[市況]
29日のNY DowとNASDAQが大幅下落したことを受けて、日経平均先物は180円安で寄り付き、その後も終日軟調に推移し結局260円安で引けました。日経平均は257円安でした。寄付き前の外人は730万株の売り越しで、出来高は19.7億株と低水準で、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数の差はマイナス転換し、個別銘柄は"売り"が有利な状況となりました。
29日の米国株式市場は、12月の耐久財受注額が市場予想以上に減少し、12月の新築住宅販売件数は前月比14.7%の大幅減となり、週間の新規失業保険申請件数も市場予想を上回るなど、米景気の一段の悪化が確認されました。フォード・モーターが大幅な赤字決算を発表したことや、イーストマン・コダックが大型の人員削減計画を発表するなど、企業業績への不安も強まり、売りが優勢となりました。
30の日本市場では、米市場安や寄り付き前に発表された12月の鉱工業生産指数が前月比9.6%低下と市場予想を超えて悪化したことや総務省が発表した同月の完全失業率も41年ぶりの悪化幅となり、警戒感が出て大幅安となりました。
[テクニカル視点]
日経平均は、下落し、75日線、25日線の下に在りますが、9日線の上にありますので、短期トレンドは"黄信号"のままです。一方、一目均衡表の雲の下に在り、総合乖離率は-40.8%とマイナス幅が拡大し、200日線との乖離率も-30.0%とマイナス幅が拡大しましたが、3つがマイナスですので、中期的トレンドは、"赤信号"のままです。
金利差とファンダメンタルから見たイールド・スプレッドの日米差は、長期間、日本市場が割安でしたが、このところの日本企業のPERの悪化と米国の長期金利の低下により、日本市場が0.8ポイント割高となりました。テクニカルから見た割高・割安度である日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が3.2ポイント下回るレベルとなり、割安度は縮小しました。
NY Dowは、下落し、75日線、25日線、一目均衡表の雲の下に在り9日線を割りました。Nasdaqは、75日線一目均衡表の雲の下に在りますが、9日線の上にあり、25日線を割りましたので、米国市場の短期トレンドはまだ、"黄信号"です。中期トレンドは、"赤信号"です。
[ファンダメンタル視点]
日米市場とも経済指標の一段の悪化で下落しました。市場テーマである①ビッグ3救済問題、②世界的な実態経済の急速な悪化と効果的な景気対策、③金融機関の損失拡大による金融危機再燃。という課題のうち①は、政府の支援内容は繋なぎ策のみで、判断はオバマ政権に持ち越され一旦は落着いています。②については急激な景気悪化を示す懸念材料が止まりませんが、オバマ政権への期待感は強いものがあります。③については、日米主要企業の決算発表を終え業績内容の悪さが顕著ですが、まだ一巡したとは言えないようです。市場は、実態悪とオバマ政権への期待が交互に材料視されています。一方、中長期的に見ると、世界景気の減速がいつ収まるかは不透明で、ヘッジファンドを中心とする外人の売り圧力は当面続きそうです。加えて、市場は不動産価格も2010年までは下げが続くと見ているようですので、銀行の損失拡大懸念と企業の資金調達への影響はまだまだ根深そうです。先安感はまだ残っていると思われます。これからも、米国の金融機関の株価の推移を見守ることが重要と思われます。ちなみに、シティー グループの株価は、29日は下落しました。(1月の安値2.8ドルに対して現在3.9ドル)一方、今日現在の日経平均採用銘柄の今期予想増益率は-49.2%で、予想PERは18.0、PBRは0.92となりました。PBRは1.0を割り超長期投資としては買い場と思われます。
[今後の見通し]
日経平均は、円安一服もあり、米国市場の下落率ほどは上昇しませんでした。その結果、ドルベース(為替考慮後)の終値でのNY Dowと比較した場合の日経平均のプレミアムは+1.4%(120円の割安)となり再び割安幅が拡大しました。プレミアム値はここ1週間は-400~+80の範囲で動いています。海外投資家から見た日経平均の動きである、ドル換算チャートは、25日線の下に在りますが、まだ9日線の上にありますが、75日線と、一目均衡表の雲の下にでましたが、短期的には"黄信号"です。日経平均は、年初から外人投資家が戻ってきたことで、NY Dowと連動した動きにもどっています。ここ数日の日経平均の売られすぎが修正され、NY Dowと同水準に戻した感じです。日経平均は、25日線(8440円)には届かずに下落しました。目先は米国市場次第と思われますが、経済指標は一層悪化し、企業業績は下方修正が止まりません。かろうじて9日線の上にありますが、割るか否かで方向を見定めるのが良いと思います。
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