日経平均の予想: [2010/01/29]日経平均の今後の見通し

Friday, January 29, 2010

[2010/01/29]日経平均の今後の見通し

[市況]
28日、NYDowとNASDAQは下落しました。29日の日経平均先物は、前日比160円安で寄り付きました、前場は210円安まで売られた後に寄り付き近辺まで戻す動きでした。後場寄り付き直後に90円安まで下げ幅を縮める場面もありましたが、その後は売り直され、最終的に前日比260円高で引けました。日経平均は216円安で引け、出来高は22.6億株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、1660万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅が拡大しました。個別銘柄に関しては「売り」が有利な状態です。
28日の米国市場では、業績見通しが慎重と受け止められたクアルコムが急落し、モトローラの四半期決算で発表した利益見通しが予想より悪い内容と受け止められるなど、ハイテク株を中心に売りが優勢となりました。12月の耐久財受注額や週間の新規失業保険申請件数が予想より悪い内容だったことも売り材料となりました。
29日の日本市場では、米市場安90円割れの円高水準を嫌気した売りが優勢となりました。売り一巡後は、テクニカルな自律反発狙いの買いなどから下げ渋る場面もありました。ただ、外部環境の行方や国内四半期決算の内容を見極めたいとする模様眺めムードが強く、大引けにかけては売りに押さました。

[テクニカル視点]
日経平均は9日線、25日線の下に在ります。短期トレンドは赤信号が点灯しています。総合乖離率は-0.7%とマイナス転換しました、200日線との乖離率は+3.0%とプラス幅が縮まりました。日経平均は一目均衡表の雲の上に在ります。2つの要素がプラスですので、中期的トレンドは青信号から黄信号に変化しました。また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線、75日線および一目均衡表の雲の上に在りますが、9日線、25日線の下に在ります。
NYDowは200日線の上に在りますが、9日線、25日線、75日線の下に在り、一目均衡表の雲の中に在ります。NASDAQは、200日線の上に在りますが、一目均衡表の雲の中に入り、9日線、25日線、75日線の下に在ります。米国市場の短期トレンドは赤信号が点灯しています。中期トレンドは黄信号が点灯しています。
テクニカル的な指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が3.0ポイント割安であることを示しています。日本市場の割安幅は2.0ポイント縮小しました。

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2010年の予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が2.8ポイント割高となっています。
市場は現在、「米国の景気と雇用状況、中国の金融引き締めの見通し」「欧米の金融機関の損失拡大や財政赤字国の債務不履行による金融危機再来」「為替の動向」といった事柄を興味の対象としているようです。米国の7月~9月期のGDPは概ね好調でした。米企業の10月-12月期決算発表は、好悪まちまちな結果となってるようです。経済指標では、1月の景気指数が市場予想を下回りました。12月の耐久財受注額も予想以下でした。12月の失業率は10%で、雇用者数の減少幅は市場予想を上回り改善傾向がストップし悪化しました。一方、住宅関連では、11月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前月比で下落、市場予想よりも弱い内容となりました。12月の米住宅着工件数は市場予想を下回り、12月の中古住宅販売も予想以下となりました。12・1月の景気指標は今までの改善傾向が踊り場に入ったことを示しているようです。さらに、中国の金融引き締めが悪材料となっている面もあります。
米大手銀行の相次ぐ公的資金返済発表で表面的に資本不足は解消し、金融は正常化したように見えますが、時価会計基準が緩和されたこともあり、金融機関の不良資産が本当に減少しているかどうかは定かではありません。また、米地銀の不良債権問題の影響も懸念されます。その上、新たに米政府の金融機関に対する規制問題が浮上したことも悪材料です。ドバイショックや、ギリシャ等の財政赤字国の債務不履行懸念問題も忘れる訳にはゆきません。このような環境の下、FRBは当面、超低金利政策を維持するようです。
オーストラリアの中央銀行が利上げしたことを見るに、世界的な低金利政策は、各国の事情による金利政策に取って代わられつつあるようです。為替は今後も、金利差の変動に大きく左右されるでしょう。
世界景気は底を打ったように見えますが、前年からの落ち込み幅は小さくありません。輸出の低迷や雇用の減少は、世界中で継続しています。また、2011年まで続くと言われる商業用不動産価格の下落や個人向けローンのこげつきは、金融機関の不良債権の増加を懸念させ、企業および個人の資金調達に悪影響を及ぼしています。先安感は今後も居座り続けるでしょう。引き続き、金融機関の株価の推移や経済指標などに留意することが肝要です。
ちなみに、シティグループの株価は28日、上昇しました。(昨年1月高値7.59ドル・昨年3月安値1.02ドルに対し、現在3.24ドル)。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが35.0、PBRが1.28となっています。

[今後の見通し]
日経平均は、米国市場の下落率以上に下げました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+0.6%となり、日経平均は60円の割高で、割高幅が縮小しました。プレミアム値は、ここ1週間、+40円~+440円の間で推移しています。日経平均は、米国市場の弱さに失望して全面安となりました。今夜の米国市場は10~12月GDP速報値や1月のシカゴ購買部協会景気指数が注目されそうです。日経平均はボリンジャーバンドの-2σを下回り、そろそろ売られ過ぎのテクニカル指標が買いサインを出す水準に近づきましたが、金融機関の規制問題やギリシャ問題の見通しが、ある程度見えるまでは、日米市場とも調整が続く可能性が高いと思われます。


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