[市況]
10月31日、NYDowとNASDAQは下落しました。11月1日の日経平均先物は、前日比670円安で寄り付くと、午前中は610円安から970円安と下落幅を拡げ、午後は790円安から1120円安と下落幅を拡げて、結局、940円安で取引を終えました。日経平均の終値は1027円安の38053円で、出来高は19.96億株と高水準でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態です。
空売り比率は、5日平均を上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、強まりました。
10月31日の米国市場では、前日に四半期決算を発表したマイクロソフトやメタプラットフォームズが大幅下落し、ハイテク株全般に売りが波及しました。9月のPCE物価指数でコア指数が市場予想を上回り、インフレ圧力の根強さが示されたことも投資家心理の重石となりました。NYDowは3日続落し、NASDAQも続落しました。
11月1日の日本市場では、前日の米株式市場でハイテク株が大きく売られたことや、植田日銀総裁が早期の追加利上げを示唆する発言をしたこと、外国為替市場で円相場が強含んだことなどが重石となり、幅広い銘柄に売りが膨らみました。国内企業の決算がいまのところ投資家の期待を下回っていることも株売りにつながりました。日経平均は大幅に続落しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、9日線と25日線を下回りました。短期トレンドは青信号から赤信号に変わりました。
総合乖離率は-2.6%とマイナスに転換し、200日線との乖離率も-0.9%とマイナスに転換しました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素のうち2つがマイナスとなり、中期トレンドは青信号から黄信号に変わりました。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、25日線の下にあり、9日線と200日線を下回りました。
NYDowは、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、200日線の上にありますが、9日線と25日線を下回りました。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドは黄信号から赤信号に変わりました。中期トレンドには青信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-7.3ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が2780円ほど割安であることを示しています。一方、NYDowとの差は、-5.8ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が2210円ほど割安であることを示しています。
日経VIは26.03と前日より上昇し、VIXも23.16と前日より上昇しました。両指数ともに、投資家が相場変動に警戒を強めているとされる目安の20を上回っています。NYDowと比べて、日経平均は弱い状態であり、前日比で弱さは拡大しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-5.6、米国+0.1と日本が5.7ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+2.9、米国が+3.9)は1.0ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.72ポイント(日経平均換算で99650円)割安となっています。
市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の7~9月期のGDP速報値は前期比年率2.8%増で、市場予想の3.0%増を下回りました。また、7~9月期の米企業の決算は、まちまちです。
経済指標を見てみます。
10月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、10月のミシガン大学消費者信頼感指数、9月の耐久財受注、9月の小売売上高、10月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、9月の消費者物価指数、9月のISM非製造業景況指数、9月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を上回りました。一方、9月の鉱工業生産指数、10月のニューヨーク連銀製造業景況指数、9月のISM製造業景況指数、8月の製造業受注は市場予想を下回りました。経済指標は8勝4負で、景気面では強気材料ですが、利下げ幅が縮まるという面では弱気材料です。
米国の9月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比25.4万人増で、市場予想の15.0万人増を大幅に上回りました。また、失業率は4.1%で、前月の4.2%から改善されました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利下げ幅が縮まるという面では弱気材料です。
米国の住宅関連の指標を見てみます。
9月の住宅着工件数、9月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、9月の中古住宅販売件数、8月の中古住宅販売仮契約指数、8月の新築住宅販売件数は市場予想を下回りました。8月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+5.2%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は3勝3負で、景気・金利の両面で中立です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRBは9月のFOMCで0.5%の大幅利下げを決定しました。ECBは、追加の利下げを実施し、中銀預金金利を3.5%としました。一方、日銀は、0.25%の金利水準を維持しています。また、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。
日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが15.35、PBRが1.34となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは8.8%となり、これは3か月前より0.2ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は+1.5%で、こちらは3か月前より0.2ポイント改善されています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowの下落と連動して下げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-2.2%となり、日経平均の割安幅は500円から880円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-1210円~-330円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、3.35ポイントから3.34ポイントに縮小しました。ドル円相場は前日より円高ですが、日中は円安方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には下降トレンドで、中期的には上昇トレンドです。日経平均は、短期的には下降トレンドで、中期的にはもみあいです。
11月1日の米国市場では、10月の雇用統計や10月のISM製造業景況指数のほか、エクソン・モービルやシェブロンなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の動向も株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲を下ぶれしました。上値は想定ラインを890円ほど下回り、下値は想定ラインを670円ほど下回りました。目先は、ボリンジャーバンド-1σ+400円(現在38530円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-2σ(現在37640円近辺)が下値の目安となります。
日経VIは、依然として高水準にあります。また、信用の売り圧力は、強まりました。米半導体株の下落を受け、日経平均は大幅に続落しました。週明けは、米雇用統計次第ではありますが、しばらくは下落圧力が強い相場となりそうです。
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