日経平均の予想: May 2025

Saturday, May 31, 2025

[2025/6/1]今週の日経平均の見通し

 [ファンダメンタル視点]

先週の米国市場では、EUに対する追加関税の発動時期の延期で、貿易摩擦への過度な懸念が後退して、株価指数は週間では、上昇しました。

週間変動率 NYダウ:+1.60%, NASDAQ:+2.01%, S&P500:+1.88%.

 

一方、中長期的なリスクとしてはウクライナ紛争の長期化懸念、エネルギー・コスト、金利上昇による金融不安と世界経済の減速懸念、不動産バブル崩壊と中国の景気減速懸念があります。また、このことから、スタグフレーションの到来も懸念されています。さらに、東アジア、中東の地政学的リスクにも引き続き注意が必要です。

 

日米市場のイールド・スプレッドの差は、2025年のOECDの名目GDP予想値を考慮すると、日本市場が3.74ポイント割安となっています。割安の要因はS&P500PER22.4対して、日経平均採用銘柄の今期予想PER15.6との差と日米金利差、GDP伸率差によるものです。

日米市場が均衡するためには、次の条件が必要です。

現在の日経平均の価格に対して、2025年の日米のGDP伸び率差がOECD予想値に比べ、さらに3.74ポイント拡大する。(日本が下方修正又は米国が上方修正される)。又は、日経平均採用銘柄の今期予想PER37.7程度になる。又は、日経平均が91,610円程度となる。

結果的に、中長期的に日本市場は53,640円ほど割安です。

 

ファンダメンタルからは、日本市場は米国市場に比べ、53,640円ほど魅力に欠けるとも言えます。先週、日本市場の弱さは、やや改善しました。

      

[日経平均上昇の条件]

今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。

①米国市場の上昇

②従来以上の今期の予想増益率のUP

③日米の金利差の拡大による一段の円安

OECDによる日本の2025GDP予測値(現在+3.3%)の上方修正

⑤外人の買い越し

 

先週の動きを見ると、

  先週のNYDowの週足は陽線となりました。日足は200日線の下に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。NASDAQの週足は陽線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。今週は、NYダウが200日線の上に戻れるか否かに注目。

  決算の発表の結果、日経225採用銘柄のROE予想値は+9.1%となりました。3ヶ月前に比べて-0.1%ポイント悪化しています。利益伸び率は-4.1%となりました。3ヶ月前に比べて-10.6%ポイント悪化しています。

  米国の長期金利は低下し、日米間の金利差は2.99から2.92と縮小したものの、ドル円は142円台から146円台の範囲で円安方向に動きました。ドル・インデックスは週間で+0.34%上昇しました。

  OECDの日米の2025年の名目GDP伸び率は、日本が+3.3%で、米国は+4.4%と予想されていますので、この面では日本市場の方が1.1ポイント劣ります。

  5月第4週は買い越しで、5月第5週は買い越しだった可能性が高く、今週は買い越しが予想されます。先週は、5つのポイントのうち、①と③が強気材料でした。今週は、①②③⑤が影響すると思われます。

 

[テクニカル視点]

日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、中長期的に2.7ポイント(日経平均に勘算する1030円程度)割安です。一方、NYDowとの200日線乖離率差では、中長期的に0.8ポイント(日経平均に勘算する300円程度)割高です。

 

日本市場はNYダウに対して強く、NASDAQに対して弱い状態です。米国市場のボラティリティーを示す指標である VIX は、週間で 18.6 と低下しました。 日経 VI は 週間で 23.6と低下しました。米国市場はやや楽観的で、日本市場は疑心暗鬼状態です。

 

日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには"信号”が点灯しています。

日経平均は一目均衡表の雲の上にあります。総合乖離率は+6.0%となり、200日移動平均線乖離率は+0.5%となりました。3つの要因がプラスですので、中期トレンドにも"信号“が点灯しています。

                                                        

NYDowは、9日線と25日線の上にありますが、200線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。

米国市場は、短期的には"信号”で、中期的には"信号”が点灯しています。

 

[今週の見通し]

