[市況]
11月20日、NYDowは上昇し、NASDAQは下落しました。11月21日の日経平均先物は、前日比190円安で寄り付くと、午前中は60円安から490円安と下落幅を拡げ、午後は300円安から490円安の間でもみあって、結局、400円安で取引を終えました。日経平均の終値は326円安の38026円で、出来高は16.80億株と高水準でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナスに転換しました。個別銘柄に関しては、「売り」有利となりました。
空売り比率は、5日平均を2日連続で上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、強まりました。
11月20日の米国市場では、前日までの4営業日でNYDowが700ドル近く下げているとあって、値ごろ感を意識した買いが入りました。一方、ハイテク株には持ち高調整の売りが向かいました。四半期決算を間近に控えたエヌビディアも下落しました。結局、NYDowは5営業日ぶりに反発し、NASDAQは3営業日ぶりに反落しました。
11月21日の日本市場では、決算を発表した米エヌビディアが時間外取引で下落したことを受け、半導体関連株をはじめとした幅広い銘柄に売りが向かいました。ウクライナ情勢をめぐる地政学的リスクの高まりも、引き続き投資家心理の重石となりました。ただ、日経平均が3万8000円に近付くと値ごろ感からの買いが入り、相場を下支えしました。日経平均は続落しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、9日線と25日線の下にあります。短期トレンドには赤信号が点灯しています。
総合乖離率は-2.9%とマイナス幅を拡げ、200日線との乖離率も-1.4%とマイナス幅を拡げました。一目均衡表では雲の中に入りました。3つの要素のうち2つがマイナスであり、中期トレンドには黄信号が点灯しています。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の下にあります。
NYDowは、25日線と200日線の上にありますが、9日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、25日線と200日線の上にありますが、9日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには黄信号が点灯しています。中期トレンドには青信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-11.5ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が4370円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、-9.5ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が3610円ほど割安であることを示しています。
日経VIは26.15と前日より上昇し、VIXも17.16と前日より上昇しました。日経VIは、投資家が相場変動に警戒を強めているとされる目安の20を依然として上回っています。NYDowと比べて、日経平均は弱い状態であり、前日比で弱さは拡大しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-5.3、米国+0.3と日本が5.6ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.0、米国が+3.9)は0.9ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.71ポイント(日経平均換算で109140円)割安となっています。
市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の7~9月期のGDP速報値は前期比年率2.8%増で、市場予想の3.0%増を下回りました。また、7~9月期の米企業の決算は、まちまちです。
経済指標を見てみます。
11月のミシガン大学消費者信頼感指数、10月のISM非製造業景況指数、10月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、9月の耐久財受注、9月の小売売上高、10月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数は市場予想を上回りました。また、10月の消費者物価指数、9月の製造業受注は市場予想と一致しました。一方、10月のシカゴ購買部協会景気指数、10月のISM製造業景況指数、9月の鉱工業生産指数、10月のニューヨーク連銀製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標は8勝4負で、景気面では強気材料ですが、利下げが減速するという面では弱気材料です。
米国の10月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比1.2万人増で、市場予想の11.3万人増を大幅に下回りました。また、失業率は4.1%で、前月の4.1%から横ばいでした。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利下げ幅が広がるという面では強気材料です。
米国の住宅関連の指標を見てみます。
9月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、10月の住宅着工件数、9月の中古住宅販売件数、8月の中古住宅販売仮契約指数、8月の新築住宅販売件数は市場予想を下回りました。8月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+5.2%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は2勝4負で、景気面では弱気材料ですが、利下げが加速するという面では強気材料です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRBは11月のFOMCで0.25%の追加利下げを決定しました。ECBは、追加の利下げを実施し、中銀預金金利を3.5%としました。一方、日銀は、0.25%の金利水準を維持しています。また、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。
日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが15.75、PBRが1.43となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは9.1%となり、これは3か月前より0.3ポイント改善されています。一方、今期予想利益の伸率は+2.0%で、こちらは3か月前より0.1ポイント悪化しています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowが上昇したにもかかわらず下落しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-4.0%となり、日経平均の割安幅は1180円から1590円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-2100円~-1180円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、3.35ポイントから3.32ポイントに縮小しました。ドル円相場はもみあいました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。日経平均は、短期的には下降トレンドで、中期的にはもみあいです。
11月21日の米国市場では、週間の新規失業保険申請件数や、11月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、10月の中古住宅販売件数のほか、ディア、ネットアップ、インチュイットなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の動向も株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを450円ほど下回り、下値は想定ラインを30円ほど上回りました。目先は、25日線-100円(現在38620円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-2σ-100円(現在37610円近辺)が下値の目安となります。
日経VIは、依然として高水準にあります。また、信用の売り圧力は、強まりました。日経平均は続落しました。米金融政策やウクライナ情勢の先行き不透明感が払拭されない限り、目先、自律反発があったとしても、上値の重さは変わらないでしょう。
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