[市況]
4日のNY Dowは上昇しNASDAQは小幅下落しました。5日の日経平均先物は、前日比40円安で寄り付きました。前場は10円高まで買われる場面もありましたが、後場寄り付きにかけて140円安まで売られました。その後は徐々に買い戻される動きとなりました。しかし、引け際に売られ、最終的に前日比120円安で終わりました。日経平均は126円安で引け、出来高は19.4億株と低水準でした。寄り付き前の外国人は290万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅が拡大しました。個別銘柄に関しては、”売り”が有利な状態です。
4日の米国市場では、FOMC後の声明は「FF金利が長期にわたって続く可能性が高い」との表現を維持しましたが、事前に表現が変更されるとの報道があったことから、声明発表後はNY Dowが156ドル高まで上げる場面がありました。10月のADP雇用統計では減少幅は前月から縮小し、市場予想に一致しました。一方、ISM非製造業景況感指数では「雇用」が41.1%と前月比3.2ポイント低下し、週末の雇用統計を見極めたいとの雰囲気が強まり、株価指数は伸び悩んで終了しました。
5日の日本市場では、米市場が終盤にかけて伸び悩んだ流れや、ヘッジファンドの解約売りが警戒され、売り優勢の展開となりました。アジア株市場の軟調推移も警戒感を誘いました。ただ、9700以下では値頃感も台頭し、引けにかけてはやや下げ幅を縮小させました。
[テクニカル視点]
日経平均は9日線、25日線の下に在ります。短期トレンドは赤信号が点灯しています。一方、日経平均の総合乖離率は-2.8%となり、マイナス転換しました。200日線との乖離率は+5.0%となり、プラス幅は縮小しました。一目均衡表では雲の下に在ります。1つがプラスですので、中期的トレンドは、黄信号が点灯しています。ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)では200日線の上に在りますが、75日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の下限に在ります。
NY Dowは200日線、75日線の上に在り、9日線、25日線の下に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。NASDAQは、200日線の上に在りますが、25日線、9日線の下に在り、75日線を下回りました。一目均衡では雲の中に在ります。米国市場の短期トレンドは赤信号が点灯しています。中期トレンドは黄信号が点灯しています。
日・米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が8.9ポイント割安にある状態となり、テクニカル面の割安幅は拡大しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2010年の予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が0.9ポイント割高となっています。
市場は現在、「米国・中国の実体経済の見通し」、「欧米の金融機関の損失拡大による金融危機再来」、「為替の動向」といった問題を主要なテーマにしているようです。1つめについては、7-9月期の米GDPや10月の米ISM製造業景況感指数が市場予想を上回りました。米企業の7-9月決算は概ね好調でした。一方、9月の個人消費支出が前月比0.5%減となり10月の消費者態度指数が予想以下となりました。景気指標や住宅関連指標はまちまちです。9月の雇用統計は雇用者数が予想以上に減少し、米国の設備投資の伸びなやみも景気の足かせとなっています。2つめについては、ストレステストの結果発表により金融危機は短期的には遠のきましたが、不良資産が本当に減少しているか否かは時価会計基準が緩和されたこともあり、不透明です。FRBは当面ゼロ金利政策維持の方向で、主要金融機関の7-9月期業績を見ると投資銀行業務は好調ですが、米地銀をはじめ、商業銀行業務は不良債権問題で不調です。ノンバンク大手CITの破綻の影響も気がかりです。引き続き、金融機関の決算での不良債権に注目する必要があります。3つめについてはオーストラリアの中央銀行が利上げしたことにより、世界的な低金利政策から各国の事情ごとの金利政策への転換点となったようです。為替は金利差による変動となる要素が増しそうです。
一方、中長期的に見ると、世界景気は底打ちの気配があるものの、前年からの落ち込み幅は大きく、輸出の低迷や雇用の減少傾向は世界的に続いています。2010年まで続くと言われる商業用不動産価格の下落や個人向けローンのこげつきから、金融機関の不良債権増加懸念は払しょく出来ず、個人消費や企業の資金調達への悪影響を与え続けます。新型インフルエンザの蔓延による欧米やアジア経済の停滞懸念もあります。先安感は今後も居座り続けるでしょう。引き続き、金融機関の株価の推移や経済指標などに留意することが肝要と思われます。
ちなみに、シティグループの株価は4日、下落しました。(1月高値7.59ドルと3月安値1.02ドルに対し、現在3.97ドル)8月下旬に61.8%戻し(5.43ドル)を達成後揉み合っています。
一方、日経平均採用銘柄に関しては、予想PERは36.4となりました。PBRは1.21となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、NY Dowの上昇にも関わらず大きく下落しました。結果、NY Dowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-3.0%(310円の割安)となっており、日経平均のプレミアムのマイナス幅は拡大しました。プレミアム値は、ここ1週間は、-330円~-90円の間で推移しています。日経平均は、NY Dowの動きに対して下振する動きが続いています。プレミアムの中身は、民主党の政策の影響など日本自身の弱さによる分が250円程度と考えられます。米国市場は下げ渋っていますが、日経平均は先物主導で下げました。今夜の米国市場では10月のチェーンストア売上高が注目されそうですが週末の雇用統計待ちの動きとなりそうです。日米市場ともテクニカルにはまだ下げ余地がありそうですので、日経平均では、引き続き次の下値の目途であるボリンジャーバンド-2σの9620円近辺で下げ止まれるかどうかに注目したいと思います
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