市況]
4日のNYDowとNASDAQは下落しました。5日の日経平均先物は、前日比同値で寄り付きました。前場は小動きながら堅調な動きでした。後場に弱含む場面もあったものの、中頃に急伸し、一時190円高を付け、最終的に170円高で終わりました。日経平均は137円高で引け、出来高は23.2億株に増加しました。寄り付き前の外国人の売買注文は、670万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅が拡大しました。個別銘柄に関しては「売り」が有利な状態です。
4日の米国市場では、このところ相場が高値圏にあり、決算発表を前に利益確定売りが優勢となりました。欧州の財政・金融問題への懸念が根強いことも相場の重荷にでした。司法省が独占禁止法で提訴したと発表したアメックスが大幅安となり、アナリストが投資判断を引き下げたマイクロソフトが下落したことも影響しました。一方、8月の製造業受注額が前月比で市場予想以上に減少し、仮契約住宅販売指数は前月から上昇しましたが、相場の反応は限定的でした。
5日の日本市場では、日銀の金融政策決定会合の結果を見極めたいとして、寄り付きから後場半ばまでは前日終値水準でのもみ合いが続きましたが、後場中頃に金融緩和策の内容が伝わると、想定以上にポジティブな内容として、為替の円安進行と相俟って、株価上昇につながりました。4年3ヶ月ぶりとなる実質ゼロ金利政策の導入のほか、国債やETFなどの資産を買い入れる基金創設などが好材料視されました。
[テクニカル視点]
日経平均は、25日線の上に在り、9日線を上回りました。短期トレンドは黄信号から青信号に変りました。総合乖離率は-2.3%とマイナス幅が縮まりました。200日線との乖離率は-5.5%とマイナス幅が縮まりました。日経平均は一目均衡表の雲の中に在ります。2つの要素がマイナスですので、中期的トレンドは黄信号が点灯しています。
また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線、25日線の上に在り、9日線を上回りました。一目均衡表では雲の上に在ります。
NYDowは、200日線、25日線がの上に在りますが、9日線を下回りました。一目均衡表では雲の上に在ります。
NASDAQは、200日線、25日線の上に在りますが、9日線を下回りました。一目均衡表では雲の上に在ります。米国市場の短期トレンドは青信号から黄信号に変りました。中期トレンドは青信号が点灯しています。
テクニカルな指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が8.1ポイント割安(弱い動き)であることを示しています。日本市場の割安幅は2.6ポイント縮まりました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、5月に改訂されたOECDの2010年予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が米国市場に比べ0.8ポイント割安となっています。
市場は現在、「米国の景気と雇用状況と金融規制の影響」、「欧州の財政赤字と景気後退の行方」や「中国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。FRBは2010年の実質GDP成長率見通しを下方修正し、米国の4-6月期のGDPは縮小ぎみです。一方、4-6月期決算発表内容は概ね好調でしたが、7-9月期は鈍化するとの見方が出ています。経済指標では、9月の製造業購買担当者景気指数、8月の米個人消費支出、9月のシカゴ購買部協会景気指数、8月の小売売上高、などは市場予想を上回りましたが、9月のISM製造業景気指数、9月の消費者信頼感指数、8月の耐久財受注、9月の連銀景気指数、8月の鉱工業生産指数、8月のISM非製造業景況感指数は予想以下となりました。8月の失業率は9.6%と増加したものの、雇用者数が事前予想以上となりました。一方、住宅関連では、8月の米仮契約住宅販売指数、8月の米中古住宅販売件数は予想以上でしたが、8月の新築住宅販売件数は市場予想を下回りました。7月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は予想以上だったものの伸びが鈍化しました。8月の景気指標と住宅関連指標は弱い内容でしたが、9月はやや改善傾向です。
ギリシャを初めとする欧州各国の財政赤字拡大が債務不履行懸念を生んでいましたが、ストレステスト通過により、欧州の銀行による金融不安は落ち着いたようです。しかし、根本的な解決には時間が掛かりそうです。G20で2013年に財政赤字半減が宣言され、需要不足から世界景気の後退リスクが出てきました。長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下、FRBの低金利政策は継続されています。引き続き、金融機関間の金利、株価の推移や企業業績の推移に留意することが肝要です。
ちなみに、LIBORドル3ヶ月物金利の推移は09月30日 0.2900% → 10月01日 0.2906% → 10月04日 0.2906%と下げ止まりから上昇に転換しました。ちなみに、急落前の05月03日の0.346%を下回っています。MAXは6月17日の0.5392%でした。
シティグループの株価は4日、下落しました。(昨年1月高値7.59ドル・昨年3月安値1.02ドルに対し、現在4.03ドル)。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが15.9、PBRが1.10、ROEが6.9%となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、米国市場の下落にも関わらず上昇しました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+0.9%となり、日経平均は80円の割高で、割高に転換しました。プレミアム値は、ここ1週間、-110円 ~ +100の間で推移しています。日本市場は、円安推移で、ドルベースで米国市場より強い動きに転換しました。今夜の米国市場は、9月のISM非製造業景気指数が注目されそうです。9月に入り発表された、米国の経済指標は予想以下でも、追加金融緩和期待から、売り材料にはなりにくい状況が続いていており、米国市場は、中期上昇トレンドにあります。ただ、テクニカルに、目先は買われ過ぎ圏であることや、欧米市場で財政懸念が意識されていることから、引き続き利食い売りが出やすい状況です。日経平均は日銀の政策がポジティブ・サプライズとなり円安推移で、一目均衡表の雲の上限に近づきましたが、雲の中での推移となっています。雲の帯が下向きにも関わらず、まだ上に抜けない状態です。日経平均の上昇の為には、今後も効果的な為替介入や米国市場の一段高などの支援材料が必要です。米国市場が目先調整ぎみなことがマイナス要因ですが、為替が円安ぎみに推移すれば、当面は米国市場よりも強い動きが期待できそうです
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