[市況]
9日のNYSEとNASDAQが下落したことを受けて、日経平均は120円ほど安く寄りつきましたが、その後は上昇に転じ、後場も堅調に推移して、結局15円高で引けました。外人は440万株の売り越しで、出来高は20.1億株と若干増加したものの低水準で、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数の差はマイナス幅が拡大しました。個別銘柄は"売り"が有利な状況ですが安値更新銘柄数は増加傾向となりボトムアウト感はなくなりました。
9日の米国株式市場は、資本に関する不安がくすぶるフレディマックやファニーメイが急反落し、大手銀行株や証券株も大幅安となりました。シスコシステムズとインテルの業績に関するアナリストの慎重な見方が伝わり、ハイテク株も下落しました。さらにアナリストが目標株価の引き下げを発表した小売株が軟調となり、株価指数は大幅に下落しました。10日の日本市場では、米市場の急落を受けて、寄付きは13000円台を割り込んだものの、SQ算出を控えて、13000円を守りたい参加者から先物に支え的な買いが入ったようです。不動産、銀行、小売株、自動車や非鉄株などが買われ、後場は前日を上回って推移しました。
[テクニカル視点]
一目均衡表では雲の下に抜け、総合乖離率は-19.0%とマイナス幅が若干縮小し、200日線との乖離率も-9.5%とマイナス幅は若干縮小しましたが、3つともマイナスですので、中期的トレンドは、"赤信号"となりました。
一方、金利差とファンダメンタルから見たイールド・スプレッドの日米差からの割安感は1.9ポイントと変化はありませんが、テクニカルから見た割安・割高度である日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が0.9ポイント上回わるレベルとなり、若干割高となりました。
NY Dowは、一目均衡表の雲の下に在り、さらに、75日線、25日線、9日線の下でも在ります。9日線は抜けませんでしたが、安値更新とはなりませんでした。Nasdaqも一目均衡表の雲の下に抜け、9日線、25日線、75日線の下で、9日線を抜くことはできませんでしたが、安値更新とはなりませんでした。日経平均は9日線、25日線、75日線の下に在り、今日も一目均衡表の雲の中に戻れず逆に雲とは離れつつあります。数日内にもどれないと、中期的に下降トレンド入りを覚悟しなければなりません。
[ファンダメンタル視点]
米国市場は原油高と金融不安に企業業績悪化も加わってきました。株価指数はテクニカルな視点で目先のリバウンドは近そうですが、今後もしばらく不動産下落も続きそうですので、中長期的には、金融機関の破綻懸念と企業の資金調達への影響は根深そうです。反転するには公的資金を活用した破綻懸念の払拭が必須と思われますが、現在のところ、まだ対策が出ていません。来週に主要銀行の第一四半期の決算発表時を控えていますので、疑心暗鬼が続いています。しかし、逆に有効な対策がでると、金融株の急騰も有り得ます。そろそろ、対策が出ても良い時期ではないかと思います。ここからは、米国の金融機関の株価の推移を見守ることが重要と思われます。ちなみに、シティー グループの株価は、また安値更新寸前まで下げました。(3月安値18.6ドルに対して現在16.4ドル)一方、日本企業の3月期決算発表は終わりましたが、今日現在の日経平均の今期予想増益率は-2.0%で、予想PERは15.6となりました。
[今後の見通し]
今日は、米国安にも関わらず若干上昇しました。やはりSQがらみで13000円に近づけたい向きがあったようです。終値でのNY Dowと比較した場合の日経平均のプレミアムは約0.4%(+60円)と若干割高となりました。ドル換算チャートでは一目均衡表の雲の下に抜けて、今日の安値は3月の安値を割り2月の安値に並びました、中期的な低迷も危惧されます。円ベースの日経平均は売られすぎ感はあるものの、今日も冴えず、一目均衡表の雲の下限に沿ってリバウンドするシナリオは急反発しないと困難になってきました。米国市場が落着かないことには、9日線を抜いて短期的な上昇転換を確認することは難しそうです。
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