[ファンダメンタルの現状認識]
先週の米国市場は、発表された経済指標は悪くなかったものの、高値圏での揉み合いとなりました。一方、中長期的には、先進国の消費や雇用の改善の動きは弱く、欧州の財政問題や金融改革法案成立の影響による信用収縮傾向と、先進国の緊縮財政が景気後退懸念を生み、今後も相場の足を引っ張る原因となる可能性があります。
2010年の実質GDP伸率考慮後の日米市場のイールド・スプレッドの差は日本市場が0.9ポイント割安となっています。S&P500のPERが14.9で、日経平均のPERの16.0との差と日米金利差で日本市場は割安となりました。
[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇、
②従来以上の今期の予想増益率のUP、
③日米の金利差の拡大、
④日本の2010年GDP予測値(現在+1.8%)の上方修正、
⑤外人の買い越し、
最近の動きを見ると、
① 先週の米国市場は高値揉み合いでした。高値警戒感が出やすい水準です。
②日経225採用銘柄の今期予想増益率は75%となり、今期ROE予想値は4.3%から6.9%へ改善しています。
② 日本の長期金利が低下し、日米の金利差は1.6%前後で推移し、為替は85から83円台の動きでした。今週は、82から84円台が想定されます。
④今年5月に更新された、OECDによる日米の2010年の実質GDP伸び率は日本が+3.0%で、米国は+3.2%と予想されていますので、この面では日本市場にとって0.2ポイント分の弱気材料です。
⑤9月4週は売り越しで10月1週は買い越しだった可能性が高く、今週も買い越しが予想されます。
5つのポイントのうち①が強気材料で③が弱気材料でした。今週も引き続き、①③⑤と米国経済指標発表が影響すると思われます。
[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、10.3ポイント割安となり、先週比2.2ポイント割安幅が拡大しました。
日経平均は、一目均衡表の雲の中に在ります。200日移動平均線乖離率は-6.6%となり先週と比較してマイナス幅が拡がりました。総合乖離率は-5.7%となりマイナス幅が拡がりました。2つがマイナスですので中期上昇トレンドは、"黄信号"が点灯しています。日経平均は25日線の上に在りますが、9日線の下に在りますので、短期的には"黄信号"が点灯しています。
米国市場ではNY Dowは200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表の雲の上に在ります。Nasdaqは、200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表の雲の上に在ります。短期的には青信号"で中期的には"青信号"が点灯しています。
[今週の見通し]
米国市場は中期的上昇トレンドに青信号が点燈していますが、日本市場の中期上昇トレンドは黄信号のままです。株価は半年以上先の景気後退を暗示している面がありますので、200日線を下回る動きが続いている間は、円高と景気後退懸念から、株価低迷が続くと考えておくことが無難と思われます。ちなみに、日経平均は、200日線とは、まだ670円ぐらいのマイナス乖離があります。一方、LIBORのドル3ヶ月物金利はギリシャ・ショック以前に戻り、金融不安は無くなりつつあるものの、一部欧州銀行の格下げで、下げ止まりからやや上昇傾向に変化しており注意が必要です。また、欧米先進国の緊縮財政志向による需要不足から景気後退懸念を生んでおり、8月は米国の景気指標の悪化も重なって、市場の悪材料となっていました。ただ、9月に入り経済指標は改善傾向が持続しており、米国市場はNYDow、NASDAQともに堅調です。今週の米国市場は、8月の中古住宅販売成約指数、9月のISM非製造業景気指数、9月の雇用統計などが株価に影響を与えそうです。今週の米国市場は、引き続き高値警戒感があり、週末に雇用統計の発表を控え、動きづらい環境ですが、テロの警戒感もあり弱含みの展開が予想されます。日本市場はそれに為替の影響を加味する必要があります。
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