[市況]
11月14日、NYDowとNASDAQは下落しました。11月15日の日経平均先物は、前日比330円高で寄り付くと、午前中は170円高から550円高の間で上下し、午後は360円高から20円高と上昇幅を縮めて、結局、90円高で取引を終えました。日経平均の終値は107円高の38642円で、出来高は21.88億株と高水準でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態です。
空売り比率は、5日平均を5日ぶりに下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、弱まりました。
11月14日の米国市場では、高値警戒感がくすぶるなか、10月の生産者物価指数(PPI)が市場予想を上回ったことや、パウエルFRB議長が講演で利下げに慎重な姿勢を示したことなどが投資家倫理の重石となり、利益確定の売りが優勢となりました。テスラやアルファベットなど、ハイテク株の一角も売られました。結局、NYDowは反落し、NASDAQは3日続落しました。
11月15日の日本市場では、外国為替市場の円安ドル高進行を受け、自動車や機械など輸出関連株を中心に買いが優勢となりました。また、オランダの半導体製造装置大手ASMLホールディングが強気な売上高見通しを示したことが好感され、指数寄与度の高い半導体関連株が買われました。ただ、買い一巡後は利益確定の売りや戻り待ちの売りが相場の上値を抑えました。日経平均は4日ぶりに反発しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、9日線と25日線の下にあります。短期トレンドには赤信号が点灯しています。
総合乖離率は+1.5%とプラス幅を拡げ、200日線との乖離率も+0.3%とプラス幅を拡げました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドには青信号が点灯しています。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の下にあります。
NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドにも青信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-11.0ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が4250円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、-8.9ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が3440円ほど割安であることを示しています。
日経VIは24.21と前日より低下し、VIXは14.31と前日より上昇しました。日経VIは、投資家が相場変動に警戒を強めているとされる目安の20を依然として上回っています。NYDowと比べて、日経平均は弱い状態ですが、前日比で弱さは縮小しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-5.2、米国+0.4と日本が5.6ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+2.9、米国が+3.9)は1.0ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.60ポイント(日経平均換算で105710円)割安となっています。
市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の7~9月期のGDP速報値は前期比年率2.8%増で、市場予想の3.0%増を下回りました。また、7~9月期の米企業の決算は、まちまちです。
経済指標を見てみます。
11月のミシガン大学消費者信頼感指数、10月のISM非製造業景況指数、10月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、9月の耐久財受注、9月の小売売上高、10月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数は市場予想を上回りました。また、10月の消費者物価指数、9月の製造業受注は市場予想と一致しました。一方、10月のシカゴ購買部協会景気指数、10月のISM製造業景況指数、9月の鉱工業生産指数、10月のニューヨーク連銀製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標は8勝4負で、景気面では強気材料ですが、利下げ幅が縮まるという面では弱気材料です。
米国の10月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比1.2万人増で、市場予想の11.3万人増を大幅に下回りました。また、失業率は4.1%で、前月の4.1%から横ばいでした。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利下げ幅が広がるという面では強気材料です。
米国の住宅関連の指標を見てみます。
9月の住宅着工件数、9月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、9月の中古住宅販売件数、8月の中古住宅販売仮契約指数、8月の新築住宅販売件数は市場予想を下回りました。8月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+5.2%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は3勝3負で、景気・金利の両面で中立です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRBは11月のFOMCで0.25%の追加利下げを決定しました。ECBは、追加の利下げを実施し、中銀預金金利を3.5%としました。一方、日銀は、0.25%の金利水準を維持しています。また、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。
日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが15.93、PBRが1.42となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは8.9%となり、これは3か月前より0.2ポイント改善されています。一方、今期予想利益の伸率は+0.7%で、こちらは3か月前より1.6ポイント悪化しています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowが下落したにもかかわらず上昇しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-5.2%となり、日経平均の割安幅は2430円から2100円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-2430円~-1280円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、3.41ポイントから3.39ポイントに縮小しましたが、ドル円相場は円安方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には上昇トレンドで、中期的にも上昇トレンドです。日経平均は、短期的には下降トレンドで、中期的には上昇トレンドです。
11月14日の米国市場では、11月のニューヨーク連銀製造業景況指数や、10月の小売売上高、10月の鉱工業生産指数などが注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の動向も株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲を上ぶれしました。上値は想定ラインを80円ほど上回り、下値は想定ラインを590円ほど上回りました。目先は、25日線+200円(現在39120円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-1σ-100円(現在38290円近辺)が下値の目安となります。
日経VIは、依然として高水準にあります。一方、信用の売り圧力は弱まりました。日経平均は4日ぶりに反発しました。上昇が継続するには、当面、半導体関連株の支えが必要なようです。
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