[市況]
10月27日、NYDowとNASDAQは上昇しました。10月28日の日経平均先物は、前日比30円安で寄り付くと、午前中は30円安から350円安の間で上下し、午後は70円安から430円安の間で上下して、結局、130円安で取引を終えました。日経平均の終値は293円安の50219円で、出来高は22.93億株と高水準でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。
空売り比率は、5日平均を3日連続で下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、弱い状態です。
10月27日の米国市場では、ベッセント財務長官の「トランプ大統領と習近平国家主席が今週協議するための『非常に成功した枠組み』が存在する」との発言を受け、米中対立が緩和に向かうとの期待が強まり、主力株を中心に買いが優勢となりました。FRBが今週のFOMCで追加利下げに踏み切るとの観測も投資家心理を支えました。NYDowとNASDAQは3日続伸しました。
10月28日の日本市場では、前日に日経平均が史上初めて終値で5万円の大台に乗せたとあって、達成感から利益確定の売りが優勢となりました。売り一巡後は押し目買いが相場の下値を支えましたが、午後に入り外国為替市場で円高ドル安が進行すると、歩調を合わせる形で株価指数先物に売りが膨らみ、指数を押し下げました。結局、日経平均は反落しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。
総合乖離率は+46.2%と前日よりプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+25.6%とプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。
NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドにも青信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均乖離率の差は、+6.9ポイントとプラス幅を縮め、日平均が3470円ほど割高であることを示しています。また、NYDowとの差は、+16.6ポイントとプラス幅を拡げ、日経平均8340円ほど割高であることを示しています。
日経VIは27.33と前日より低下し、VIXも15.94と前日より低下しました。日経VIは、投資家が不安心理を強めているとされる20を依然として大きく上回っています。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-3.59、米国-0.41と日本が3.18ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+2.5、米国が+4.3)は1.8ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より1.38ポイント(日経平均換算で18080円)割安となっています。
市場は現在、「米関税政策が世界経済に与える影響」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナをめぐる地政学的リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の4~6月期のGDP確定値は前期比年率3.8%増で、改定値の3.3%増を上回りました。また、4~6月期の米企業の決算は、概ね好調です。
米国の経済指標は:
10月のニューヨーク連銀製造業景況指数、8月の耐久財受注、8月の小売売上高、7月の製造業受注、8月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を上回りました。また、8月の消費者物価指数は市場予想と一致しました。一方、10月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、9月のISM非製造業景況指数、9月のISM製造業景況指数、9月のミシガン大学消費者信頼感指数、8月の鉱工業生産指数、8月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を下回りました。経済指標は6勝6負で、景気・金利の両面で中立です。
米国の8月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比2.2万人増で、市場予想の7.5万人増を下回りました。また、失業率は4.3%で、前月の4.2%から悪化しました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利下げペースが上がるという面では強気材料です。なお、9月の雇用統計の発表は延期されています。
米国の住宅関連の指標は:
8月の新築住宅販売件数、8月の中古住宅販売件数、7月の住宅着工件数は市場予想を上回りました。一方、9月の住宅市場指数、7月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を下回りました。6月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+2.1%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は3勝3負で、景気・金利の両面で中立です。
欧米日の金融政策は:
FRBは利下げに慎重な姿勢を崩していませんが、9月のFOMCで利下げの再開を決定し、さらに年内に2回の利下げを見込んでいます。ECBは、9月の会合でも利下げを見送り、中銀預金金利を2.00%に据え置きました。日銀は、9月の金融政策決定会合でも0.5%の金利水準を維持しました。一方で、保有している上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(REIT)を段階的に売却していく方針を示しました。
日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが19.17、PBRが1.70となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは8.9%となり、これは3か月前より0.2ポイント悪化しています。一方、今期予想利益の伸率は-6.6%で、こちらは3か月前より3.8ポイント改善されています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowが上昇したにもかかわらず下落しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+3.1%となり、日経平均の割高幅は1670円から1480円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、+820円~+1670円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、2.38ポイントから2.35ポイントに縮小しました。ドル円相場は円高方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には上昇トレンドで、中期的にも上昇トレンドです。日経平均も同様に、短期的には上昇トレンドで、中期的にも上昇トレンドです。
10月28日の米国市場では、8月のS&Pコアロジック/ケース・シラー住宅価格指数や、10月のコンファレンスボード消費者信頼感指数のほか、D.R.ホートン、キャリア・グローバル、ネクステラ・エナジー、ロイヤル・カリビアン・クルーズ、ユナイテッドヘルス・グループ、コーニング、MSCI、ザイレムなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、米中貿易摩擦や連邦政府閉鎖、米銀行の信用不安、長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを560円ほど下回り、下値は想定ラインを240円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ-400円(現在50540円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ+200円(現在49370円近辺)が下値の目安となります。
日経VIは、依然として20を大きく上回る高水準にあります。一方、信用の売り圧力は、弱い状態です。きょうの日経平均は反落しましたが、FOMCや日銀の金融政策決定会合の結果が判明するまでは、上昇傾向は続きそうです。
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