[ファンダメンタルの現状認識]
先週の米国市場は、経済指標や企業決算が好調なものが多かったものの、FRBの追加金融緩和規模が小さいとの観測から、伸び悩みました。一方、中長期的には、先進国の消費や雇用の改善の動きは弱く、欧州の財政問題や金融改革法案成立の影響による信用収縮傾向と、先進国の緊縮財政が景気後退懸念を生み、今後も相場の足を引っ張る原因となる可能性があります。
2010年の実質GDP伸率考慮後の日米市場のイールド・スプレッドの差は米国企業7-9月期決算での増益修正で日本市場が0.1ポイント割高となっています。S&P500のPERが12.7で、日経平均のPERの15.4との差と日米金利差で日本市場は割高となりました。
[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇、
②従来以上の今期の予想増益率のUP、
③日米の金利差の拡大、
④日本の2010年GDP予測値(現在+1.8%)の上方修正、
⑤外人の買い越し、
最近の動きを見ると、
① 先週の米国市場は揉み合いでした。高値警戒感もあり、ピークアウト懸念が出てきました。
② 日経225採用銘柄の今期予想増益率は75%となり、今期ROE予想値は4.3%から6.9%へ改善しています。
③ 日米とも長期金利の低下は一服し、日米の金利差は1.6%~1.7%前後で推移し、為替は80から81円台の動きでした。今週も、80から82円台が想定されます。
④ 今年5月に更新された、OECDによる日米の2010年の実質GDP伸び率は日本が+3.0%で、米国は+3.2%と予想されていますので、この面では日本市場にとって0.2ポイント分の弱気材料です。
⑤ 10月3週は買い越しで10月4週も買い越しだった可能性が高く、今週も買い越しが予想されます。
5つのポイントのうち⑤が強気材料で①③が弱気材料でした。今週も引き続き、①③⑤と米国経済指標発表が影響すると思われます。
[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、16.9ポイント割安となり、先週比3.0ポイント割安幅が拡がりました。
日経平均は、一目均衡表の雲の下に在ります。200日移動平均線乖離率は-7.9%となり先週と比較してマイナス幅が拡がりました。総合乖離率は-12.5%となりマイナス幅拡がりました。3つがマイナスですので中期上昇トレンドは、"赤信号"が点灯しています。日経平均は25日線、9日線の下に在りますので、短期的には"赤信号"が点灯しています。
米国市場ではNY Dowは200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表の雲の上に在ります。Nasdaqは、200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表の雲の上に在ります。短期的には青信号"で中期的には"青信号"が点灯しています。
[今週の見通し]
米国市場は短期・中期的上昇トレンドに青信号が点燈していますが、日本市場の短期・中期ともトレンドは赤信号となりました。株価は半年以上先の景気を暗示している面がありますので、200日線を下回る動きが続いている間は、円高と景気後退懸念から、株価低迷が続くと考えておくことが無難と思われます。ちなみに、日経平均は、200日線とは、まだ780円ぐらいのマイナス乖離があります。一方、LIBORのドル3ヶ月物金利はギリシャ・ショック以前に戻り、欧米の金融不安は無くなりつつあります。9月に入ってからは経済指標と企業業績は改善傾向が持続しており、米国市場はNYDow、NASDAQともに堅調ですが、高値警戒感もあり、踊り場を迎えたようです。今週の米国市場は、10月のISM製造業景気指数、中間選挙、FOMC追加金融政策、10月の雇用統計などが株価に影響を与えそうです。今週の米国市場は、FOMCの追加金融政策の内容次第となりそうです。事前の期待が大きかった分、材料出尽くしか期待はずれで反動安となる可能性もありそうです。その場合は為替も転換点を迎える可能性があり、日本市場の方向に大きく影響しそうです。今週の日経平均は目先の安値を探る動きとなりそうです。
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