[市況]
12日、NYDowとNASDAQは下落しました。13日の日経平均先物は、前日比120円安で寄り付きました、前場は30円安まで下げ幅を縮める場面もありましたが、下落に転じ、後場開始後に170円安まで売られました、その後は戻り歩調となり、最終的に前日比110円高で引けました。日経平均は144円安で引け、出来高は31.4億株と高水準ながら、内8億株はJALでした。寄り付き前の外国人の売買注文は、380万株の買い越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅が縮小しました。個別銘柄に関しては「買い」が有利な状態です。
12日の米国市場では、前日夕発表のアルコアの決算が期待したほどよい内容ではないと受け止められ、アルコアが急落したことや、中国人民銀行の利上げ発表も嫌気されて、株価指数は下落しました。また、オバマ政権が金融システム救済に投じた公的資金の損失を取り戻すため、金融機関から手数料を徴収することを検討していると報じられたことで金融株が下落したことも、相場の足かせになりました。
13日の日本市場では、米市場安と円高で下落して始まりました。米年金の買い観測から急速に下げ渋る場面もありましたが、上値では利益確定売りが優勢となりました。また、中国の利上げがアジア経済の成長鈍化を招くとの見方も重しとなり、後場に入ると再び売りが優勢となりました。
[テクニカル視点]
日経平均は9日線、25日線の上に在ります。短期トレンドは青信号が点灯しています。総合乖離率は+19.9%とプラス幅が拡がりました、200日線との乖離率は+9.9%とプラス幅が拡がりました。日経平均は一目均衡表の雲の上に在ります。3つの要素がプラスですので、中期的トレンドは青信号が点灯しています。また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線、9日線、25日線、75日線および一目均衡表の雲の上に在ります。
NYDowは9日線・25日線・75日線・200日線および一目均衡表の雲の上に在ります。NASDAQは、9日線・25日線・75日線・200日線および一目均衡表の雲の上に在ります。米国市場の短期トレンドは青信号が点灯しています。中期トレンドは青信号が点灯しています。
テクニカル的な指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が5.4ポイント割安であることを示しています。日本市場の割安幅は0.1ポイント縮小しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2010年の予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が2.6ポイント割高となっています。
市場は現在、「米国と中国における実体経済の見通し」「欧米の金融機関の損失拡大や新興国の債務不履行による金融危機再来」「為替の動向」といった事柄を興味の対象としているようです。米国の7月~9月期のGDPは概ね好調でした。米企業の10月~12月期決算発表が始まりました。経済指標では、12月のISM製造業景況指数や小売売上高も予想以上で、12月の消費者信頼感指数は2ヶ月連続で上昇しました。11月の失業率は10%でしたが、雇用者数の減少幅は市場予想を大きく下回り改善が顕著でした。一方、住宅関連では、10月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年同月比の下落率が縮小しています。11月の中古住宅販売は好調なものの、11月の仮契約住宅販売指数が市場予想以上に低下しました。景気指標総じて米国の景気の改善を示しているようです。
米大手銀行の相次ぐ公的資金返済発表で表面的に資本不足は解消し、金融は正常化したように見えますが、時価会計基準が緩和されたこともあり、金融機関の不良資産が本当に減少しているかどうかは定かではありません。また、米地銀の不良債権問題の影響も懸念されます。新たにドバイショックから他の財政赤字国の債務不履行懸念も顕在化してきました。このような環境の下、FRBは当面、超低金利政策を維持するようです。
オーストラリアの中央銀行が利上げしたことを見るに、世界的な低金利政策は、各国の事情による金利政策に取って代わられつつあるようです。為替は今後も、金利差の変動に大きく左右されるでしょう。
世界景気は底を打ったように見えますが、前年からの落ち込み幅は小さくありません。輸出の低迷や雇用の減少は、世界中で継続しています。また、2010年まで続くと言われる商業用不動産価格の下落や個人向けローンのこげつきは、金融機関の不良債権の増加を懸念させ、企業および個人の資金調達に悪影響を及ぼしています。先安感は今後も居座り続けるでしょう。引き続き、金融機関の株価の推移や経済指標などに留意することが肝要です。
ちなみに、シティグループの株価は12日、下落しました。(昨年1月高値7.59ドル・昨年3月安値1.02ドルに対し、現在3.52ドル)。
一方、日経平均採用銘柄に関しては、予想PERが37.1、PBRが1.34となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、円高となり、米国市場の下落率以上に下げました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+1.3%となり、日経平均は130円の割高で、割高幅は拡大しました。プレミアム値は、ここ1週間、-160円~+270円の間で推移しています。日経平均は、円高と高値警戒感で下げました。今夜の米国市場では地区連銀景況報告や、個別企業の10-12月の決算内容への思惑が注目されそうです。インテルの決算を控えて、米国市場は様子見気分が強そうですが、10-12月の主要企業の決算に対する期待は高く、下値も限定的と思われます。日本市場はアジア市場の動きや円高の進展次第では、一段安もあり得そうです。
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