[市況]
10月17日、NYDowとNASDAQは下落しました。10月20日の日経平均先物は、前日比840円高で寄り付くと、午前中は780円高から1580円高と上昇幅を拡げ、午後は1390円高から1780円安と上昇幅を拡げて、結局、1750円高で取引を終えました。日経平均の終値は1603円高の49185円で、出来高は17.94億株でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラスに転換しました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態となりました。
空売り比率は、5日平均を下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、弱まりました。
10月17日の米国市場では、トランプ大統領が対中関税の大幅な上乗せについて「持続可能ではない」との認識を示したことから、米中対立への過度な警戒感が後退し、運用リスクをとる動きが優勢となりました。また、地銀のフィフス・サード・バンコープの底堅い決算を受けて、地銀の信用不安をめぐる警戒感が後退したことも、買い安心感につながりました。NYDowとNASDAQは反発しました。
10月20日の日本市場では、自民党と日本維新の会が連立政権の樹立で合意し、高市政権誕生の公算が大きくなったことから、拡張的な財政政策への期待が再燃し、株高と円安が進みました。米株価指数先物やアジアの主要な株価指数が総じて堅調に推移したことも追い風となりました。日経平均は大幅に反発し、9日以来の最高値更新となりました。
[テクニカル視点]
日経平均は、25日線の上にあり、9日線を上回りました。短期トレンドは黄信号から青信号に変わりました。
総合乖離率は+44.5%とプラス幅を拡げ、200日線との乖離率も+24.0%とプラス幅を拡げました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。
NYDowは、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、9日線の下にありますが、200日線の上にあり、25日線を上回りました。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには黄信号が点灯しています。中期トレンドには青信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均乖離率の差は、+9.4ポイントとプラス幅を拡げ、日平均が4620円ほど割高であることを示しています。また、NYDowとの差は、+17.8ポイントとプラス幅を拡げ、日経平均8750円ほど割高であることを示しています。
日経VIは30.04と前日より低下し、VIXも20.46と前日より低下しました。両指数ともに、投資家が不安心理を強めているとされる20を上回っています。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-3.61、米国-0.27と日本が3.34ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+2.5、米国が+4.3)は1.8ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より1.54ポイント(日経平均換算で20260円)割安となっています。
市場は現在、「米関税政策が世界経済に与える影響」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナをめぐる地政学的リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の4~6月期のGDP確定値は前期比年率3.8%増で、改定値の3.3%増を上回りました。また、4~6月期の米企業の決算は、概ね好調です。
米国の経済指標は:
10月のニューヨーク連銀製造業景況指数、8月の耐久財受注、8月の小売売上高、7月の製造業受注、8月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を上回りました。また、8月の消費者物価指数は市場予想と一致しました。一方、10月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、9月のISM非製造業景況指数、9月のISM製造業景況指数、9月のミシガン大学消費者信頼感指数、8月の鉱工業生産指数、8月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を下回りました。経済指標は6勝6負で、景気・金利の両面で中立です。
米国の8月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比2.2万人増で、市場予想の7.5万人増を下回りました。また、失業率は4.3%で、前月の4.2%から悪化しました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利下げペースが上がるという面では強気材料です。なお、9月の雇用統計の発表は延期されています。
米国の住宅関連の指標は:
8月の新築住宅販売件数、8月の中古住宅販売件数、7月の住宅着工件数は市場予想を上回りました。一方、9月の住宅市場指数、7月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を下回りました。6月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+2.1%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は3勝3負で、景気・金利の両面で中立です。
欧米日の金融政策は:
FRBは利下げに慎重な姿勢を崩していませんが、9月のFOMCで利下げの再開を決定し、さらに年内に2回の利下げを見込んでいます。ECBは、9月の会合でも利下げを見送り、中銀預金金利を2.00%に据え置きました。日銀は、9月の金融政策決定会合でも0.5%の金利水準を維持しました。一方で、保有している上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(REIT)を段階的に売却していく方針を示しました。
日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが18.98、PBRが1.68となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは8.9%となり、これは3か月前より0.2ポイント悪化しています。一方、今期予想利益の伸率は-6.9%で、こちらは3か月前より3.8ポイント改善されています。
[今後の見通し]
日経平均は、前週末のNYDowの上昇と連動して上げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+5.7%となり、日経平均の割高幅は1550円から2640円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、+330円~+2640円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、2.34ポイントから2.36ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。日経平均は、短期的には上昇トレンドで、中期的にも上昇トレンドです。
10月20日の米国市場では、重要な経済指標の発表は予定されていません。個別の材料が注目されるでしょう。引き続き、米中貿易摩擦や連邦政府閉鎖、米銀行の信用不安、長期金利の動向などが株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲を上ぶれしました。上値は想定ラインを830円ほど上回り、下値は想定ラインを1290円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ+200円(現在49450円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ+500円(現在48250円近辺)が下値の目安となります。
日経VIは、依然として20を大きく上回る高水準にあります。一方、信用の売り圧力は、弱まりました。日経平均は大幅に反発し、10月9日につけた高値(48597円)を大きく上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σに沿った動きが期待できそうです。
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