[市況]
7月17日、NYDowとNASDAQは上昇しました。7月18日の日経平均先物は、前日比120円高で寄り付くと、午前中は200円高から180円安と下落に転じ、午後は200円安から80円安の間でもみあって、結局、100円安で取引を終えました。日経平均の終値は82円安の39819円で、出来高は14.85億株でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。
空売り比率は、5日平均を4日連続で下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、弱い状態です。
7月17日の米国市場では、6月の小売売上高や7月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数など、注目度の高い経済指標が市場予想を上回ったことから、米景気の底堅さが意識され、株買いを促しました。また、TSMCの決算が好感され、半導体株をはじめハイテク株の一部に買いが向かいました。NYDowは続伸し、 NASDAQは4日続伸しました。NASDAQは連日で過去最高値を更新しました。
7月18日の日本市場では、前日の米ハイテク株高を受けて買いが先行しましたが、勢いは続かず、次第に持ち高調整の売りや利益確定の売りが優勢となりました。参院選後の政治情勢の不透明感が嫌気されたようです。また、17日の取引終了後に決算を発表したディスコが大幅安となったことも重石となりました。一方で、ソフトバンクグループや消費関連の一角が買われて相場の下値を支えました。日経平均は反落しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。
総合乖離率は+12.1%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+4.3%とプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。
NYDowは、25日線と200日線の上にあり、9日線を上回りました。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドは黄信号から青信号に変わりました。中期トレンドにも青信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均乖離率の差は、-6.2ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が2470円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、+0.3ポイントとプラス幅を縮め、日経平均が120円ほど割高であることを示しています。
日経VIは24.75と前日より上昇し、VIXは16.52と前日より低下しました。日経VIは、投資家が不安心理を強めているとされる20を依然として上回っています。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-4.9、米国+0.2と日本が5.1ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.3、米国が+4.4)は1.1ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より3.99ポイント(日経平均換算で66640円)割安となっています。
市場は現在、「米関税政策が世界経済に与える影響」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナをめぐる地政学的リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の1~3月期のGDP確定値は前期比年率0.5%減で、改定値の0.2%減を下回りました。一方、1~3月期の米企業の決算は、概ね好調です。
米国の経済指標は:
6月の小売売上高、7月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、6月の消費者物価指数、6月のISM製造業景況指数、6月の耐久財受注、6月のミシガン大学消費者信頼感指数は市場予想を上回りました。また、5月の製造業受注は市場予想と一致しました。一方、6月のISM非製造業景況指数、6月のシカゴ購買部協会景気指数、6月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、5月の鉱工業生産指数、6月のニューヨーク連銀製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標は7勝5負で、景気面では強気材料ですが、利下げペースが落ちるという面では弱気材料です。
米国の6月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比14.7万人増で、市場予想の11万人増を上回りました。また、失業率は4.1%で、前月の4.2%から改善されました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利下げペースが鈍るという面では弱気材料です。
米国の住宅関連の指標は:
5月の中古住宅販売仮契約指数、5月の中古住宅販売件数は市場予想を上回りました。一方、5月の新築住宅販売件数、6月の住宅市場指数、5月の住宅着工件数は市場予想を下回りました。4月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+3.42%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は2勝4負で、景気面では弱気材料ですが、利下げペースが上がるという面では強気材料です。
欧米日の金融政策は:
FRBは米政権の高関税政策がインフレを招きかねないと警戒しており、利下げを急がない姿勢を示しています。ECBは、7会合連続で利下げを実施し、中銀預金金利を2.00%としました。日銀は、6月の金融政策決定会合でも0.5%の金利水準を維持しました。既に、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。
日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが15.68、PBRが1.42となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは9.0%となり、これは3か月前より0.1ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は-3.2%で、こちらは3か月前より6.7ポイント悪化しています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowが上昇したにもかかわらず下落しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-2.9%となり、日経平均の割安幅は800円から1170円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-1240円~-800円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、2.92ポイントから2.93ポイントに拡大しました。ドル円相場はもみあいました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には上昇トレンドで、中期的には上昇トレンドです。日経平均も同様に、短期的には上昇トレンドで、中期的にも上昇トレンドです。
7月18日の米国市場では、6月の住宅着工件数や、7月のミシガン大学消費者信頼感指数のほか、3M、ハンチントン・バンクシェアーズ、チャールズシュワブ、トリスト・フィナンシャル、シュルンベルジェ、アメリカン・エキスプレスなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、関税政策の影響や、長期金利の動向も株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを120円ほど下回り、下値は想定ラインを140円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+1σ+100円(現在40110円近辺)が上値の目安に、25日線(現在39410円近辺)が下値の目安となります。
日経VIは、依然として20を上回る高水準にあります。一方、信用の売り圧力は、弱い状態です。日経平均はザラ場では7月4日の高値を上回りましたが、終値では上回ることはできませんでした。目先、上昇トレンド入りと判断するには、きょうの高値(40088円)を上回ることが必要です。
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