[ファンダメンタルの現状認識]
米国市場では、低金利が続き主要企業の7-9月決算も概ね好調でした。雇用や消費関連の経済指標は弱さが目立つものの、景気回復期待相場が続いています。中長期的には、米国を中心とする先進国の消費の低迷や雇用の悪化などによる個人ローンの不良債権化と商業用不動産価格の下げによる信用収縮傾向が、今後も景気の足を引っ張る原因となる可能性が残っています。
そのような環境の中、11月第2週の米国市場は、大幅高で始まったものの後半はもみ合い相場でした。今週は、米国の10月小売売上高や住宅関連指数、景況指数、国内では7~9月実質GDPなどが注目されそうです。
2010年の実質GDP伸率考慮後の日米市場のイールド・スプレッドの差は日本市場が0.9ポイント割高となっています。日本市場は米国市場に比べ企業利益の減少が著しい点が割高の原因です。日経平均のPERは33.8と改善してきましたが、S&P500のPERの17.4と比べると、企業のファンダメンタルに大きな差が有ります。長期金利差でこれを埋める形ですが、それでも大幅な割高感があります。
[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇、
②従来以上の今期の予想増益率のUP、
③日米の金利差の拡大、
④日本の2010年GDP予測値(現在+0.7%)の上方修正、
⑤外人の買い越し、
最近の動きを見ると、
①先週の米国市場は上昇しました。今週は高値もみ合いが予想されます。
②3月決算発表が終わり、日経225採用銘柄の今期予想増益率は前期が赤字の為、計算不能となりましたが、世界景気の下ぶれにより今期ROE予想値は3.6%となっています。
③米国の長期金利は上昇し、日米の金利差は2.0-2.1%で推移し、為替は89--90円台のレンジ内の動きでした。金利差は縮小ぎみですので、今週も、89-90円台が想定されます。
④今年9月に、OECDによる日米の2010年の実質GDP伸び率は日本が+0.7%となり、米国は+0.9%と予想されていますので、この面では日本市場にとって0.2ポイント分の割高となる弱気材料です。
⑤11月1週の外人は小幅買い越しでしたが、11月2週は買い越しだった可能性が高く、今週は売り越しが予想されます。
5つのポイントのうち先週は①が強気材料でしたが④が弱気材料でした。今週は①③⑤がキーポイントと思われます。
[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、13.0ポイント割安となり、先週比2.1ポイント拡大しました。
一目均衡表では、雲の下に在り、200日移動平均線乖離率は+5.0%となり先週と比較してマプラス幅が5.9ポイント縮小し、総合乖離率は-1.8%となりマイナス幅が拡大しました。1つがプラスですので中期上昇トレンドは、"黄信号"が点灯しています。日経平均は9日線、25日線の下に在りますので、短期的には"赤信号"です。
米国市場ではNY Dowは200日線、9日線、25日線の上に在ります。一目均衡表の雲の上に在ります。Nasdaqは一目均衡表の雲と200日線、25日線、9日線の上に在りま。短期的には"青信号"で中期的にも"青信号"が点灯しています。
[今週の見通し]
先週の米市場では、週初は先々週の流れで大幅上昇したものの、後半はもみ合いとなりました。一方、日本市場は独自の需給要因から下落しました。米国市場は悪材料を無視し上昇してきた面がありますので、今週の米国市場は経済指標が悪く出た場合に大きく下げるリスクが有ります。日本市場は需給悪化状況改善の兆候は見られませんので、今週も弱含みな展開が予想されます。引き続き、日経平均は10月6日の安値9826を割るか否かを注目したいと思います。これを大きく下回るようであれば、200日線の9300円近辺への下落も想定する必要がありそうです。
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