[ファンダメンタルの現状認識]
米国市場は、先週も中国の金融引き締めや米政府の金融規制案の影響で、大きく下げました。一方、中長期的には、米国を中心とする先進国の消費や雇用の低迷を背景に、EU加盟国の財政問題や個人ローンの不良債権化と商業用不動産価格の下げによる信用収縮傾向が、今後も景気の足を引っ張る原因となる可能性が残っています。
そのような環境の中、今週は、ボルカー経済再生諮問会議議長による米金融機関の規制案についての議会証言や、1月のISM 製造業景気指数や、雇用統計の発表が注目されそうです。
2010年の実質GDP伸率考慮後の日米市場のイールド・スプレッドの差は日本市場が2.7ポイント割高となっています。日本市場は米国市場に比べ企業利益の減少が著しい点が割高の原因です。日経平均のPERは35.2で、S&P500のPERの14.0と比べると、企業のファンダメンタルに大きな差が有ります。長期金利差でこれを埋める形ですが、それでも割高感があります。
[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇、
②従来以上の今期の予想増益率のUP、
③日米の金利差の拡大、
④日本の2010年GDP予測値(現在+0.7%)の上方修正、
⑤外人の買い越し、
最近の動きを見ると、
①先週の米国市場は大きく売られました。今週も、弱含みな展開が予想されます。
②日経225採用銘柄の今期予想増益率は前期が赤字の為、計算不能となりましたが、景気の低迷により今期ROE予想値は3.7%となっています。
③米国の長期金利は上昇し、日米の金利差は2.3%で、為替は90から89円台と狭いレンジの動きでした。今週は、90から88円台が想定されます。
④今年9月に、OECDによる日米の2010年の実質GDP伸び率は日本が+1.8%となり、米国は+2.5%と予想されていますので、この面では日本市場にとって0.7ポイント分の割高となる弱気材料です。
⑤1月3週の外人は買い越しでした。1月4週は売り越しだった可能性が高く、今週も売り越しが予想されます。
5つのポイントのうち先週は①が弱気材料でした。今週は①②③⑤がキーポイントと思われます。
[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、1.3ポイント割安となり、先週比0.7ポイント割安幅が縮小しました。
一目均衡表では、雲の上に在り、200日移動平均線乖離率は+3.0%となり先週と比較してプラス幅が縮小しました。総合乖離率は-0.7%となりマイナス転換しました。2つがプラスですので中期上昇トレンドは、"黄信号"が点灯しています。日経平均は9日線、25日線の下に在りますので、短期的には"赤信号"が点灯しています。
米国市場ではNY Dowは200日線の上に在りますが、9日線、25日線の下にあります。一目均衡表の雲の下に在ります。Nasdaqは200日線の上に在りますが、9日線、25日線の下にあり一目均衡表の雲の中に在ります。短期的には"赤信号"で中期的には"黄信号"が点灯しています。
[今週の見通し]
先週も日本市場は、大きく下げ、ボリンジャーバンドの-2σを下回りました。テクニカルには下げ止まっても良い水準ですが、米国市場の方はボリンジャーバンドの-2σを大きく下回り、ボリンジャーバンドが拡大し始めていますので、日本市場のみ、ここで下げ止まるのは期待薄です。先週末の米国市場は10-12月のGDPが予想以上になったにも関わらずハイテク株の軟調で続落となりましたので、弱気材料ですが、為替がやや円安方向ですので、今週の日経平均は、前週末水準で始まりそうです。その後はボルカー経済再生諮問会議議長による米金融機関の規制案についての議会証言が影響を与えそうです。テクニカルには売られ過ぎ水準に近づいていますので、場合によっては安心感が出てリバウンドに繋がる可能性もあります。一方、最近の経済指標は弱気材料が多く、週末に雇用統計の発表も控えていますので、買い控え気分の中、一段下げリスクもあります、今週は正念場となりそうです。
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