[市況]
11月25日、NYDowとNASDAQは上昇しました。11月26日の日経平均先物は、前日比30円安で寄り付くと、午前中は10円安から710円安と下落幅を拡げ、午後は580円安から250円安と下落幅を縮めて、結局、250円安で取引を終えました。日経平均の終値は338円安の38442円で、出来高は19.06億株と高水準でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナスに転換しました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態となりました。
空売り比率は、5日平均を3日ぶりに上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、強まりました。
11月25日の米国市場では、買いが優勢となりました。トランプ次期大統領が新政権の財務長官に投資家のスコット・ベッセント氏を指名したと伝わり、同氏の経済成長を促す政策に前向きな姿勢が評価されました。長期金利が大幅に低下し、株式の相対的な割高感が薄れたことも支えとなりました。NYダウは4日続伸して最高値を更新しました。NASDAQも3日続伸しました。
11月26日の日本市場では、トランプ次期米大統領が中国やカナダ、メキシコに対して関税を強化すると表明したことから、半導体関連や自動車など主力の輸出株を中心に、リスク回避目的の売りが広がりました。ただ、下値では押し目買いが入ったほか、ディフェンシブ株にも買いが向かい、指数には底堅さも見られました。日経平均は3営業日ぶりに反落しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、9日線の上にありますが、25日線を下回りました。短期トレンドは青信号から黄信号に変りました。
総合乖離率は-0.1%とマイナスに転換し、200日線との乖離率も-0.4%とマイナスに転換しました。一目均衡表では雲の中に入りました。3つの要素のうち2つがマイナスとなり、中期トレンドも青信号から黄信号に変りました。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、25日線と200日線の下にありますが、9日線の上にあります。
NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドにも青信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-10.7ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が4110円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、-11.6ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が4460円ほど割安であることを示しています。
日経VIは24.61と前日より上昇し、VIXも14.60と前日より低下しました。日経VIは、投資家が相場変動に警戒を強めているとされる目安の20を依然として上回っています。NYDowと比べて、日経平均は弱い状態であり、前日比で弱さは拡大しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-5.4、米国+0.2と日本が5.6ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.0、米国が+3.9)は0.9ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.69ポイント(日経平均換算で104800円)割安となっています。
市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の7~9月期のGDP速報値は前期比年率2.8%増で、市場予想の3.0%増を下回りました。また、7~9月期の米企業の決算は、まちまちです。
経済指標を見てみます。
10月のISM非製造業景況指数、10月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、9月の耐久財受注、9月の小売売上高は市場予想を上回りました。また、10月の消費者物価指数、9月の製造業受注は市場予想と一致しました。一方、11月のミシガン大学消費者信頼感指数、11月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、10月のシカゴ購買部協会景気指数、10月のISM製造業景況指数、9月の鉱工業生産指数、10月のニューヨーク連銀製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標は6勝6負で、景気・金利の両面で中立です。
米国の10月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比1.2万人増で、市場予想の11.3万人増を大幅に下回りました。また、失業率は4.1%で、前月の4.1%から横ばいでした。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利下げ幅が広がるという面では強気材料です。
米国の住宅関連の指標を見てみます。
10月の中古住宅販売件数、9月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、10月の住宅着工件数、8月の中古住宅販売仮契約指数、8月の新築住宅販売件数は市場予想を下回りました。8月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+5.2%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は3勝3負で、景気・金利の両面で中立です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRBは11月のFOMCで0.25%の追加利下げを決定しました。ECBは、追加の利下げを実施し、中銀預金金利を3.5%としました。一方、日銀は、0.25%の金利水準を維持しています。また、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。
日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが15.60、PBRが1.42となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは9.1%となり、これは3か月前より0.3ポイント改善されています。一方、今期予想利益の伸率は+2.3%で、こちらは3か月前より0.2ポイント悪化しています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowが上昇したにもかかわらず下落しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-4.3%となり、日経平均の割安幅は1270円から1660円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-1660円~-1180円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、3.28ポイントから3.24ポイントに縮小しました。ドル円相場は円高方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には上昇トレンドで、中期的にも上昇トレンドです。日経平均は、短期的にはもみあいで、中期的にももみあいです。
11月26日の米国市場では、9月の住宅価格指数、9月のS&Pケース・シラー米住宅価格指数、10月の新築住宅販売件数、11月コンファレンスボード消費者信頼感指数、FOMC議事要旨のほか、デル、HP、ベストバイ、JMスマッカー、アナログ・デバイセズ、クラウド・ストライクなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の動向も株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲を下ぶれしました。上値は想定ラインを570円ほど下回り、下値は想定ラインを350円ほど下回りました。目先は、25日線+300円(現在38970円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-1σ-200円(現在37960円近辺)が下値の目安となります。
日経VIは、依然として高水準にあります。また、信用の売り圧力は、強まりました。日経平均は反落しました。半導体関連株の戻りがなければ、現状の上値の重さを脱することは難しそうです。
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