[ファンダメンタルの現状認識]
市場では景気対策効果もあり景気回復期待が高まっていますが、中長期的には、世界的な雇用の悪化による個人ローンの不良債権化と商業用不動産価格の下げによる信用収縮傾向が、今後も景気の足を引っ張る可能性が大と思われます。
そのような環境の中、先週の米国市場は住宅関連指標の改善により年初来高値を更新して上昇しました。今週は、ISM製造業景況感指数や8月雇用統計が注目されそうです。
2009年の実質GDP伸率考慮後の日米市場のイールド・スプレッドの差はOECDのGDP予想値が改訂され日本市場が0.2ポイント割高に変化しました。先週と比べ割高度は0.1ポイント拡大しました。日本市場は米国市場に比べ企業利益の減少率が著しく、日経平均のPERは40.8となりました。S&P500のPERの17.2と比べると、企業のファンダメンタルに大きな差が有りますが、長期金利差でこれを埋める形となっています。ここのところ、ほぼ均衡しています。
[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇、
②従来以上の今期の予想増益率のUP、
③日米の金利差の拡大、
④日本の2009年GDP予測値(現在-0.1%)の上方修正、
⑤外人の買い越し、
最近の動きを見ると、
①先週の米国市場は年初来高値を更新しましたが、過熱感はまだありません。
②3月決算発表が終わり、日経225採用銘柄の今期予想増益率は前期が赤字の為、計算不能となりましたが、世界景気の下ぶれにより今期ROE予想値は3.3%となっています。
③長期金利は低下ぎみで、日米の金利差は2.3~2.1%で推移し、為替は94--93円台のレンジ内の動きでした。今週は、93-95円台が想定されます。
④今年6月に、OECDによる日米の2009年の実質GDP伸び率予測値が修正され日本が-0.1%となり、米国は-0.9%になりましたので、この面では米国市場にとって0.8ポイント分の弱気材料となりました。
⑤8月3週の外人は売り越しでした。8月4週も売り越しだった可能性は高いものの、今週は買い越しが予想されます。
5つのポイントのうち先週は①が強気材料でした。今週も①③⑤がキーポイントと思われます。
[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、3.4ポイント割安となり、先週比3.1ポイント縮小しました。
一目均衡表では、雲の上に在り、200日移動平均線乖離率は+18.4%となり先週と比較してプラス幅は2.5ポイント拡大し、総合乖離率は+26.7%となりプラス幅が拡大しました。3つがプラスですので中期上昇トレンドは、"青信号"が点灯しています。日経平均は25日線、9日線の上に在りますので、短期的にも"青信号"です。
米国市場ではNY Dowは200日線、25日線、9日線の上に在り一目均衡表の雲の上に在ります。Nasdaqは一目均衡表の雲と200日線、25日線、9日線の上に在ります。短期的には"青信号"で中期的にも"青信号"が点灯しています。
[今週の見通し]
先週は、日本市場も年初来高値更新となりましたが、上海市場のモタツキが続き、米国市場の動きよりは下振れする形で推移しました。今週は、週初は民主党が圧勝すれば政局安定期待で一旦は買われる展開が予想されます。その後は上海市場を睨みながら、米国市場の動きに連動する形に戻ると思われます。
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