米国市場をファンダメンタル面で見ると目先、景気後退懸念は増幅しています。また、ロシア・ウクライナ戦争によるインフレと金利上昇、EU圏のエネルギー不足と政治情勢悪化などによる景気後退、米中貿易摩擦、中国の不動産バブルの崩壊と信用収縮に伴う金融市場混乱、中東の地政学的リスク拡大などもリスク要因として存在します。

 

テクニカルな面を見ると、米国市場は中期上昇トレンドで、短期は上昇トレンドです。

日本市場は中期もみあいで、短期は上昇トレンドです。

 

為替市場を分析すると、20251月につけた156円をトップに円高方向に転換しています。今週は143円台から146円台が想定されます。

 

今週の米国市場では、トランプ大統領が「中国が米国との予備的な貿易協定に違反した」と非難したことを受け、不安定な展開が予想されます。経済指標では、ISM製造業およびサービス業PMIFRB高官による講演、JOLTS求人、製造業受注、貿易収支と雇用統計が注目されます。世界的には、ECBによる金利政策、ユーロ圏のインフレ指標、中国のPMIが発表されます。

 

先週の日経平均は想定範囲内で推移しました。上値は640円下回り、下値は640円上回りました。

今週の日経平均の想定範囲は、上値がボリンジャーバンド+2σ (現在38970円近辺)で、下値が25日線(現在37090円近辺)の間での動きが想定されます。

                       

今週の日経平均は、513日の高値(38494円)を上回るか、522日の安値(36856円)を下回るかが関心事となります。


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Friday, May 30, 2025

[2025/05/30]今後の日経平均の見通し

[市況]

529日、NYDowNASDAQは上昇しました。530日、日経平均先物は、前日比560円安で寄り付くと、午前中は660円安から460円安の間でもみあい、午後は580円安から300円安の間で上下して、結局、450円安で取引を終えました。日経平均の終値は467円安の37965円で、出来高は27.12億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。

空売り比率は、5日平均を6日ぶりに上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、やや強まりました。

 

529日の米国市場では、24月期決算が良好と受け止められたエヌビディアが買われ、相場上昇を支えました。米国際貿易裁判所が、トランプ政権が導入した関税の一部差し止めを命じたことも、好材料視されました。ただ、関税政策が経済にもたらす影響はかえって見通しづらくなったとの見方もあり、相場の上値は限定的でした。NYDowNASDAQは反発しました。

530日の日本市場では、リスク回避の動きが優勢となりました。トランプ関税の差し止めを命じた米国際貿易裁判所の判決について、二審にあたる米連邦巡回区控訴裁判所が一時的に停止を命じたと伝わり、米関税政策の不透明感が改めて意識されました。円相場が円高ドル安に振れたことも重石となりました。日経平均は反落しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。

総合乖離率は+6.0%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+0.5%とプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。

 

NYDowは、200日線の下にありますが、25日線の上にあり、9日線を上回りました。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドは黄信号から青信号に変わりました。中期トレンドには黄信号が点灯しています

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-3.1ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が1180円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、+1.1ポイントとプラス幅を縮め、日経平均が420円ほど割高であることを示しています

 

日経VI23.63と前日より上昇し、VIX19.18と前日より上昇しました。日経VIは、投資家が不安心理を強めているとされる20を依然として上回っています。NYDowと比べて、日経平均は強い状態ですが、前日比で強さは縮小しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-4.9、米国-0.1と日本が4.8ポイント割安ですが、OECD2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.3、米国が+4.4)1.1ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より3.71ポイント(日経平均換算で52600円)割安となっています。

 

市場は現在、「米関税政策が世界経済に与える影響」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の13月期のGDP速報値は前期比年率0.2%減で、速報値の0.3%減を下回りました。一方、13月期の米企業の決算は、概ね好調です。

 

経済指標を見てみます。5月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、5月の耐久財受注、4月の小売売上高、5月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、4月のISM非製造業景況指数、4月のISM製造業景況指数は市場予想を上回りました。一方、5月のミシガン大学消費者信頼感指数、5月のニューヨーク連銀製造業景況指数、4月の鉱工業生産指数、3月の製造業受注、4月の消費者物価指数、4月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を下回りました。経済指標は66負で、景気・金利の両面で中立です

 

