[市況]
5日、NYDowは下落し、NASDAQは小幅上昇しました。6日の日経平均先物は、前日比30円高で寄り付き、前場は30円安まで売られた後80円高まで切り返す場面もありました。後場も一時高値を更新しましたが、引けにかけて売られ、最終的に前日比20円高で引けました。日経平均は49円高で引け、出来高は22.8億株と増加しました。寄り付き前の外国人の売買注文は、490万株の買い越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅が縮小しました。個別銘柄に関しては「買い」が有利な状態ですが、弱含みです。
5日の米国市場では、11月の仮契約住宅販売指数が市場予想以上に低下し、10ヶ月ぶりに前月の水準を割ったことで、上昇基調が途切れ、住宅市場の底入れ期待がやや後退しました。さらに、原油が下げに転じる場面で、NYDowは下げ幅を拡大する場面もありました。一方、11月の製造業受注額が市場予想以上に増加したことなどで、積極的な売りも限られ下げ渋って終了しました。
6日の日本市場では、朝方は利益確定売りから小安く推移する場面もありましたが、為替が円安方向へ振れたこともあり、すぐに、切り返しました。後場はアジア市場の堅調推移も好感され、一時80円超上昇する場面もありました。その後は短期的な過熱感も意識されて上値は重く、次第に模様眺めムードが強まりました。
[テクニカル視点]
日経平均は9日線、25日線の上に在ります。短期トレンドは青信号が点灯しています。総合乖離率は+22.7%とプラス幅が拡がりました、200日線との乖離率は+10.6%とプラス幅が拡がりました。日経平均は一目均衡表の雲の上に在ります。3つの要素がプラスですので、中期的トレンドは青信号が点灯しています。また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線、9日線、25日線、75日線および一目均衡表の雲の上に在ります。
NYDowは9日線・25日線・75日線・200日線および一目均衡表の雲の上に在ります。NASDAQは、9日線・25日線・75日線・200日線および一目均衡表の雲の上に在ります。米国市場の短期トレンドは青信号が点灯しています。中期トレンドは青信号が点灯しています。
テクニカル的な指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が7.1ポイント割安であることを示しています。日本市場の割安幅は0.5ポイント縮小しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2010年の予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が2.0ポイント割高となっています。
市場は現在、「米国と中国における実体経済の見通し」「欧米の金融機関の損失拡大や新興国の債務不履行による金融危機再来」「為替の動向」といった事柄を興味の対象としているようです。
米国の7月~9月期のGDPや米企業の7月~9月期決算は概ね好調です。12月のISM製造業景況指数や小売売上高も予想以上で、12月の消費者信頼感指数は2ヶ月連続で上昇しました。11月の失業率は10%でしたが、雇用者数の減少幅は市場予想を大きく下回り改善が顕著でした。一方、住宅関連では、10月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年同月比の下落率が縮小しています。11月の中古住宅販売は好調なものの、11月の仮契約住宅販売指数が市場予想以上に低下しました。景気指標総じて米国の景気の改善を示しているようです。
米大手銀行の相次ぐ公的資金返済発表で表面的に資本不足は解消し、金融は正常化したように見えますが、時価会計基準が緩和されたこともあり、金融機関の不良資産が本当に減少しているかどうかは定かではありません。また、米地銀の不良債権問題の影響も懸念されます。新たにドバイショックから他の財政赤字国の債務不履行懸念も顕在化してきました。このような環境の下、FRBは当面、超低金利政策を維持するようです。
オーストラリアの中央銀行が利上げしたことを見るに、世界的な低金利政策は、各国の事情による金利政策に取って代わられつつあるようです。為替は今後も、金利差の変動に大きく左右されるでしょう。
世界景気は底を打ったように見えますが、前年からの落ち込み幅は小さくありません。輸出の低迷や雇用の減少は、世界中で継続しています。また、2010年まで続くと言われる商業用不動産価格の下落や個人向けローンのこげつきは、金融機関の不良債権の増加を懸念させ、企業および個人の資金調達に悪影響を及ぼしています。先安感は今後も居座り続けるでしょう。引き続き、金融機関の株価の推移や経済指標などに留意することが肝要です。
ちなみに、シティグループの株価は5日、上昇しました。(昨年1月高値7.59ドル・昨年3月安値1.02ドルに対し、現在3.53ドル)。
一方、日経平均採用銘柄に関しては、予想PERが36.5、PBRが1.32となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、円安に振れたこともあり、米国市場の下落にも関わらず上昇しました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+0.9%となり、日経平均は90円の割高で、割高幅は縮小しました。プレミアム値は、ここ1週間、+40円~+280円の間で推移しています。日経平均は、高値警戒感があり、年初来高値の更新とはなりませんでした。今夜の米国市場では12月のADP雇用統計、ISM非製造業景況感指数、11月のFOMC議事要旨などが注目されそうです。ADP雇用統計は週末の雇用統計を占う上で関心が集まりそうです。日米金利差が多少縮小傾向が見られますので、FOMCの議事録の内容などで、為替が円高方向に動くことも考えられます。テクニカル指標に高値警戒感を示すものも出ていますので、円高に振れると、日経平均も売られる場面が出てきそうです。
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