[市況]
28日のNYSEとNASDAQが大幅下落したことを受けて、日経平均は前日比130円ほど安く寄りつき、前場はさらに下落し一時330円ほど安くなる場面もありましたが、後場に若干もどし、結局194円安で引けました。出来高は17.2億株と低水準で、寄付き前の外人は1160万株の売り越しとなり、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数の差はマイナス転換し、個別銘柄は"売り"が有利な状況となりました。
28日の米国株式市場では、前週末の米地銀2行の破綻発表などを受けて米金融機関の財務不安が改めて強まったほか、IMFが、世界の金融市場について金融危機の懸念が残るとの厳しい判断を示したことも重しとなり、原油上昇も重なり株価指数は大幅下落しました。
29日の日本市場では、米市場が大幅に下落したことが嫌気され、トヨタやソニーなど輸出関連株や大手銀行株など主力株中心に幅広く売りが出ました。国内企業の4-6月期決算発表や米国の7月の雇用統計などの重要経済指標の発表を控え、様子見ムードも強く出来高も少ない状況が続いています。
[テクニカル視点]
日経平均は、75日線と一目均衡表の雲の下ですが、今日は、25日線を割ってしまいましたが9日線はかろうじて上回って終了しました。総合乖離率は-12.2%とマイナス幅が拡大し、200日線との乖離率も-7.5%とマイナス幅が拡大しました。3つともマイナスですので、中期的トレンドは、"赤信号"のままです。
一方、金利差とファンダメンタルから見たイールド・スプレッドの日米差からの割安感は2.1ポイントに減少、テクニカルから見た割安・割高度である日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が0.8ポイント下回わるレベルで、若干割高となっています。
NY Dowは、下落し、一目均衡表の雲と、75日線、9日線と25日線の下に在ります。Nasdaqは一目均衡表の雲と75日線の下に在り、25日線と9日線を共に割りました。米国市場は目先の下落リスクが強まり正念場となりました。
[ファンダメンタル視点]
米国市場は地銀破綻で、金融不安が払拭できません。まだ短期的には上昇余地はあると思われますが、今後もしばらく不動産下落も続きそうですので、中長期的に見ると、金融機関の破綻懸念と企業の資金調達への影響は根深そうです。反転するにはさらなる公的資金を活用した破綻懸念の払拭策が必須と思われます。第二弾の対策が出ましたので市場の評価を見守る必要がありそうです。ここからも、米国の金融機関の株価の推移を見守ることが重要と思われます。ちなみに、シティー グループの株価は、28日は下落しました。(7月安値14.0ドルに対して現在17.4ドル)一方、日本企業の、今日現在の日経平均の今期予想増益率は-5.0%に悪化し、予想PERは15.9となりました。
[今後の見通し]
日本市場は出来高は縮小し、様子見気分が強い中で米国市場につれて下落しました。その結果、ドルベースの終値でのNY Dowと比較した場合の日経平均のプレミアムは+0.5%(+60円)となり若干割高となりました。ドル換算チャートでは25日線に続き、9日線も大きく割って、直近の安値に接近しています。これを割るとまずいことになりそうですので、正念場を迎えたようです。しかし、まだボリンジャーバンドの+2σまでの短期的な上昇の可能性は残されていると思います。
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