米国の4月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比17.7万人増で、市場予想の13.8万人増を上回りました。また、失業率は4.2%で、前月の4.2%から横ばいでした。雇用は、景気面では強気材料ですが、利下げペースが鈍るという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

3月の新築住宅販売件数、4月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、4月の中古住宅販売仮契約指数、4月の中古住宅販売件数、4月の住宅着工件数は市場予想を下回りました。3月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+4.07%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は24負で、景気面では弱気材料ですが、利下げペースが上がるという面では強気材料です

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRBは米政権の高関税政策がインフレを招きかねないと警戒しており、利下げを急がない姿勢を示しています。ECBは、6会合連続で利下げを実施し、中銀預金金利を2.25%としました。日銀は、5月の金融政策決定会合でも0.5%の金利水準を維持しました。既に、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。


日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER15.64PBR1.42となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.1%となり、これは3か月前より0.1ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は-4.0%で、こちらは3か月前より6.5ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowが上昇したにもかかわらず下落しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+0.7%となり、日経平均の割高幅は280円から270円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-210円~+810円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.01ポイントから2.94ポイントに縮小しました。ドル円相場は円高方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には上昇トレンドで、中期的にはもみあいです。日経平均は、短期的には上昇トレンドで、中期的にも上昇トレンドです。

 

530日の米国市場では、4月の個人所得や4月の個人消費支出(PCE)、4月のPCEデフレーターなどが注目されるでしょう。引き続き、関税をめぐる米政権の動向や長期金利の推移も株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲を下ぶれしました。上値は想定ラインを550円ほど下回り、下値は想定ラインを180円ほど下回りました。目先は、ボリンジャーバンド+1σ+400円(現在38430円近辺)が上値の目安に、25日線+300円(現在37390円近辺)が下値の目安となります。

 

日経VIは、依然として20を上回る高水準にあります。また、信用の売り圧力は、やや強まりました。日経平均は反落しました。日足チャートはダブルトップとなったようにも見え、上昇トレンドが続くかどうかは微妙な展開となってきました。



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Thursday, May 29, 2025

[2025/05/29]今後の日経平均の見通し

[市況]

528日、NYDowNASDAQは下落しました。529日の日経平均先物は、前日比550円高で寄り付くと、午前中は420円高から720円高と上昇幅を拡げ、午後は580円高から770円高の間でもみあって、結局、710円高で取引を終えました。日経平均の終値は710円高の38432円で、出来高は18.70億株でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。

空売り比率は、5日平均を5日連続で下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、弱い状態です。

 

528日の米国市場では、FRBが公開したFOMC議事要旨で、「関税政策の影響で経済見通しは不確実性を増しており、金融政策の判断は慎重であるべき」との見解が示されたことから、早期利下げ観測が後退し、株売りにつながりました。エヌビディアの24月期決算の発表を間近に控えて持ち高調整の売りが出たことも重石となりました。結局、NYDowNASDAQは反落しました。

529日の日本市場では、前日にエヌビディアが発表した24月期決算が良好な内容だったとの受け止めから、半導体関連株をはじめとした値がさのハイテク株に買いが集まりました。また、米国際貿易裁判所が米政権の関税政策は違法との判断を下したと伝わり、外国為替市場で円相場が下落したことも追い風となりました。日経平均は大幅に反発しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。

総合乖離率は+10.1%とプラス幅を拡げ、200日線との乖離率は+1.7%とプラスに転換しました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスとなり、中期トレンドも黄信号から青信号に変わりました。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。

 

NYDowは、25日線の上にありますが、200日線の下にあり、9日線を下回りました。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドは青信号から黄信号に変わりました。中期トレンドにも黄信号が点灯しています

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-1.5ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が580円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、+2.5ポイントとプラス幅を拡げ、日経平均が960円ほど割高であることを示しています

 

日経VI23.29と前日より低下し、VIX18.29と前日より低下しました。日経VIは、投資家が不安心理を強めているとされる20を依然として上回っています。NYDowと比べて、日経平均は強い状態であり、前日比で強さは拡大しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-4.8、米国+0.0と日本が4.8ポイント割安ですが、OECD2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.3、米国が+4.4)1.1ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より3.70ポイント(日経平均換算で54420円)割安となっています。

