると、
①先週の米国市場はリバウンドしました。今週もこの傾向は続きそうです。
②3月決算発表が終わり、日経225採用銘柄の今期予想増益率は前期が赤字の為、計算不能となりましたが、世界景気の下ぶれにより今期ROE予想値は3.3%となっています。
③米国の長期金利は上昇し、日米の金利差は1.9-2.1%で推移し、為替は87--89円台のレンジ内の動きでした。金利差は拡大ぎみですので、今週は、87-91円台が想定されます。
④今年9月に、OECDによる日米の2009年の実質GDP伸び率予測値が修正され日本が-5.6%となり、米国は-2.8%と予想されていますので、この面では日本市場にとって2.8ポイント分の割高となる弱気材料です。
⑤9月5週の外人は買い越しでしたが、10月1週も買い越しだった可能性は高く、今週も買い越しが予想されます。
5つのポイントのうち先週は①③⑤が強気材料でした。今週も①③⑤がキーポイントと思われます。
[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、12.8ポイント割安となり、先週比1.7ポイント拡大しました。
一目均衡表では、雲の上に在り、200日移動平均線乖離率は+9.5%となり先週と比較してプラス幅は2.6ポイント拡大し、総合乖離率は+7.3%となりプラス転換しました。2つがプラスですので中期上昇トレンドは、"黄信号"が点灯しています。日経平均は9日線、25日線の上に在りますので、短期的には"青信号"です。
米国市場ではNY Dowは200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表の雲の上に在ります。Nasdaqは一目均衡表の雲と200日線、25日線、9日線の上に在ります。短期的には"青信号"で中期的にも"青信号"が点灯しています。
[今週の見通し]
先週は、米国の経済指標の好転と米企業の第三四半期の好決算期待で米国市場が上昇したことや円高一服に反応して日経平均も戻り歩調となりました。今週も米企業の決算発表や経済指標に波乱がなければ、先週の流れを引き継ぎ、堅調な展開が持続しそうです。円高の改善傾向と外人の買いが続くかどうかが日経平均の戻りの大きさに影響しそうです。
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