日経平均の予想: [2010/10/21]日経平均の今後の見通し

Thursday, October 21, 2010

[2010/10/21]日経平均の今後の見通し

[市況]
20日のNYDowとNASDAQは上昇しました。21日の日経平均先物は、前日比60円高で寄り付きました。前場は50円安まで売られた後110円高まで急騰するなど乱高下する動きでした。後場はマイナス圏で寄り付き膠着した相場となり、最終的に10円安で終わりました。日経平均は5円安で引け、出来高は17.8億株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、340万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅が縮まりました。個別銘柄に関しては「売り」が有利な状態です。
20日の米国市場では、前日に大きく下げた後とあって、値ごろ感からの買いが先行しました。午前中ごろにドル安が加速すると、商品先物が割安感から上昇したことで、素材株やエネルギー株が一段高となりました。売りが先行したモルガン・スタンレーやバンカメなど金融株が下げ渋ったこともあり、NYDowは一時174ドル高まで上げ幅を広げる場面がありました。午後に公表された米地区連銀経済報告が、雇用などについて引き続き厳しい認識を示したことで、追加金融緩和の可能性を否定する内容ではないと好意的に受け止められました。
21日の日本市場では、米国株高を受けて寄り付きは反発スタートとなりましたが、買い一巡後は先物主導ですぐさま伸び悩む展開になりました。前場中頃に、ガイトナー米財務長官の「ドルが対ユーロ、円でこれ以上下落する必要はない」との発言が伝わったことで、為替市場で一気に円安が進行、これに伴い日経平均も一時9470円台まで上昇する場面があったものの、円安ドル高の流れは続かず、再度伸び悩む動きとなりました。アジア株式市場の軟調で後場はマイナス圏になり、その後は、大引けにかけ膠着感が強まる展開となりました。
[テクニカル視点]
日経平均は、25日線、9日線の下に在ります。短期トレンドは赤信号が点灯しています。総合乖離率は-7.9%とマイナス幅が拡がりました。200日線との乖離率は-6.5%と変化ありませんでした。日経平均は一目均衡表の雲の上に在ります。2つの要素がマイナスですので、中期的トレンドは黄信号が点灯しています。
また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線、25日線の上に在りますが、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。
NYDowは、200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。
NASDAQは、200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。米国市場の短期トレンドは青信号が点灯しています。中期トレンドは青信号が点灯しています。
テクニカルな指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が13.7ポイント割安(弱い動き)であることを示しています。日本市場の割安幅は0.9ポイント拡がりました。

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、5月に改訂されたOECDの2010年予想実質GDP伸び率の日米差を考慮した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が米国市場に比べ1.9ポイント割安となっています。
市場は現在、「米国の景気と雇用状況と金融規制の影響」、「欧州の財政赤字と景気後退の行方」や「中国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。FRBは2010年の実質GDP成長率見通しを下方修正し、米国の4-6月期のGDPは縮小ぎみです。一方、7-9月期の主要企業の決算発表内容は概ね好調です。経済指標では、9月のISM非製造業景況感指数、9月の製造業購買担当者景気指数、8月の米個人消費支出、9月のシカゴ購買部協会景気指数、8月の小売売上高、などは市場予想を上回りましたが、9月の鉱工業生産指数、9月のISM製造業景気指数、9月の消費者信頼感指数、8月の耐久財受注、9月の連銀景気指数は予想以下となりました。8月の失業率は9.6%と増加したものの、雇用者数が事前予想以上となりました。一方、住宅関連では、10月の住宅市場指数が5ヶ月ぶりに前月比で上昇し、8月の米仮契約住宅販売指数、8月の米中古住宅販売件数は予想以上でしたが、8月の新築住宅販売件数は市場予想を下回りました。7月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は予想以上だったものの伸びが鈍化しました。8月の景気指標と住宅関連指標は弱い内容でしたが、9月、10月は改善傾向です。
ギリシャを初めとする欧州各国の財政赤字拡大が債務不履行懸念を生んでいましたが、ストレステスト通過により、欧州の銀行による金融不安は落ち着いたようです。しかし、根本的な解決には時間が掛かりそうです。G20で2013年に財政赤字半減が宣言され、需要不足から世界景気の後退リスクが出てきました。長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下、FRBの低金利政策は継続されています。引き続き、金融機関間の金利、株価の推移や企業業績の推移に留意することが肝要です。
ちなみに、LIBORドル3ヶ月物金利の推移は10月18日 0.2891% → 10月19日 0.2891% → 10月20日 0.2884%と低下しました。ちなみに、急落前の05月03日の0.346%を下回っています。MAXは6月17日の0.5392%でした。
シティグループの株価は20日、上昇しました。(昨年1月高値7.59ドル・昨年3月安値1.02ドルに対し、現在4.11ドル)。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが15.8、PBRが1.09、ROEが6.9%となっています。

[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの上昇にも関わらず下げました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.9%となり、日経平均は90円の割安で、割安に転換しました。プレミアム値は、ここ一週間、-130円 ~ +110の間で推移しています。日本市場は、ドルベースでも米国市場より弱い動きに転換しました。今夜の米国市場は、新規失業保険申請件数、9月のコンファレンスボード景気先行指数、10月のフィラデルフィア連銀製造業景気指数やキャタピラーの決算発表などが注目されそうです。9-10月に発表された米国の経済指標は、追加金融緩和期待から、予想以下でも売り材料にはなりにくい状況が続いていており、米国市場は、短期・中期とも上昇トレンドにあります。一方、日経平均は三角持ち合いを下離れ、冴えない動きとなっています。日経平均の上昇の為には、今後も効果的な為替介入や米国市場の一段高などの支援材料が必要ですが、米国市場も高値圏でのもみ合い状態に在り、上昇が続くかどうか微妙な段階となりました。この先NYDoweが25日線を割るか否かを注視することが必要です。日経平均は直近安値を割り込み、短期トレンドは赤信号となりました。一目衡表の雲にまだサポートされた形ですが、75日線を下回り、あまり良くない形で、正念場が続いています。


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