[ファンダメンタル視点]
先週の米国市場では、中国がレアアース輸出規制強化を発表したことに対抗し、トランプ大統領が対中関税引き上げを示唆したことで、株価指数は週間では下落しました。
週間変動率 NYダウ:-2.73%,
NASDAQ:-2.53%, S&P500:-2.43%.
一方、中長期的なリスクとしてはウクライナ紛争の長期化懸念、米政権の関税政策、金利上昇による金融不安と世界経済の減速懸念、不動産バブル崩壊と中国の景気減速懸念があります。また、このことから、スタグフレーションの到来も懸念されています。さらに、東アジア、中東の地政学的リスクにも引き続き注意が必要です。
日米市場のイールド・スプレッドの差は、2026年のOECDの名目GDP予想値を考慮すると、日本市場が1.57ポイント割安となっています。割安の要因はS&P500のPERが23.0に対して、日経平均採用銘柄の今期予想PERの18.7との差と日米金利差、GDP伸率差によるものです。
日米市場が均衡するためには、次の条件が必要です。
現在の日経平均の価格に対して、2026年の日米のGDP伸び率差がOECD予想値に比べ、さらに1.57ポイント拡大する。(日本が下方修正又は米国が上方修正される)。又は、日経平均採用銘柄の今期予想PERが26.4程度になる。又は、日経平均が67,940円程度となる。
結果的に、中長期的に日本市場は19,850円ほど割安です。
ファンダメンタルからは、日本市場は米国市場に比べ、19,850円ほど魅力に欠けるとも言えます。先週、日本市場の弱さは、縮小しました。
[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇
②従来以上の今期の予想増益率のUP
③日米の金利差の拡大による一段の円安
④OECDによる日本の2025年GDP予測値(現在+3.3%)の上方修正
⑤外人の買い越し
先週の動きを見ると、
① 先週のNYDowの週足は陰線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。NASDAQの週足陰線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。今週は、NYダウが25日線の上に戻れるか否かに注目。
② 決算の発表の結果、日経225採用銘柄のROE予想値は+8.9%となりました。3ヶ月前に比べて-0.2%ポイント悪化しています。利益伸び率は-6.6%となりました。3ヶ月前に比べて-3.2%ポイント悪化しています。
③ 米国の長期金利は低下し、日米間の金利差は2. 47から2. 36と縮小しましたが、ドル円は149円台から153円台の範囲で円安方向に動きました。ドル・インデックスは週間で+1.17%上昇しました。
④ OECDの日米の2026年の名目GDP伸び率は、日本が+2.5%で、米国は+4.3%と予想されていますので、この面では日本市場の方が1.8ポイント劣ります。
⑤ 10月第1週は買い越しで、10月第2週は買い越しだった可能性が高く、今週は売り越しが予想されます。先週は、5つのポイントのうち、③と⑤が強気材料でした。今週は、①②③⑤が影響すると思われます。
[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、中長期的に9.3ポイント(日経平均に勘算すると4470円程度)割高です。一方、NYDowとの200日線乖離率差では、中長期的に17.1ポイント(日経平均に勘算すると8220円程度)割高です。
日本市場はNYダウとNASDAQより強い状態です。米国市場のボラティリティーを示す指標である VIX は、週間で
21.6と上昇しました。 日経 VI は 週間で 30.1と上昇しました。米国市場と日本市場とも”恐怖”状態です。
日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには"青信号”が点灯しています。
日経平均は一目均衡表の雲の上にあります。総合乖離率は+41.1%となり、200日移動平均線乖離率は+21.9%となりました。3つの要因がプラスですので、中期トレンドには"青信号“が点灯しています。
NYDowは、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。
米国市場は、短期的には"赤信号”で、中期的には"青信号”が点灯しています。
[今週の見通し]
米国市場をファンダメンタル面で見ると目先、景気後退懸念は残っています。また、ロシア・ウクライナ戦争によるインフレと金利上昇、EU圏のエネルギー不足と政治情勢悪化などによる景気後退、米中貿易摩擦、中国の不動産バブルの崩壊と信用収縮に伴う金融市場混乱、中東の地政学的リスク拡大などもリスク要因として存在します。
テクニカルな面を見ると、米国市場は中期上昇トレンドで、短期は下降トレンドです。
日本市場は中期上昇トレンドで、短期も上昇トレンドです。
為替市場を分析すると、2025年1月につけた156円をトップに円高方向に転換しています。今週は151円台から147円台が想定されます。
今週の米国市場では、決算シーズンの幕開けに注目が集まり、主要銀行が決算を発表する予定です。一方、政府機関閉鎖が3週目に突入する中、消費者物価指数(CPI)などの主要経済指標の発表は引き続き遅れる見通しです。ただ、鉱工業生産指数、住宅市場指数、フィラデルフィア連銀・ニューヨーク連銀製造業景気指数など、予定されている他の指標は引き続き注目されます。世界的には、中国の貿易統計、インフレ率、ユーロ圏の鉱工業生産、インフレ率、ドイツの景況感指数、英国の雇用・GDPデータ、日本の政治情勢が投資家の関心を集めるでしょう。
先週の日経平均は想定範囲を上振れしました。上値は970円上回り、下値は21800円上回りました。
今週の日経平均の想定範囲は、上値がボリンジャーバンド+1σ (現在46920円近辺)で、下値がボリンジャーバンド-2σ(現在42180円近辺)の間での動きが想定されます。
今週の日経平均は、米中貿易摩擦と日本の新政権の行方次第で、上下する展開が予想されますが、不透明感が無くなるまでは売り優勢となりそうです。
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