 

市場は現在、「米関税政策が世界経済に与える影響」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の13月期のGDP速報値は前期比年率0.3%減で、市場予想の0.2%減を下回りました。一方、13月期の米企業の決算は、概ね好調です。

 

経済指標を見てみます。5月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、5月の耐久財受注、4月の小売売上高、5月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、4月のISM非製造業景況指数、4月のISM製造業景況指数は市場予想を上回りました。一方、5月のミシガン大学消費者信頼感指数、5月のニューヨーク連銀製造業景況指数、4月の鉱工業生産指数、3月の製造業受注、4月の消費者物価指数、4月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を下回りました。経済指標は66負で、景気・金利の両面で中立です

 

米国の4月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比17.7万人増で、市場予想の13.8万人増を上回りました。また、失業率は4.2%で、前月の4.2%から横ばいでした。雇用は、景気面では強気材料ですが、利下げペースが鈍るという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

3月の新築住宅販売件数、4月の住宅市場指数、2月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を上回りました。一方、4月の中古住宅販売件数、4月の住宅着工件数は市場予想を下回りました。3月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+4.07%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は33負で、景気・金利の両面で中立です

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRBは、米経済は堅調であるとして利下げを急がない姿勢を示しており、年内の利下げ回数は2回との見通しを維持しています。ECBは、6会合連続で利下げを実施し、中銀預金金利を2.25%としました。日銀は、5月の金融政策決定会合でも0.5%の金利水準を維持しました。既に、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。


日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER15.85PBR1.44となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.1%となり、これは3か月前より0.1ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は-4.2%で、こちらは3か月前より6.9ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowが下落したにもかかわらず大幅に上昇しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+0.8%となり、日経平均は210円の割安から280円の割高に転換しました。プレミアム値は、ここ一週間、-210円~+810円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、2.97ポイントから3.01ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的にももみあいです。日経平均は、短期的には上昇トレンドで、中期的にも上昇トレンドです。

 

528日の米国市場では、週間の新規失業保険申請件数や、13月期のGDP改定値のほか、コストコ、デル、アルタ・ビューティー、ベストバイなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、関税をめぐる米政権の動向や長期金利の推移も株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲を上ぶれしました。上値は想定ラインを340円ほど上回り、下値は想定ラインを690円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ-300円(現在38790円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ-100円(現在37920円近辺)が下値の目安となります。

 

日経VIは、依然として20を上回る高水準にあります。一方、信用の売り圧力は、弱い状態です。日経平均は大幅に反発しました。引き続き、ボリンジャーバンド+2σ(現在39091円)を目指す動きとなりそうです。



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Wednesday, May 28, 2025

[2025/05/28]今後の日経平均の見通し

[市況]

527日、NYDowNASDAQは大幅上昇しました。528日の日経平均先物は、前日比400円高で寄り付くと、午前中は470円高から90円高と上昇幅を縮め、午後は200円高から120円安と下落に転じて、結局、120円安で取引を終えました。日経平均の終値は1円安の37722円で、出来高は18.04億株でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。

空売り比率は、5日平均を4日連続で下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、弱い状態です。

 

527日の米国市場では、トランプ大統領がフォンデアライエン欧州委員長との電話会談のあと、61日に予定していたEUに対する追加関税の発動を延期すると表明したことから、貿易摩擦への過度な懸念が後退し、買い戻しの動きが優勢となりました。5月のコンファレンスボード消費者信頼感指数が市場予想を上回ったことも投資家心理を支えました。結局、NYDow5営業日ぶりに反発し、NASDAQも反発しました。

528日の日本市場では、前日の米株式市場でハイテク株が買われた流れを受けて値がさの半導体関連株が買われ、指数を押し上げました。外国為替市場で円相場が円安ドル高方向に推移したことも好感されました。しかし、買い一巡後は戻り待ちの売りや利益確定の売りが出て相場の上値を抑えました。財務省が実施した40年物国債の入札が「低調」と伝わり、長期金利が上昇したことも重石となりました。結局、日経平均は小幅ながら4営業日ぶりに反落しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。

総合乖離率は+4.8%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率は-0.2%と前日比横ばいでした。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素のうち1つがマイナスであり、中期トレンドには黄信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。

