[市況]
10月29日、NYDowは下落し、NASDAQは上昇しました。10月30日の日経平均先物は、前日比370円安で寄り付くと、午前中は400円安から250円高の間で上下し、午後は380円高から310安の間で上下して、結局、130円高で取引を終えました。日経平均の終値は17円高の51325円で、出来高は37.41億株と高水準でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態です。
空売り比率は、5日平均を2日連続で上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、強まりました。
10月29日の米国市場では、相場の過熱感が意識されるなか、パウエルFRB議長がFOMC後の記者会見で「12月の追加利下げは既定路線ではない」との認識を示したことから、利下げへの期待が後退し、株売りをさそいました。一方、エヌビディアやブロードコム、AMDなど半導体株の一角には買いが集まりました。結局、NYDowは5営業日ぶりに反落し、NASDAQは5日続伸しました。
10月30日の日本市場では、前日の米株式相場でハイテク株が買われた流れを受け、値がさの半導体関連株の一角が買われ、相場を押し上げました。一方、FRBによる12月の追加利下げ観測が後退したことは重石となりました。外国為替市場の円安ドル高進行を追い風に買いが強まる場面もありましたが、上値では利益確定の売りも出て、方向感を欠いた相場展開が続きました。結局、日経平均は小幅に3日続伸し、連日で最高値を更新しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。
総合乖離率は+51.5%と前日よりプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+28.0%とプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。
NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドにも青信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均乖離率の差は、+7.9ポイントとプラス幅を縮め、日平均が4050円ほど割高であることを示しています。一方、NYDowとの差は、+18.9ポイントとプラス幅をやや拡げ、日経平均9700円ほど割高であることを示しています。
日経VIは29.35と前日より低下し、VIXは16.92と前日より上昇しました。日経VIは、投資家が不安心理を強めているとされる20を依然として大きく上回っています。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-3.61、米国-0.32と日本が3.29ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+2.5、米国が+4.3)は1.8ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より1.49ポイント(日経平均換算で20420円)割安となっています。
市場は現在、「米関税政策が世界経済に与える影響」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナをめぐる地政学的リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の4~6月期のGDP確定値は前期比年率3.8%増で、改定値の3.3%増を上回りました。また、4~6月期の米企業の決算は、概ね好調です。
米国の経済指標は:
10月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、10月のニューヨーク連銀製造業景況指数、8月の耐久財受注、8月の小売売上高、7月の製造業受注は市場予想を上回りました。また、8月の消費者物価指数は市場予想と一致しました。一方、10月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、9月のISM非製造業景況指数、9月のISM製造業景況指数、9月のミシガン大学消費者信頼感指数、8月の鉱工業生産指数、8月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を下回りました。経済指標は6勝6負で、景気・金利の両面で中立です。
米国の8月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比2.2万人増で、市場予想の7.5万人増を下回りました。また、失業率は4.3%で、前月の4.2%から悪化しました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利下げペースが上がるという面では強気材料です。なお、9月の雇用統計の発表は延期されています。
米国の住宅関連の指標は:
8月の新築住宅販売件数、8月の中古住宅販売件数、7月の住宅着工件数は市場予想を上回りました。一方、9月の住宅市場指数、7月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を下回りました。6月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+2.1%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は3勝3負で、景気・金利の両面で中立です。
欧米日の金融政策は:
FRBは利下げに慎重な姿勢を崩していませんが、9月のFOMCで利下げの再開を決定し、さらに年内に2回の利下げを見込んでいます。ECBは、9月の会合でも利下げを見送り、中銀預金金利を2.00%に据え置きました。日銀は、9月の金融政策決定会合でも0.5%の金利水準を維持しました。一方で、保有している上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(REIT)を段階的に売却していく方針を示しました。
日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが19.10、PBRが1.69となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは8.9%となり、これは3か月前より0.2ポイント悪化しています。一方、今期予想利益の伸率は-6.8%で、こちらは3か月前より4.5ポイント改善されています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowが下落したにもかかわらず小幅に上昇しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+3.7%となり、日経平均の割高幅は1890円から1780円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、+1040円~+1890円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、2.34ポイントから2.44ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には上昇トレンドで、中期的にも上昇トレンドです。日経平均も同様に、短期的には上昇トレンドで、中期的にも上昇トレンドです。
10月30日の米国市場では、週間の新規失業保険申請件数や、ECB理事会およびラガルド総裁の会見、7~9月期のGDP速報値のほか、アップル、アマゾン、イーライリリー、マスターカード、メルク、バイオジェン、エスティ・ローダー、ファースト・ソーラー、フォックスなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、米中貿易摩擦や連邦政府閉鎖、米銀行の信用不安、長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを150円ほど下回り、下値は想定ラインを350円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ-300円(現在51510円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ+500円(現在50330円近辺)が下値の目安となります。
日経VIは、依然として20を大きく上回る高水準にあります。また、信用の売り圧力は、強まりました。日経平均は小幅に続伸しました。重要イベントを波乱なく通過したので、半導体関連企業の決算にサプライズがなければ、目先の上昇傾向は続きそうです。
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