[市況]
7月30日、NYDowは下落し、NASDAQは上昇しました。7月31日の日経平均先物は、前日比140円高で寄り付くと、午前中は30円高から390円高と上昇幅を拡げ、午後は270円高から540円高と上昇幅を拡げて、結局、540円高で取引を終えました。日経平均の終値は415円高の41069円で、出来高は21.30億株でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態ですが、買われ過ぎの水準です。
空売り比率は、5日平均を5日ぶりに下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、弱まりました。
7月30日の米国市場では、パウエルFRB議長がFOMC後の記者会見で早期の利下げに慎重な見方を示したことから、金融緩和が米経済を支えるとの期待が後退し、主力株に売りが出ました。ただ、4~6月期の米実質GDP速報値が市場予想を上回ったことが伝わると、米政権の関税政策が経済を下押しするとの警戒感が薄れ、投資家心理の支えとなりました。結局、NYDowは3日続落し、NASDAQは反発しました。
7月31日の日本市場では、前日の米ハイテク株高を受け、アドバンテストやディスコなど半導体関連株が買われました。また、日産自動車やアイシンなど個別銘柄に決算を手がかりとした物色が向かいました。日銀が金融政策決定会合で政策金利の据え置きを決定した旨が伝わると、指数は上昇幅を拡げました。日経平均は5営業日ぶりに反発しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、25日線の上にあり、9日線を上回りました。短期トレンドは黄信号から青信号に変わりました。
総合乖離率は+17.4 %とプラス幅を拡げ、200日線との乖離率も+7.3%とプラス幅を拡げました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、25日線と200日線の上にあり、9日線を上回りました。
NYDowは、25日線と200日線の上にありますが、9日線を下回りました。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドは青信号から黄信号に変わりました。中期トレンドには青信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均乖離率の差は、-3.8ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が1560円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、+3.6ポイントとプラス幅を拡げ、日経平均が1480円ほど割高であることを示しています。
日経VIは22.45と前日より低下し、VIXも15.10と前日より低下しました。日経VIは、投資家が不安心理を強めているとされる20を依然として上回っています。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-4.6、米国+0.2と日本が4.8ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.3、米国が+4.4)は1.1ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より3.62ポイント(日経平均換算で60100円)割安となっています。
市場は現在、「米関税政策が世界経済に与える影響」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナをめぐる地政学的リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の4~6月期のGDP速報値は前期比年率3.0%増で、市場予想の2.4%増を上回りました。また、4~6月期の米企業の決算は、概ね好調です。
米国の経済指標は:
7月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、6月の耐久財受注、7月のミシガン大学消費者信頼感指数、6月の小売売上高、7月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、6月の鉱工業生産指数、6月の消費者物価指数、7月のニューヨーク連銀製造業景況指数、6月のISM製造業景況指数は市場予想を上回りました。また、5月の製造業受注は市場予想と一致しました。一方、6月のISM非製造業景況指数、6月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を下回りました。経済指標は10勝2負で、景気面では強気材料ですが、利下げペースが落ちるという面では弱気材料です。
米国の6月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比14.7万人増で、市場予想の11万人増を上回りました。また、失業率は4.1%で、前月の4.2%から改善されました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利下げペースが鈍るという面では弱気材料です。
米国の住宅関連の指標は:
7月の住宅市場指数、5月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を上回りました。一方、6月の新築住宅販売件数、6月の中古住宅販売件数、6月の住宅着工件数は市場予想を下回りました。5月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+2.3%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は2勝4負で、景気面では弱気材料ですが、利下げペースが上がるという面では強気材料です。
欧米日の金融政策は:
FRBは米政権の高関税政策がインフレを招きかねないと警戒しており、利下げを急がない姿勢を示しています。ECBは、7月の会合では利下げを見送り、中銀預金金利を2.00%に据え置きました。日銀は、7月の金融政策決定会合でも0.5%の金利水準を維持しました。既に、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。
日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが16.43、PBRが1.49となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは9.0%となり、これは3か月前と同水準です。また、今期予想利益の伸率は-4.1%で、こちらは3か月前より5.2ポイント悪化しています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowが下落したにもかかわらず上昇しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+1.0%となり、日経平均は280円の割安から420円の割高に転換しました。プレミアム値は、ここ一週間、-280円~+790円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、2.79ポイントから2.79ポイントと横ばいでした。ドル円相場は円安方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。日経平均は、短期的には上昇トレンドで、中期的にも上昇トレンドです。
7月31の米国市場では、週間の新規失業保険申請件数、6月の個人所得、6月の個人消費支出(PCE)、6月の個人消費支出(PCEデフレーター)のほか、アップル、S&Pグローバル、マスターカード、マイクロストラテジーなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、関税政策の影響や、長期金利の動向も株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲を上ぶれしました。上値は想定ラインを30円ほど上回り、下値は想定ラインを380円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ(現在41490円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ-200円(現在40620円近辺)が下値の目安となります。
日経VIは、依然として20を上回る高水準にあります。一方、信用の売り圧力は、弱まりました。日経平均は5日ぶりに反発しました。7月24日につけた高値(42065円)を上回ることができるかどうかが、次の注目点です。
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