日経平均の予想: <20091130>日経平均の今後の見通し

Monday, November 30, 2009

<20091130>日経平均の今後の見通し

[市況]
27日、NYDowとNASDAQは下落しました。30日の日経平均先物は、前日比120円高で寄り付きました。その後は終日堅調な動きとなり、最終的に260円高で引けました。日経平均は264円高で引け、出来高は24.7億株と低水準ながら増加しました。寄り付き前の外国人の売買注文は、410万株の買い越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅が縮小しました。個別銘柄に関しては「売り」が有利の状態です。

27日の米国市場は、ドバイの信用不安をきっかけに投資家がリスク回避姿勢を強めるとの見方が出て、原油や金の先物が下落しました。これを受けて、資源関連株や銀行株にも売りが目立ちました。
30日の日本市場は、ドバイショックの織り込みが進み自律反発気運が優勢となりました。10月の鉱工業生産指数速報は+0.5%と事前予想を下回ったものの、円高一服を好感する格好となり、寄り後も上げ幅を広げました。27日に空けた窓埋め(9324円)達成後は上値の重さを示したものの、引けにかけて高値圏を維持しました。

[テクニカル視点]
日経平均は9日線と25日線の下にあるので、短期トレンドには赤信号が点っています。総合乖離率は-12.1%とマイナス幅を縮め、200日線との乖離率は-0.3%とマイナス幅を縮めました。日経平均は一目均衡表の雲の下にあり、3つの要素ともマイナスですので、中期的トレンドには赤信号が点灯しています。また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の上にあり、25日線・75日線および一目均衡表の雲を下回っていますが、9日線を上回りました。
NYDowは、25日線・75日線・200日線および一目均衡表の雲の上にありますが、9日線を下回りました。NASDAQは、25日線・75日線・200日線および一目均衡表の雲の上にありますが、9日線を下回りました。米国市場の短期トレンドは黄信号が点灯しています。中期トレンドには青信号が点っています。
テクニカル的な指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が15.4ポイント割安であることを示しています。日本市場の割安幅は、5.3ポイント縮小しました。

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2010年の予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が0.7ポイント割高となっています。
市場は現在、「米国と中国における実体経済の見通し」「欧米の金融機関の損失拡大による金融危機再来」「為替の動向」といった事柄を興味の対象としているようです。
米国の7月~9月期のGDPや、10月のISM製造業景況感指数、10月の小売売上高などは、市場予想を上回っています。米企業の7月~9月期決算は概ね好調で、労働生産性指数は上昇しました。一方、住宅関連では中古住宅販売は増加したものの10月の住宅着工件数が大幅に減少しました。11月の消費者態度指数も前月を下回り、設備投資も弱さがあります。10月の失業率は10%を超えています。景気指標はまちまちです。
ストレステストの結果発表により金融危機は短期的には遠のきましたが、時価会計基準が緩和されたこともあり、金融機関の不良資産が本当に減少しているかどうかは定かではありません。また、地銀の不良債権問題や、ノンバンク大手CITの破綻の影響も懸念されます。このような環境の下、FRBは当面、超低金利政策を維持するようです。
オーストラリアの中央銀行が利上げしたことを見るに、世界的な低金利政策は、各国の事情による金利政策に取って代わられつつあるようです。為替は今後も、金利差の変動に大きく左右されるでしょう。

世界景気は底を打ったように見えますが、前年からの落ち込み幅は小さくありません。輸出の低迷や雇用の減少は、世界中で継続しています。また、2010年まで続くと言われる商業用不動産価格の下落や個人向けローンのこげつきは、金融機関の不良債権の増加を懸念させ、企業および個人の資金調達に悪影響を及ぼしています。加えて、新型インフルエンザの蔓延が欧米やアジアの経済を停滞させるのでは、との懸念も無視できません。先安感は今後も居座り続けるでしょう。引き続き、金融機関の株価の推移や経済指標などに留意することが肝要です。
ちなみに、シティグループの株価は27日、下落しました(1月高値7.59ドル・3月安値1.02ドルに対し、現在4.06ドル)。
一方、日経平均採用銘柄に関しては、予想PERが31.9、PBRが1.16となっています。

[今後の見通し]
日経平均は、米国市場の下落幅が小さかったことと、円高一服で、大幅に上昇しました。結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-1.8%となり、日経平均の割安幅は170円に縮小しました。プレミアム値は、ここ1週間、-660円~-150円の間で推移しています。
日経平均は騰落レイシオが60を割り、25日移動平均線との乖離率が-7%以下となるなどテクニカル指標は売られすぎを示していましたので、ドバイ・ショック後の欧州株の上昇と休み明けの米国株がさほど下げなかったことから上昇に転じましたが、200日線回復とはなりませんでした。今夜の米国市場は、11月のシカゴ購買部協会景気指数が注目されそうです。日本市場はやっとリバウンド体制に入ってきたようです。ここからは、200日線を上回れば、米国市場が下げても日本市場は底堅く推移しそうです。しかし、ここまでの崩れが大きい分、反発には日柄整理も必要と思われます。


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