[ファンダメンタルの現状認識]
米国市場では、中国の金融引き締めや米政府の新たな金融規制案の発表が嫌気され、大きく下げました。一方、中長期的には、米国を中心とする先進国の消費や雇用の低迷を背景に、EU加盟国の財政問題や個人ローンの不良債権化と商業用不動産価格の下げによる信用収縮傾向が、今後も景気の足を引っ張る原因となる可能性が残っています。
そのような環境の中、今週は、1月の消費者信頼感指数、11月のケース・シラー住宅価格指数や、10-12月期の米GDPの発表が注目されそうです。
2010年の実質GDP伸率考慮後の日米市場のイールド・スプレッドの差は日本市場が2.8ポイント割高となっています。日本市場は米国市場に比べ企業利益の減少が著しい点が割高の原因です。日経平均のPERは37.1で、S&P500のPERの14.0と比べると、企業のファンダメンタルに大きな差が有ります。長期金利差でこれを埋める形ですが、それでも割高感があります。
[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇、
②従来以上の今期の予想増益率のUP、
③日米の金利差の拡大、
④日本の2010年GDP予測値(現在+0.7%)の上方修正、
⑤外人の買い越し、
最近の動きを見ると、
①先週の米国市場は大きく売られました。今週は、目先はリバウンドも期待できるものの弱含みな展開が予想されます。
②日経225採用銘柄の今期予想増益率は前期が赤字の為、計算不能となりましたが、景気の低迷により今期ROE予想値は3.6%となっています。
③米国の長期金利は上昇し、日米の金利差は2.4%-2.3%と縮小ぎみで、為替は91から89円台と円高方向で推移しました。今週は、90から88円台が想定されます。
④今年9月に、OECDによる日米の2010年の実質GDP伸び率は日本が+1.8%となり、米国は+2.5%と予想されていますので、この面では日本市場にとって0.7ポイント分の割高となる弱気材料です。
⑤1月2週の外人は買い越しでした。1月3週も小幅買い越しだった可能性が高く、今週は売り越しが予想されます。
5つのポイントのうち先週は①③が弱気材料でした。今週も①②③⑤がキーポイントと思われます。
[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、2.1ポイント割安となり、先週比2.1ポイント割安幅が縮小しました。
一目均衡表では、雲の上に在り、200日移動平均線乖離率は+7.5%となり先週と比較してプラス幅が縮小しました。総合乖離率は+12.1%となりプラス幅が縮小しました。3つがプラスですので中期上昇トレンドは、"青信号"が点灯しています。日経平均は9日線、25日線の下に在りますので、短期的には"赤信号"が点灯しています。
米国市場ではNY Dowは200日線の上に在りますが、9日線、25日線の下にあります。一目均衡表の雲の中に在ります。Nasdaqは一目均衡表の雲と200日線の上に在りますが、9日線、25日線の下にあります。短期的には"赤信号"で中期的には"黄信号"が点灯しています。
[今週の見通し]
先週の日本市場は、週末に大きく下げましたが、金曜の米国市場が大幅に続落となりましたので、今週も、日経平均は、安く始まりそうです。米国の景気回復基調が踊り場を迎えた中で、米政府の新たな金融規制案が発表されました。その具体的な影響が不明確な分、投資家の不安心理は直ぐには無くなりそうもありません。さらに、中国の金融引き締めと円高ぎみの為替推移が重なると、買い意欲は衰えざるを得ないと思われます。日経平均は、当面、ボリンジャーバンドの-2σ付近である10100円近辺までの下げの可能性を考えておいた方が良さそうです。
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