[市況]
11月27日、NYDowとNASDAQは下落しました。11月28日の日経平均先物は、前日比210円安で寄り付くと、午前中は300円安から290円高と上昇に転じ、午後は390円高から160円高の間で上下して、結局、280円高で取引を終えました。日経平均の終値は214円高の38349円で、出来高は16.90億株と高水準でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態です。
空売り比率は、5日平均を3日連続で下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、強い状態です。
11月27日の米国市場では、感謝祭の祝日を前に短期的な過熱感が意識され、利益確定の売りが優勢となりました。四半期決算で収益見通しが振るわなかったデル・テクノロジーズが12%あまり下落し、AI需要への期待感が後退したことも、ハイテク株には重石となりました。結局、NYDowは6営業日ぶりに反落し、NASDAQも5営業日ぶりに反落しました。
11月28日の日本市場では、前日の米株安を受けて売りが先行しましたが、「米政府の対中半導体輸出規制が当初の想定ほど厳しくないものになる」とブルームバーグの報道で伝わると、安心感から半導体関連株に押し目買いが入り、指数を押し上げました。ただ、日経平均が25日移動平均線に近付く場面では利益確定の売りが出て、上値が重くなりました。日経平均は3日ぶりに反発しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、25日線の下にありますが、9日線を上回りました。短期トレンドは赤信号から黄信号に変りました。
総合乖離率は-1.1%とマイナス幅を縮め、200日線との乖離率も-0.7%とマイナス幅を縮めました。一目均衡表では雲の中にあります。3つの要素のうち2つがマイナスであり、中期トレンドにも黄信号が点灯しています。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の下にありますが、9日線の上にあり、25日線を上回りました。
NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドにも青信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-10.8ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が4140円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、-11.7ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が4490円ほど割安であることを示しています。
日経VIは23.65と前日より低下し、VIXは14.10と前日比で横ばいでした。日経VIは、投資家が相場変動に警戒を強めているとされる目安の20を依然として上回っています。NYDowと比べて、日経平均は弱い状態ですが、前日比で弱さは縮小しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-5.4、米国+0.2と日本が5.6ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.0、米国が+3.9)は0.9ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.70ポイント(日経平均換算で102960円)割安となっています。
市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の7~9月期のGDP改定値は前期比年率2.8%増で、速報値の2.8%%増と変わりませんでした。また、7~9月期の米企業の決算は、まちまちです。
経済指標を見てみます。
11月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、10月のISM非製造業景況指数、9月の小売売上高は市場予想を上回りました。また、10月の消費者物価指数、9月の製造業受注は市場予想と一致しました。一方、10月の耐久財受注、11月のミシガン大学消費者信頼感指数、11月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、10月のシカゴ購買部協会景気指数、10月のISM製造業景況指数、9月の鉱工業生産指数、10月のニューヨーク連銀製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標は5勝7負で、景気面では弱気材料ですが、利下げ幅が広がるという面では強気材料です。
米国の10月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比1.2万人増で、市場予想の11.3万人増を大幅に下回りました。また、失業率は4.1%で、前月の4.1%から横ばいでした。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利下げ幅が広がるという面では強気材料です。
米国の住宅関連の指標を見てみます。
10月の中古住宅販売件数、9月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、10月の新築住宅販売件数、10月の住宅着工件数、8月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を下回りました。9月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+4.6%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は2勝4負で、景気面では弱気材料ですが、利下げ幅が広がるという面では強気材料です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRBは11月のFOMCで0.25%の追加利下げを決定しました。ECBは、追加の利下げを実施し、中銀預金金利を3.5%としました。一方、日銀は、0.25%の金利水準を維持しています。また、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。
日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが15.51、PBRが1.41となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは9.1%となり、これは3か月前より0.3ポイント改善されています。一方、今期予想利益の伸率は+2.5%で、こちらは3か月前と同水準です。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowが下落したにもかかわらず上昇しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-2.7%となり、日経平均の割安幅は1750円から1050円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-1750円~-1050円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、3.22ポイントから3.21ポイントに縮小しました。ドル円相場は円高方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には上昇トレンドで、中期的にも上昇トレンドです。日経平均は、短期的はもみあいで、中期的にももみあいです。
11月28日の米国は感謝祭の祝日で、株式市場は休場です。
きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを190円ほど下回り、下値は想定ラインを150円ほど上回りました。目先は、25日線+100円(現在38770円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-1σ-200円(現在37960円近辺)が下値の目安となります。
日経VIは、依然として高水準にあります。また、信用の売り圧力は、強い状態です。日経平均は、半導体関連株の戻りを受けて反発しました。日足は包み足の陽線となっており、反転継続が期待できそうです。
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