[市況]
7月7日、NYDowとNASDAQは下落しました。7月8日の日経平均先物は、前日比130円安で寄り付くと、午前中は130円安から280円高と上昇に転じ、午後は90円高から280円高の間で上下して、結局、280円高で取引を終えました。日経平均の終値は101円高の39688円で、出来高は20.08億株と高水準でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。
空売り比率は、5日平均を2日連続で下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、弱い状態です。
7月7日の米国市場では、トランプ大統領が日本と韓国に課す関税率は25%であると表明し、続いて、ミャンマーからの輸入品には40%、南アフリカには30%の関税を課すとも伝わったことから、米貿易政策が米国内外の経済に与える悪影響が改めて意識され、売りが優勢となりました。足元の株高で過熱感が強まっていたことも、売りをうながしました。主要な株価指数はそろって反落しました。
7月8日の日本市場では、米関税政策への警戒感から売りが先行しましたが、売り一巡後は、関税をめぐる不透明感が後退したとか、25%なら想定の範囲内といった見方から、景気敏感株を中心とした幅広い銘柄が買われる展開となりました。トランプ大統領が交渉の余地はまだ残されているともとれる発言をしていることや、外国為替市場で円安ドル高が進んだことなども追い風となりました。一方、ETFの運用会社が分配金支払に備えて売りを出すとの観測は重石となりました。日経平均は反発しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、25日線の上にありますが、9日線の下にあります。短期トレンドには黄信号が点灯しています。
総合乖離率は+13.6%とプラス幅を拡げ、200日線との乖離率も+4.3%とプラス幅を拡げました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドには青信号が点灯しています。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、25日線と200日線の上にありますが、9日線の下にあります。
NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドにも青信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均乖離率の差は、-4.3ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が1710円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、+0.3ポイントとプラスに転換し、日経平均が120円ほど割高であることを示しています。
日経VIは25.52と前日より低下し、VIXは17.79と前日より上昇しました。日経VIは、投資家が不安心理を強めているとされる20を依然として上回っています。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-4.9、米国+0.1と日本が5.0ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.3、米国が+4.4)は1.1ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より3.88ポイント(日経平均換算で61450円)割安となっています。
市場は現在、「米関税政策が世界経済に与える影響」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の1~3月期のGDP確定値は前期比年率0.5%減で、改定値の0.2%減を下回りました。一方、1~3月期の米企業の決算は、概ね好調です。
米国の経済指標は:
6月のISM製造業景況指数、6月の耐久財受注、6月のミシガン大学消費者信頼感指数は市場予想を上回りました。また、5月の製造業受注は市場予想と一致しました。一方、6月のISM非製造業景況指数、6月のシカゴ購買部協会景気指数、6月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、6月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、5月の小売売上高、5月の鉱工業生産指数、6月のニューヨーク連銀製造業景況指数、5月の消費者物価指数は市場予想を下回りました。経済指標は4勝8負で、景気面では弱気材料ですが、利下げペースが上がるという面では強気材料です。
米国の6月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比14.7万人増で、市場予想の11万人増を上回りました。また、失業率は4.1%で、前月の4.2%から改善されました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利下げペースが鈍るという面では弱気材料です。
米国の住宅関連の指標は:
5月の中古住宅販売仮契約指数、5月の中古住宅販売件数は市場予想を上回りました。一方、5月の新築住宅販売件数、6月の住宅市場指数、5月の住宅着工件数は市場予想を下回りました。4月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+3.42%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は2勝4負で、景気面では弱気材料ですが、利下げペースが上がるという面では強気材料です。
欧米日の金融政策は:
FRBは米政権の高関税政策がインフレを招きかねないと警戒しており、利下げを急がない姿勢を示しています。ECBは、7会合連続で利下げを実施し、中銀預金金利を2.00%としました。日銀は、6月の金融政策決定会合でも0.5%の金利水準を維持しました。既に、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。
日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが15.66、PBRが1.41となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは9.0%となり、これは3か月前より0.1ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は-3.3%で、こちらは3か月前より6.9ポイント悪化しています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowが下落したにもかかわらず上昇しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-1.6%となり、日経平均の割安幅は1000円から620円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-1000円~-180円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、2.89ポイントから2.91ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には上昇トレンドで、中期的にも上昇トレンドです。日経平均は、短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。
7月8日の米国では、重要な経済指標の発表は予定されていません。個別の材料が注目されます。引き続き、関税政策の影響や、長期金利の動向も株式相場に影響を与えるでしょう。
きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを180円ほど下回り、下値は想定ラインを360円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+1σ+300円(現在40000円近辺)が上値の目安に、25日線+300円(現在39150円近辺)が下値の目安となります。
日経VIは、依然として20を上回る高水準にあります。一方、信用の売り圧力は、弱い状態です。日経平均は反発しましたが、ボリンジャーバンド+1σを上回るには至っておらず、7月中は、関税交渉がまだ株価に影響することになりそうです。
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