[市況]
31日、NYDowとNASDAQは下落しました。4日の日経平均先物は、前日比60円高で寄り付きました。前場は堅調に推移し、一時160円高まで買われる場面もありました。後場は小動きとなり、最終的に前日比100円高で引けました。日経平均は108円高で引け、出来高は12.9億株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、20万株の買い越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅が拡大しました。個別銘柄に関しては「買い」が有利な状態です。
31日の米国市場では、朝方発表された週間の新規失業保険申請件数が43万件と、市場予想の45万を下回ったこともあり、株価指数は小高く始まりました。ただこのところ高値を更新し続けてきた後とあって、買いは続きませんでした。10年物国債金利が上昇したことも嫌気されました。幅広い銘柄に手じまい売りが出て、この日の安値圏で終えました。
4日の日本市場では、円が93円前後の円安水準で落ち着いた動きのなか、輸出関連株を中心に買いが先行し、昨年来高値の10767円へ接近する場面もありました。しかし、その後は売り圧力が強まりました。後場はアジア株市場の軟調推移も重しとなり、伸び悩みましたが、終値ベースでは昨年来高値を更新しました。
[テクニカル視点]
日経平均は9日線、25日線の上に在ります。短期トレンドは青信号が点灯しています。総合乖離率は+22.1%とプラス幅が拡がり、200日線との乖離率は+10.2%とプラス幅が拡がりました。日経平均は一目均衡表の雲の上に在ります。3つの要素がプラスですので、中期的トレンドは青信号が点灯しています。また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線、9日線、25日線、75日線および一目均衡表の雲の上に在ります。
NYDowは75日線・200日線および一目均衡表の雲の上に在りますが、9日線・25日線を下回りました。NASDAQは、25日線・75日線・200日線および一目均衡表の雲の上に在りますが、9日線を下回りました。米国市場の短期トレンドは青信号から黄信号に変りました。中期トレンドは青信号が点灯しています。
テクニカル的な指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が5.9ポイント割安であることを示しています。日本市場の割安幅は2.4ポイント縮小しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2010年の予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が0.4ポイント割高となっています。
市場は現在、「米国と中国における実体経済の見通し」「欧米の金融機関の損失拡大や新興国の債務不履行による金融危機再来」「為替の動向」といった事柄を興味の対象としているようです。
米国の7月~9月期のGDPや米企業の7月~9月期決算は概ね好調で、11月の設備投資や小売売上高も予想以上で、12月の消費者信頼感指数は2ヶ月連続で上昇しました。11月の失業率は10%でしたが、雇用者数の減少幅は市場予想を大きく下回り改善が顕著でした。一方、住宅関連では、10月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年同月比の下落率が縮小しています。11月の中古住宅販売は好調なものの、新築住宅販売件数が前月比で減りました。一方、11月のISM製造・非製造業景況感指数は予想を下回っています。景気指標総じて米国の景気の改善を示しているようです。
米大手銀行の相次ぐ公的資金返済発表で表面的に資本不足は解消し、金融は正常化したように見えますが、時価会計基準が緩和されたこともあり、金融機関の不良資産が本当に減少しているかどうかは定かではありません。また、米地銀の不良債権問題の影響も懸念されます。新たにドバイショックから他の財政赤字国の債務不履行懸念も顕在化してきました。このような環境の下、FRBは当面、超低金利政策を維持するようです。
オーストラリアの中央銀行が利上げしたことを見るに、世界的な低金利政策は、各国の事情による金利政策に取って代わられつつあるようです。為替は今後も、金利差の変動に大きく左右されるでしょう。
世界景気は底を打ったように見えますが、前年からの落ち込み幅は小さくありません。輸出の低迷や雇用の減少は、世界中で継続しています。また、2010年まで続くと言われる商業用不動産価格の下落や個人向けローンのこげつきは、金融機関の不良債権の増加を懸念させ、企業および個人の資金調達に悪影響を及ぼしています。先安感は今後も居座り続けるでしょう。引き続き、金融機関の株価の推移や経済指標などに留意することが肝要です。
ちなみに、シティグループの株価は31日、上昇しました。(1月高値7.59ドル・3月安値1.02ドルに対し、現在3.31ドル)。
一方、日経平均採用銘柄に関しては、予想PERが36.2、PBRが1.31となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、米国市場の年末の下落にも関わらず上昇しました。結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+1.2%となり、日経平均は120円の割高で、割高幅は拡大しました。プレミアム値は、ここ1週間、+40円~+320円の間で推移しています。日経平均は、円安推移が好感されて堅調な展開となりました。今夜の米国市場ではISM製造業景況感指数が注目されそうです。日経平均は、再び昨年来の高値更新へのチャレンジに向かいそうですが、円安傾向の持続とNYDowの反転が条件と思われます。
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