[市況]
7日、NYDowは上昇し、NASDAQは小幅下落しました。8日の日経平均先物は、前日比80円高で寄り付き、前場は130円高まで上昇した後、下げに転じました。後場の前半に30円安まで売られた後は切り返し、最終的に前日比110円高で引けました。日経平均は116円高で引け、出来高は26.3億株と増加しました。寄り付き前の外国人の売買注文は、710万株の買い越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅が拡大しました。個別銘柄に関しては「買い」が有利な状態です。
7日の米国市場では、12月の米主要小売り各社の既存店売上高が予想を上回ったことが、相場を支えました。GEやバンカメなどアナリストの好意的な見方が伝わった主力株が買われ、NYDowを押し上げた面もありました。一方、週間の新規失業保険申請件数は小幅に増えましたが、影響は限られました。
8日の日本市場では、円が93円台後半まで円安傾向を強めた流れから、輸送、精密、機械、電気といった輸出株が強い動きをみせました。後場に入り利食い優勢の流れとなりましたが、インデックス買いの影響もあって大引けにかけて戻り歩調を強めました。
[テクニカル視点]
日経平均は9日線、25日線の上に在ります。短期トレンドは青信号が点灯しています。総合乖離率は+23.1%とプラス幅が拡がりました、200日線との乖離率は+10.9%とプラス幅が拡がりました。日経平均は一目均衡表の雲の上に在ります。3つの要素がプラスですので、中期的トレンドは青信号が点灯しています。また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線、9日線、25日線、75日線および一目均衡表の雲の上に在ります。
NYDowは9日線・25日線・75日線・200日線および一目均衡表の雲の上に在ります。NASDAQは、9日線・25日線・75日線・200日線および一目均衡表の雲の上に在ります。米国市場の短期トレンドは青信号が点灯しています。中期トレンドは青信号が点灯しています。
テクニカル的な指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が5.9ポイント割安であることを示しています。日本市場の割安幅は1.3ポイント縮小しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2010年の予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が2.0ポイント割高となっています。
市場は現在、「米国と中国における実体経済の見通し」「欧米の金融機関の損失拡大や新興国の債務不履行による金融危機再来」「為替の動向」といった事柄を興味の対象としているようです。
米国の7月~9月期のGDPや米企業の7月~9月期決算は概ね好調です。12月のISM製造業景況指数や小売売上高も予想以上で、12月の消費者信頼感指数は2ヶ月連続で上昇しました。11月の失業率は10%でしたが、雇用者数の減少幅は市場予想を大きく下回り改善が顕著でした。一方、住宅関連では、10月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年同月比の下落率が縮小しています。11月の中古住宅販売は好調なものの、11月の仮契約住宅販売指数が市場予想以上に低下しました。景気指標総じて米国の景気の改善を示しているようです。
米大手銀行の相次ぐ公的資金返済発表で表面的に資本不足は解消し、金融は正常化したように見えますが、時価会計基準が緩和されたこともあり、金融機関の不良資産が本当に減少しているかどうかは定かではありません。また、米地銀の不良債権問題の影響も懸念されます。新たにドバイショックから他の財政赤字国の債務不履行懸念も顕在化してきました。このような環境の下、FRBは当面、超低金利政策を維持するようです。
オーストラリアの中央銀行が利上げしたことを見るに、世界的な低金利政策は、各国の事情による金利政策に取って代わられつつあるようです。為替は今後も、金利差の変動に大きく左右されるでしょう。
世界景気は底を打ったように見えますが、前年からの落ち込み幅は小さくありません。輸出の低迷や雇用の減少は、世界中で継続しています。また、2010年まで続くと言われる商業用不動産価格の下落や個人向けローンのこげつきは、金融機関の不良債権の増加を懸念させ、企業および個人の資金調達に悪影響を及ぼしています。先安感は今後も居座り続けるでしょう。引き続き、金融機関の株価の推移や経済指標などに留意することが肝要です。
ちなみに、シティグループの株価は7日、上昇しました。(昨年1月高値7.59ドル・昨年3月安値1.02ドルに対し、現在3.65ドル)。
一方、日経平均採用銘柄に関しては、予想PERが37.1、PBRが1.35となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、円安と米国市場の上昇で上げました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.1%となり、日経平均は20円の割安で、割高幅は縮小しました。プレミアム値は、ここ1週間、-160円~+210円の間で推移しています。日経平均は、高値警戒感があるため10800円近辺が抵抗線となっていますが、円安基調は変っていないことから、深押しはしませんでした。今夜の米国市場では雇用統計が注目されそうです。米市場にも高値警戒感がありますので、雇用統計の結果が良くても、一旦は材料出尽くしで売られる可能性もあります。日経平均も米国市場が下げれば、連動安となりそうですが、押し目幅は為替次第となりそうです。円安傾向が続けば、下げ幅は限定的と思われます。
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