[市況]
27日のNYDowは下落しNASDAQは上昇しました。28日の日経平均先物は、前日比30円安寄り付き、前場は、その水準で小動きでした。後場に10円高まで買われる場面もありましたが、大引けにかけて、引き戻され、最終的に40円安で終わりました。日経平均は21円安で引け、出来高は20.5億株と増加しました。寄り付き前の外国人の売買注文は、790万株の買い越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅が拡がりました。個別銘柄に関しては「売り」が有利な状態です。
27日の米国市場では、9月米耐久財受注が予想外の減少となったことや、ウォール・ストリート・ジャーナル紙が11月2~3日のFOMCで決められるとみられる追加の金融緩和策について「国債の購入額は今後数カ月で数千億ドル規模になる可能性が高い」と報じたことが、市場予想よりやや控えめと受け止められ、相場に高値警戒感が出ていたことも手伝い、利益確定売りが優勢となりました。NYDowの下げ幅は一時150ドルに迫る場面がありました。ただ、午後はドル買いが一服したこともあり、引けにかけて下げ幅を縮めました。
28日の日本市場では、米国株式市場や為替相場が落ち着いた動きとなったことで、朝方から手掛かり材料不足の展開となりました。日銀金融政策決定会合の次回日程が伝わった直後に上げ幅を広げる場面もありましたが、それ以外は、来週のFOMCを見極めたいというムードは根強く、前日終値をやや下回る水準での小動きに終始しました。決算発表の内容も、全体相場を牽引するほどのインパクトとは乏しい状況です。
[テクニカル視点]
日経平均は、25日線、9日線の下に在ります。短期トレンドは赤信号が点灯しています。総合乖離率は-7.7%とマイナス幅が拡がりました。200日線との乖離率は-6.3%とマイナス幅が拡がりました。日経平均は一目均衡表の雲の上に在ります。2つの要素がマイナスですので、中期的トレンドは黄信号が点灯しています。
また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の上に在りますが、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。
NYDowは、200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。
NASDAQは、200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。米国市場の短期トレンドは青信号が点灯しています。中期トレンドは青信号が点灯しています。
テクニカルな指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が15.2ポイント割安(弱い動き)であることを示しています。日本市場の割安幅は0.4ポイント拡がりました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、5月に改訂されたOECDの2010年予想実質GDP伸び率の日米差を考慮した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が米国市場に比べ2.2ポイント割安となっています。
市場は現在、「米国の景気と雇用状況と金融規制の影響」、「欧州の財政赤字と景気後退の行方」や「中国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。FRBは2010年の実質GDP成長率見通しを下方修正し、米国の4-6月期のGDPは縮小ぎみです。一方、7-9月期の主要企業の決算発表内容は概ね好調です。経済指標では、10月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、9月のISM非製造業景況感指数、9月の製造業購買担当者景気指数、8月の米個人消費支出、9月のシカゴ購買部協会景気指数、8月の小売売上高、などは市場予想を上回りましたが、9月米耐久財受注、10月のフィラデルフィア連銀製造業景気指数、9月の鉱工業生産指数、9月のISM製造業景気指数、などは予想以下となりました。8月の失業率は9.6%と増加したものの、雇用者数が事前予想以上となりました。一方、住宅関連では、9月の新築住宅販売件数は2か月連続のプラスとなり、10月の住宅市場指数が5ヶ月ぶりに前月比で上昇し、9月の中古住宅販売件数は予想以上でした。また、8月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年同月比で1.7%上昇したものの伸びが鈍化しました。8月の景気指標と住宅関連指標は弱い内容でしたが、9月、10月は改善傾向です。
ギリシャを初めとする欧州各国の財政赤字拡大が債務不履行懸念を生んでいましたが、ストレステスト通過により、欧州銀行の金融不安は落ち着いたようです。しかし、G20で2013年に財政赤字半減が宣言され、需要不足から世界景気の後退リスクが出てきたように、先進国の財政赤字に対する根本的な解決には時間が掛かりそうです。長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下で、FRBの低金利政策は継続されています。引き続き、金融機関間の金利、株価の推移や企業業績の推移に留意することが肝要です。
ちなみに、LIBORドル3ヶ月物金利の推移は10月21日 0.2884% → 10月22日 0.2884% → 10月25日 0.2884%と低下後下げ止まり傾向です。ちなみに、急落前の05月03日の0.346%を下回っています。MAXは6月17日の0.5392%でした。
シティグループの株価は27日、下落しました。(昨年1月高値7.59ドル・昨年3月安値1.02ドルに対し、現在4.17ドル)。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが15.7、PBRが1.08、ROEが6.9%となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、NYDowに連動した動きでした。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-1.6%となり、日経平均は150円の割安で、割安幅が縮まりました。プレミアム値は、ここ一週間、-240円 ~ +20の間で推移しています。日本市場は、円安進行にも関わらずドルベースでも米国市場より弱い動きが続いています。今夜の米国市場は、週間の新規失業保険申請件数やマイクロソフト、モトローラ、エクソンモービルの決算発表が注目されそうです。9-10月に発表された米国の経済指標は、追加金融緩和期待から、予想以下でも売り材料にはなりにくい状況が続いていており、米国市場は、短期・中期とも上昇トレンドにあります。一方、日経平均は三角持ち合いを下離れ、冴えない動きとなっています。日経平均の上昇の為には、今後も円安への動きや米国市場の一段高などの支援材料が必要ですが、米国市場は高値圏でのもみ合い状態に在り、長期金利も上昇ぎみで、ドル高ぎみなことから、上昇が続くかどうか微妙な段階です。この先NYDowが25日線を割るか否かを注視することが必要です。ちなみに、現在の25日線乖離率は+1.3%で、まだ145ドル程度の余裕があります。日経平均は米国市場の上昇でなんとかなっていますが、短期トレンドは赤信号が続いています。一目衡表の雲にサポートされていますが、25日線を下回っていますので、チャートとしては、あまり良くない形が続いています。また、ボリンジャーバンドが狭まりつつあり、煮詰まり感もでてきました。FOMCの結果が出るまでは方向感に乏しい動きが続きそうですが、出来高が増えて安値更新銘柄が増加したことから個別銘柄に投げが出始めた点は要注意です。その先の反転が近いとも云えそうです。
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