 

NYDowは、200日線の下にありますが、25日線の上にあり、9日線を上回りました。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、25日線と200日線の上にあり、9日線を上回りました。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドは黄信号から青信号に変わりました。中期トレンドには黄信号が点灯しています

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-4.0ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が1510円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、+0.1ポイントとプラス幅を縮め、日経平均が40円ほど割高であることを示しています

 

日経VI23.36と前日より低下し、VIX18.96と前日より低下しました。日経VIは、投資家が不安心理を強めているとされる20を依然として上回っています。NYDowと比べて、日経平均は強い状態ですが、前日比で強さは縮小しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-4.9、米国-0.1と日本が4.8ポイント割安ですが、OECD2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.3、米国が+4.4)1.1ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より3.78ポイント(日経平均換算で53740円)割安となっています。

 

市場は現在、「米関税政策が世界経済に与える影響」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の13月期のGDP速報値は前期比年率0.3%減で、市場予想の0.2%減を下回りました。一方、13月期の米企業の決算は、概ね好調です。

 

経済指標を見てみます。5月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、5月の耐久財受注、4月の小売売上高、5月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、4月のISM非製造業景況指数、4月のISM製造業景況指数は市場予想を上回りました。一方、5月のミシガン大学消費者信頼感指数、5月のニューヨーク連銀製造業景況指数、4月の鉱工業生産指数、3月の製造業受注、4月の消費者物価指数、4月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を下回りました。経済指標は66負で、景気・金利の両面で中立です

 

米国の4月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比17.7万人増で、市場予想の13.8万人増を上回りました。また、失業率は4.2%で、前月の4.2%から横ばいでした。雇用は、景気面では強気材料ですが、利下げペースが鈍るという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

3月の新築住宅販売件数、4月の住宅市場指数、2月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を上回りました。一方、4月の中古住宅販売件数、4月の住宅着工件数は市場予想を下回りました。3月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+4.07%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は33負で、景気・金利の両面で中立です

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRBは、米経済は堅調であるとして利下げを急がない姿勢を示しており、年内の利下げ回数は2回との見通しを維持しています。ECBは、6会合連続で利下げを実施し、中銀預金金利を2.25%としました。日銀は、5月の金融政策決定会合でも0.5%の金利水準を維持しました。既に、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。


日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER15.56PBR1.41となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.1%となり、これは3か月前より0.1ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は-4.2%で、こちらは3か月前より6.3ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowが上昇したにもかかわらず下落しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.6%となり、日経平均は810円の割高から210円の割安に転換しました。プレミアム値は、ここ一週間、-250円~+810円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.01ポイントから2.97ポイントに縮小しましたが、ドル円相場は円安方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は上昇トレンドで、中期的にはもみあいです。日経平均も同様に、短期的には上昇トレンドで、中期的にはもみあいです。

 

528日の米国市場では、FOMC議事録のほか、エヌビディアやセールスフォース、HPなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、関税をめぐる米政権の動向や長期金利の推移も株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲を上ぶれしました。上値は想定ラインを50円ほど上回り、下値は想定ラインを430円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+1σ+100円(現在38030円近辺)が上値の目安に、25日線+400円(現在37180円近辺)が下値の目安となります。

 

日経VIは、依然として20を上回る高水準にあります。一方、信用の売り圧力は、弱い状態です。日経平均は4日ぶりに小幅反落しました。日足は陰線となったものの、まだ、ボリンジャーバンド+2σ(現在39075円)を目指す動きに戻る可能性はありそうです。



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Tuesday, May 27, 2025

[2025/05/27]今後の日経平均の見通し

[市況]

526日、米国市場は休場で、取引はありませんでした。527日の日経平均先物は、前日比50円安で寄り付くと、午前中は30円安から180円安の間でもみあい、午後は140円安から230円高と上昇に転じて、結局、230円高で取引を終えました。日経平均の終値は192円高の37724円で、出来高は13.31億株でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。

空売り比率は、5日平均を3日連続で下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、弱い状態です。

 

