[市況]
23日、NYDowとNASDAQは上昇しました。24日の日経平均先物は、前日比20円高で寄り付きましたが、前場は売られました。後場も一段安となった後もみ合い、最終的に100円安で引けました。日経平均は96円安で引け、出来高は18.3億株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、10万株の買い越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅が拡大しました。個別銘柄に関しては「売り」が有利の状態です。
23日の米国市場は、10月の中古住宅販売件数が市場予想以上に増加したことや、セントルイス連銀のブラード総裁が住宅ローン担保証券の買い切り延長が望ましいと述べたことが投資家のリスク資産投資増加につながるとの思惑が買いを誘ました。ドル安や金の史上最高値更新も支援材料となりました。
24日の日本市場は、米市場が堅調推移から、朝方は小高く始まりましたが、積極的な買い手掛かり材料に乏しく、寄り後すぐに下げに転じ、上値の重さが確認されました。後場に入るとアジア株市場の軟調な展開に加え、値嵩株の一角が下げ幅を広げ日経平均は続落となりました。
[テクニカル視点]
日経平均は9日線と25日線の下にあるので、短期トレンドには赤信号が点っています。総合乖離率は-12.1%とマイナス幅を広げ、200日線との乖離率は+0.6%とプラス幅を縮めました。日経平均は一目均衡表の雲の下にあり、3つの要素のうち1つがプラスなので、中期的トレンドには黄信号が点っていますが赤信号が目前となりました。また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の上にありますが、9日線・25日線・75日線および一目均衡表の雲を下回っています。
NYDowは、9日線・25日線・75日線・200日線および一目均衡表の雲の上にあります。NASDAQは、25日線・75日線・200日線および一目均衡表の雲の上にあり、9日線を上回りました。米国市場の短期トレンドは黄信号から青信号に変わりました。中期トレンドには青信号が点っています。
テクニカル的な指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が17.5ポイント割安であることを示しています。日本市場の割安幅は、1.7ポイント拡大しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2010年の予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が0.7ポイント割高となっています。
市場は現在、「米国と中国における実体経済の見通し」「欧米の金融機関の損失拡大による金融危機再来」「為替の動向」といった事柄を興味の対象としているようです。
米国の7月~9月期のGDPや、10月のISM製造業景況感指数、10月の小売売上高などは、市場予想を上回っています。米企業の7月~9月期決算は概ね好調で、労働生産性指数は上昇しました。一方、住宅関連では10月の住宅着工件数が大幅に減少したものの中古住宅販売は増加しました。11月の消費者態度指数は前月を下回り、景気指標はまちまちです。10月の失業率は10%を超えています。
ストレステストの結果発表により金融危機は短期的には遠のきましたが、時価会計基準が緩和されたこともあり、金融機関の不良資産が本当に減少しているかどうかは定かではありません。また、地銀の不良債権問題や、ノンバンク大手CITの破綻の影響も懸念されます。このような環境の下、FRBは当面、超低金利政策を維持するようです。
オーストラリアの中央銀行が利上げしたことを見るに、世界的な低金利政策は、各国の事情による金利政策に取って代わられつつあるようです。為替は今後も、金利差の変動に大きく左右されるでしょう。
世界景気は底を打ったように見えますが、前年からの落ち込み幅は小さくありません。輸出の低迷や雇用の減少は、世界中で継続しています。また、2010年まで続くと言われる商業用不動産価格の下落や個人向けローンのこげつきは、金融機関の不良債権の増加を懸念させ、企業および個人の資金調達に悪影響を及ぼしています。加えて、新型インフルエンザの蔓延が欧米やアジアの経済を停滞させるのでは、との懸念も無視できません。先安感は今後も居座り続けるでしょう。引き続き、金融機関の株価の推移や経済指標などに留意することが肝要です。
ちなみに、シティグループの株価は23日、上昇しました(1月高値7.59ドル・3月安値1.02ドルに対し、現在4.28ドル)。
一方、日経平均採用銘柄に関しては、予想PERが31.9、PBRが1.16となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの上昇にも関わらず下落しました。結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-6.7%となり、日経平均の割安幅は660円に拡大しました。プレミアム値は、ここ1週間、-690円~-460円の間で推移しています。
今夜の米国市場では、7-9月GDPや9月のS&Pケースシラー住宅価格指数の発表が注目されそうです。上昇傾向が続くかどうかに注目したいと思います。
日本市場は相変わらず下げてもセリング・クライマックス到来とは言えません。今後の日経平均は200日線の9348円を意識した動きが想定されますが、手がかり難から、一旦はあっさり下回りそうな地合いです。
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