[市況]
9月30日、NYDowとNASDAQは上昇しました。10月1日の日経平均先物は、前日比100円安で寄り付くと、午前中は10円高まで戻したのち510円安まで下落幅を拡げ、午後は510円安から230円安の間で上下して、結局、390円安で取引を終えました。日経平均の終値は381円安の44550円で、出来高は23.11億株と高水準でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態ですが、売られ過ぎの水準です。
空売り比率は、5日平均を4日連続で上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は強まりました。
9月29日の米国市場では、米国内での薬価引き下げや700ドル規模の投資と引き換えに医薬品関税の減免を獲得したファイザーが6.8%上昇し、他の製薬株にも買いが波及しました。一方、政府機関の一部閉鎖に対する警戒感は、引き続き投資家心理の重石となりました。NYDowとNASDAQは3日続伸しました。
10月1日の日本市場では、下期や四半期入りに伴う資産配分調整に絡む売りが出て、主力株を中心とした幅広い銘柄が下落しました。9月の日銀短観で業況判断指数が2四半期連続で改善されたことを受け、10月利上げ観測が強まったことも重石となりました。また、米連邦政府の「つなぎ予算」が期限までに成立せず、政府機関の一部閉鎖が決定的となったことも、買い手控えにつながりました。日経平均は4日続落しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、25日線の上にありますが、9日線の下にあります。短期トレンドには黄信号が点灯しています。
総合乖離率は+21.9%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+13.7%とプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドには青信号が点灯しています。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、25日線と200日線の上にありますが、9日線の下にあります。
NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドは青信号が点灯しています。中期トレンドにも青信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均乖離率の差は、-1.9ポイントとマイナス幅を拡げ、日平均が850円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、+6.4ポイントとプラス幅を縮め、日経平均2850円ほど割高であることを示しています。
日経VIは25.66と前日より上昇し、VIXは16.28と前日より低下しました。日経VIは、投資家が不安心理を強めているとされる20を依然として上回っています。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-4.0、米国-0.1と日本が3.9ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+2.5、米国が+4.3)は1.8ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より2.07ポイント(日経平均換算で25960円)割安となっています。
市場は現在、「米関税政策が世界経済に与える影響」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナをめぐる地政学的リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の4~6月期のGDP確定値は前期比年率3.8%増で、改定値の3.3%増を上回りました。また、4~6月期の米企業の決算は、概ね好調です。
米国の経済指標は:
8月の耐久財受注、9月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、8月の小売売上高、8月のISM非製造業景況指数、7月の製造業受注、8月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を上回りました。また、8月の消費者物価指数は市場予想と一致しました。一方、9月のミシガン大学消費者信頼感指数、8月の鉱工業生産指数、9月のニューヨーク連銀製造業景況指数、8月のシカゴ購買部協会景気指数、8月のISM製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標は7勝5負で、景気面では強気材料ですが、利下げペースが緩やかになるという面では弱気材料です。
米国の8月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比2.2万人増で、市場予想の7.5万人増を下回りました。また、失業率は4.3%で、前月の4.2%から悪化しました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利下げペースが上がるという面では強気材料です。
米国の住宅関連の指標は:
8月の新築住宅販売件数、8月の中古住宅販売件数、7月の住宅着工件数は市場予想を上回りました。一方、9月の住宅市場指数、7月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を下回りました。6月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+2.1%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は3勝3負で、景気・金利の両面で中立です。
欧米日の金融政策は:
FRBは利下げに慎重な姿勢を崩していませんが、9月のFOMCで利下げの再開を決定し、さらに年内に2回の利下げを見込んでいます。ECBは、9月の会合でも利下げを見送り、中銀預金金利を2.00%に据え置きました。日銀は、9月の金融政策決定会合でも0.5%の金利水準を維持しました。一方で、保有している上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(REIT)を段階的に売却していく方針を示しました。
日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが17.83、PBRが1.58となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは8.8%となり、これは3か月前より0.2ポイント悪化しています。一方、今期予想利益の伸率は-6.6%で、こちらは3か月前より3.7ポイント改善されています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowが上昇したにもかかわらず下落しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.0%となり、日経平均は250円の割高から30円の割安に転換しました。プレミアム値は、ここ一週間、-30円~+970円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、2.50ポイントから2.52ポイントに拡大しましたが、ドル円相場は円高方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には上昇トレンドで、中期的にも上昇トレンドです。日経平均は、短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。
10月1日の米国市場では、9月のADP雇用統計や、9月のISM製造業景況指数のほか、コナグラ・ブランズなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、関税政策や長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲を下ぶれしました。上値は想定ラインを540円ほど下回り、下値は想定ラインを20円ほど下回りました。目先は、ボリンジャーバンド+1σ-200円(現在45020円近辺)が上値の目安に、25日線(現在43980円近辺)が下値の目安となります。
日経VIは、依然として20を上回る高水準にあります。また、信用の売り圧力は強まりました。日経平均は、米国市場が上昇したにもかかわらず4日続落しました。引き続き、25日線を下回らずに反転できるかどうかが、次の注目点です。
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