[ファンダメンタルの現状認識]
市場では景気拡大期待が高まっていますが、中長期的には、世界的な雇用の悪化と米国の商業用を中心とした不動産価格の下げによる信用収縮傾向は今後も続く可能性が大と思われます。
そのような環境の中、先週の米国市場は雇用統計の改善から堅調な展開でしたが、週末に消費者信頼感指数に弱さが見られた為に下落しました。今週は、住宅関連指標が注目されそうです。
2009年の実質GDP伸率考慮後の日米市場のイールド・スプレッドの差はOECDのGDP予想値が改訂され日本市場が0.3ポイント割高に変化しました。先週と比べ割高度は0.2ポイント拡大しました。日本市場は米国市場に比べ企業利益の減少率が著しく、日経平均のPERは41.5となりました。S&P500のPERの16.9と比べると、企業のファンダメンタルに大きな差が有ることが割高の原因です。先週は日米長期金利の差の縮小により割高幅は拡大しました。
[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇、
②従来以上の今期の予想増益率のUP、
③日米の金利差の拡大、
④日本の2009年GDP予測値(現在-0.1%)の上方修正、
⑤外人の買い越し、
最近の動きを見ると、
①先週の米国市場は高値圏のもみ合いでした。その結果、過熱感はなくなりました。
②3月決算発表が終わり、日経225採用銘柄の今期予想増益率は前期が赤字の為、計算不能となりましたが、世界景気の下ぶれにより今期ROE予想値は3.3%となっています。
③長期金利は低下ぎみで、日米の金利差は2.4~2.2%で推移し、為替は97--94円台と週末にかけて円高方向で推移しました。今週は、94-96円台が想定されます。
④今年6月に、OECDによる日米の2009年の実質GDP伸び率予測値が修正され日本が-0.1%となり、米国は-0.9%になりましたので、この面では米国市場にとって0.8ポイント分の弱気材料となりました。
⑤8月1週の外人は買い越しでした。8月2週も買い越しだった可能性は高いと思われますが、今週は買い一服が予想されます。
5つのポイントのうち先週は①⑤が強気材料でした。今週も①③⑤がキーポイントと思われます。
[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、2.0ポイント割安となり、先週比は変化ありません。一目均衡表では、雲の上に在り、200日移動平均線乖離率は+20.5%となり先週と比較してプラス幅は0.6ポイント拡大し、総合乖離率は+35.8%となりプラス幅が拡大しました。3つがプラスですので中期上昇トレンドは、"青信号"が点灯しています。日経平均は25日線、9日線の上に在り、短期的には"青信号"です。
米国市場ではNY Dowは200日線、25日線、9日線の上に在り一目均衡表の雲の上に在ります。Nasdaqは一目均衡表の雲と200日線、25日線の上に在りますが、9日線の下に在ります。短期的には"黄信号"で中期的には"青信号"が点灯しています。
[今週の見通し]
先週は日米国市場ともテクニカルに高値警戒感がありましたので、高値圏での揉み合う動きの中、外人買いに支えられて、日本市場の方が堅調な動きでした。結果、日経平均は150円ほど割高となりました。この動きは日本の4-6月期のGDPが欧米より強いとの先読みであったと仮定すると、月曜のGDPの発表が良い内容であったとしても、この材料は織り込み済みと考えた方が良さそうです。週末の米国市場安を考慮すると、今週の日経平均は週初に安く始まり、高値揉み合いが続く中、米国市場の動きよりは下振れする形で推移する可能性が高いと思われます。
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