526日の米国はメモリアルデーの祝日で、株式市場は休場でした。

527日の日本市場では、前日に上昇の目立った半導体関連株に売りが出て、指数を押し下げました。日銀の植田総裁が日銀金融研究所主催のイベントで利上げに言及し、円相場が円高ドル安に振れたことも重石となりました。しかし午後、「財務省が来月、国債市場特別参加者会合を開く」と報じられると、超長期債発行計画が修正されるとの観測から長期金利の低下と円相場の下落が進み、歩調を合わせるように株価指数先物に買いが強まりました。結局、日経平均は3日続伸しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。

総合乖離率は+5.1%とプラス幅を拡げ、200日線との乖離率は-0.2%とマイナス幅を縮めました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素のうち1つがマイナスであり、中期トレンドには黄信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。

 

NYDowは、25日線の上にありますが、9日線と200日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、25日線と200日線の上にありますが、9日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドは黄信号が点灯しています。中期トレンドにも黄信号が点灯しています

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-1.6ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が600円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、+1.8ポイントとプラス幅を拡げ、日経平均が680円ほど割高であることを示しています

 

日経VI23.61と前日より低下し、VIX20.57と前日より低下しました。両指数ともに、投資家が不安心理を強めているとされる20を上回っています。NYDowと比べて、日経平均は強い状態であり、前日比で強さは拡大しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-5.0、米国-0.1と日本が4.9ポイント割安ですが、OECD2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.3、米国が+4.4)1.1ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より3.82ポイント(日経平均換算で55260円)割安となっています。

 

市場は現在、「米関税政策が世界経済に与える影響」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の13月期のGDP速報値は前期比年率0.3%減で、市場予想の0.2%減を下回りました。一方、13月期の米企業の決算は、概ね好調です。

 

経済指標を見てみます。

4月の小売売上高、5月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、4月のISM非製造業景況指数、4月のISM製造業景況指数、4月の耐久財受注は市場予想を上回りました。一方、5月のミシガン大学消費者信頼感指数、5月のニューヨーク連銀製造業景況指数、4月の鉱工業生産指数、3月の製造業受注、4月の消費者物価指数、4月のシカゴ購買部協会景気指数、4月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を下回りました。経済指標は57負で、景気面では弱気材料ですが、利下げペースが上がるという面では強気材料です

 

米国の4月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比17.7万人増で、市場予想の13.8万人増を上回りました。また、失業率は4.2%で、前月の4.2%から横ばいでした。雇用は、景気面では強気材料ですが、利下げペースが鈍るという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

3月の新築住宅販売件数、4月の住宅市場指数、2月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を上回りました。一方、4月の中古住宅販売件数、4月の住宅着工件数は市場予想を下回りました。2月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+4.5%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は33負で、景気・金利の両面で中立です

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRBは、米経済は堅調であるとして利下げを急がない姿勢を示しており、年内の利下げ回数は2回との見通しを維持しています。ECBは、6会合連続で利下げを実施し、中銀預金金利を2.25%としました。日銀は、5月の金融政策決定会合でも0.5%の金利水準を維持しました。既に、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。


日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER15.54PBR1.41となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.1%となり、これは3か月前より0.1ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は-4.3%で、こちらは3か月前より6.6ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

前日の米国市場は休場でしたが、きょうの日経平均は上昇しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+2.2%となり、日経平均の割高幅770円から810円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-770円~+810円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.01ポイントから3.01ポイントと横ばいでした。ドル円相場は円安方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的にももみあいです。日経平均は、短期的には上昇トレンドで、中期的にはもみあいです。

 

527日の米国市場では、4月の耐久財受注、3月の住宅価格指数、3月のS&Pケース・シラー住宅価格指数、5月のコンファレンスボード消費者信頼感指数のほか、オートゾーンなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、関税をめぐる米政権の動向や長期金利の推移も株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを190円ほど下回り、下値は想定ラインを360円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+1σ+200円(現在38060円近辺)が上値の目安に、25日線+500円(現在37160円近辺)が下値の目安となります。

 

日経VIは、依然として20を上回る高水準にあります。一方、信用の売り圧力は、弱い状態です。日経平均は3日続伸しました。引き続き、ボリンジャーバンド+2σ(現在39055円)を目指す動きが期待できそうです。



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