[市況]
27日のNY DowとNASDAQが上昇したことを受けて、日経平均先物は30円安で寄り付き、前場は160円安まで下落しましたが、後場中頃にかけて100円高となり、結局30円高で引けました。日経平均は45円高でした。寄付き前の外人は500万株の売り越しで、出来高は19.0億株と増加し、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数の差はマイナス幅が拡大し、個別銘柄はまだ"売り"が有利な状況ですがピーク・アウト感がでてきました。
27日の米国株式市場は、TIの予想以上の決算やアメックスが大幅に上昇し、ハイテクや金融株がつれ高して相場を支えました。ガイトナー米財務長官が就任し、景気刺激策や金融安定化策のとりまとめが進むとの期待が出たことも支援材料でした。
28日の日本市場では、前場は前日終値を挟んで推移していたが、後場は米オバマ政権の経済対策への期待感や、欧米の金融不安後退から大手銀行株が上昇するなど、上げ幅を拡大する場面があったものの、その後は戻り待ちの売りなどに押され、やや伸び悩んで引けました。
[テクニカル視点]
日経平均は、上昇し、75日線、25日線の下に在りますが、9日線の上にありますので、短期トレンドは"黄信号"となりました。一方、一目均衡表の雲の下に在り、総合乖離率は-38.6%とマイナス幅が縮小し、200日線との乖離率も-29.4%とマイナス幅が縮小しましたが、3つがマイナスですので、中期的トレンドは、"赤信号"のままです。
金利差とファンダメンタルから見たイールド・スプレッドの日米差は、長期間、日本市場が割安でしたが、このところの日本企業のPERの悪化と米国の長期金利の低下により、日本市場が0.8ポイント割高となりました。テクニカルから見た割高・割安度である日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が2.2ポイント下回るレベルとなり、割安度は拡大しました。
NY Dowは、上昇しましたが、75日線、25日線、一目均衡表の雲の下に在りますが9日線を抜きました。Nasdaqも、75日線、25日線、一目均衡表の雲の下に在りますが、9日線を抜きましたので、米国市場の短期トレンドは、"黄信号"となりました。中期トレンドも、"赤信号"です。
[ファンダメンタル視点]
日米市場ともオバマ政権の経済対策への期待感から上昇しました。市場テーマである①ビッグ3救済問題、②世界的な実態経済の急速な悪化と効果的な景気対策、③金融機関の損失拡大による金融危機再燃。という課題のうち①は、政府の支援内容は繋なぎ策のみで、判断はオバマ政権に持ち越され一旦は落着いています。②については急激な景気悪化を示す懸念材料が止まりませんが、オバマ政権への期待感は強いものがあります。③については、米主要企業の決算発表を終え業績内容の悪さが顕著です。市場は、金融不安、企業業績や雇用の悪化をまた問題視していますので、日本の決算発表が一巡するまで、懸念が残りそうです。一方、中長期的に見ると、世界景気の減速がいつ収まるかは不透明で、ヘッジファンドを中心とする外人の売り圧力は当面続きそうです。加えて、市場は不動産価格も2010年までは下げが続くと見ているようですので、銀行の損失拡大懸念と企業の資金調達への影響は根深そうです。先安感はまだ残っていると思われます。これからも、米国の金融機関の株価の推移を見守ることが重要と思われます。ちなみに、シティー グループの株価は、27日は上昇しました。(1月の安値2.8ドルに対して現在3.5ドル)一方、今日現在の日経平均採用銘柄の今期予想増益率は-45.9%で、予想PERは17.1、PBRは0.94となりました。PBRは1.0を割り超長期投資としては買い場と思われます。
[今後の見通し]
日経平均は、米国市場の上昇率に連動した動きとなりました。その結果、ドルベース(為替考慮後)の終値でのNY Dowと比較した場合の日経平均のプレミアムは+0.2%(10円の割高)と昨日と同レベルでした。プレミアム値はここ1週間は-400~+80の範囲で動いています。海外投資家から見た日経平均の動きである、ドル換算チャートは、25日線の下に在りますが、9日線の上にあり、75日線を抜き、一目均衡表の雲の中に入りましたので、短期的には"黄信号"です。日経平均は、年初から外人投資家が戻ってきたことで、NY Dowと連動した動きにもどっています。ここ数日の日経平均の売られすぎが修正され、NY Dowと同水準に戻した感じです。日本市場はここからも、目先は米国市場次第と思われますが、9日線(8011円)を抜きましたので、25日線(8460円)までの戻りはあっても良いと思います。ただ、9日線(8011円)を割るようであれば、売りスタンスが良いように思います。
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