[ファンダメンタルの現状認識]
米国市場では、低金利が続き主要企業の7-9月決算も概ね好調で景気回復期待相場が続いてきましたが、消費関連の経済指標に弱さが目立つようになってきました。中長期的にも、米国を中心とする先進国の消費の低迷や雇用の悪化などによる個人ローンの不良債権化と商業用不動産価格の下げによる信用収縮傾向が、今後も景気の足を引っ張る原因となる可能性が残っています。
そのような環境の中、10月第5週の米国市場は、7-9月のGDPが評価されたものの、個人消費の弱さが嫌気され下落しました。今週は、FOMCでの景気認識や、米国の10月ISM製造業景気指数、米国の10月の雇用統計などが注目されそうです。
2009年の実質GDP伸率考慮後の日米市場のイールド・スプレッドの差はOECDの2010年のGDP予想値をベースにすると日本市場が1.1ポイント割高となっています。日本市場は米国市場に比べ企業利益の減少が著しい点が割高の原因です。日経平均のPERは38.6で、S&P500のPERの18.2と比べると、企業のファンダメンタルに大きな差が有ります。長期金利差でこれを埋める形ですが、それでも大幅な割高感があります。
[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇、
②従来以上の今期の予想増益率のUP、
③日米の金利差の拡大、
④日本の2010年GDP予測値(現在+0.7%)の上方修正、
⑤外人の買い越し、
最近の動きを見ると、
①先週の米国市場は下落しました。今週も弱含みな展開となりそうです。
②3月決算発表が終わり、日経225採用銘柄の今期予想増益率は前期が赤字の為、計算不能となりましたが、世界景気の下ぶれにより今期ROE予想値は3.2%となっています。
③米国の長期金利は上昇し、日米の金利差は2.1-2.0%で推移し、為替は90--92円台のレンジ内の動きでした。金利差は縮小ぎみですので、今週も、89-91円台が想定されます。
④今年9月に、OECDによる日米の2010年の実質GDP伸び率は日本が+0.7%となり、米国は+0.9%と予想されていますので、この面では日本市場にとって0.2ポイント分の割高となる弱気材料です。
⑤10月3週の外人は買い越しでしたが、10月4週も小幅買い越しだった可能性は高いものの、今週は売り越しが予想されます。
5つのポイントのうち先週は①③が強気材料でした。今週も①③⑤がキーポイントと思われます。
[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、5.3ポイント割安となり、先週比4.1ポイント縮小しました。
一目均衡表では、雲の中に在り、200日移動平均線乖離率は+8.7%となり先週と比較してプラス幅は3.0ポイント縮小し、総合乖離率は+7.0%となりプラス幅が縮小しました。2つがプラスですので中期上昇トレンドは、"黄信号"が点灯しています。日経平均は9日線、25日線の下に在りますので、短期的には"赤信号"です。
米国市場ではNY Dowは200日線の上に在りますが、9日線、25日線の下に在ります。一目均衡表の雲の中に在ります。Nasdaqは一目均衡表の雲と200日線の上に在りますが、9日線、25日線の下に在ります。短期的には"赤信号"で中期的には"黄信号"が点灯しています。
[今週の見通し]
先週の米市場は、事前予想を下回る経済統計が相次ぎ、景気回復の持続性に対する懸念が浮上して、大きく下落しました。今週の米国市場も先週の動きを引き継ぎ、弱含みな展開が予想されます。こうした環境から、今週の日経平均はボリンジャーバンドの-2σ(9665円)近辺までの下落は覚悟が必要な感じです。この辺で止まるかどうかは週末の米雇用統計次第と思われます。
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