[市況]
29日のNYDowとNASDAQは小幅上昇しました。1日の日経平均先物は、前日比20円安で寄り付き、寄り付き直後に急騰し80円高となる場面がありましたが、直ぐに元に戻り、前場は、その後小動きとなりました。後場も膠着した相場が続き、大引けにかけて、売り直され、最終的に30円安で終わりました。日経平均は47円安で引け、出来高は17.0億株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、490万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅が縮まりました。個別銘柄に関しては「売り」が有利な状態です。
29日の米国市場では、朝方に発表された7-9月期のGDP速報値は前期に比べ年率で2.0%増加し、市場予想にほぼ一致しました。個人消費は改善しましたが、景気の回復ペースは低調でFRBが追加緩和するとの観測を後退させるものではないと受け止められました。一方、決算の内容が嫌気されたシェブロンやメルクが下げたことや、10月の消費者態度指数が市場予想に反して低下したことが、相場の重荷になりましたが、相場は狭い値幅での推移が続きました。
1日の日本市場では、寄り付き直後は為替介入観測で乱高下しましたが、介入観測の後退とともに、円高、株安基調へと戻りました。後場に、PMIの前月比上昇を好感した中国株高で上昇する場面も見られましたが、円高進行とともに、日経平均も大引けにかけて下げ幅を広げる展開となりました。米国のFOMCや中間選挙の結果を見極めたいとするムードは依然として強く、買いは手控えられました。
[テクニカル視点]
日経平均は、25日線、9日線の下に在ります。短期トレンドは赤信号が点灯しています。総合乖離率は-13.8%とマイナス幅が拡がりました。200日線との乖離率は-8.3%とマイナス幅が拡がりました。日経平均は一目均衡表の雲を下回りました。3つの要素がマイナスですので、中期的トレンドは赤信号が点灯しています。
また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の上に在りますが、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。
NYDowは、200日線、25日線の上に在り、9日線を上回りました。一目均衡表では雲の上に在ります。
NASDAQは、200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。米国市場の短期トレンドは黄信号から青信号に変りました。中期トレンドは青信号が点灯しています。
テクニカルな指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が17.3ポイント割安(弱い動き)であることを示しています。日本市場の割安幅は0.4ポイント拡がりました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、5月に改訂されたOECDの2010年予想実質GDP伸び率の日米差と7-9月期の決算を考慮した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が米国市場に比べ0.1ポイント割安となっています。
市場は現在、「米国の景気と雇用状況と金融規制の影響」、「欧州の財政赤字と景気後退の行方」や「中国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。FRBは2010年の実質GDP成長率見通しを下方修正し、米国の4-6月期のGDPは縮小ぎみです。一方、7-9月期の主要企業の決算発表内容は概ね好調です。経済指標では、10月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、9月のISM非製造業景況感指数、9月の製造業購買担当者景気指数、8月の米個人消費支出、9月のシカゴ購買部協会景気指数、8月の小売売上高、などは市場予想を上回りましたが、10月の消費者態度指数、9月米耐久財受注、10月のフィラデルフィア連銀製造業景気指数、9月の鉱工業生産指数、9月のISM製造業景気指数、などは予想以下となりました。8月の失業率は9.6%と増加したものの、雇用者数が事前予想以上となりました。一方、住宅関連では、9月の新築住宅販売件数は2か月連続のプラスとなり、10月の住宅市場指数が5ヶ月ぶりに前月比で上昇し、9月の中古住宅販売件数は予想以上でした。また、8月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年同月比で1.7%上昇したものの伸びが鈍化しました。8月の景気指標と住宅関連指標は弱い内容でしたが、9月、10月は改善傾向です。
ギリシャを初めとする欧州各国の財政赤字拡大が債務不履行懸念を生んでいましたが、ストレステスト通過により、欧州銀行の金融不安は落ち着いたようです。しかし、G20で2013年に財政赤字半減が宣言され、需要不足から世界景気の後退リスクが出てきたように、先進国の財政赤字に対する根本的な解決には時間が掛かりそうです。長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下で、FRBの低金利政策は継続されています。引き続き、金融機関間の金利、株価の推移や企業業績の推移に留意することが肝要です。
ちなみに、LIBORドル3ヶ月物金利の推移は10月27日 0.2884% → 10月28日 0.2869% → 10月29日 0.2859%と低下傾向です。ちなみに、急落前の05月03日の0.346%を下回っています。MAXは6月17日の0.5392%でした。
シティグループの株価は29日、変らずでした。(昨年1月高値7.59ドル・昨年3月安値1.02ドルに対し、現在4.17ドル)。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが15.4、PBRが1.06、ROEが6.9%となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの上昇にも関わらず下げました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-2.1%となり、日経平均は200円の割安で、割安幅がやや縮まりました。プレミアム値は、ここ一週間、-240円 ~ +0の間で推移しています。日本市場は、円高進行でドルベースでも米国市場より弱い動きが続いています。今夜の米国市場は、9月のコア・デフレータや、10月のISM製造業景気指数が注目されそうです。9-10月に発表された米国の経済指標は、追加金融緩和期待から、予想以下でも売り材料にはなりにくい状況が続いていていましたが、ここにきて変化が見られます。米国市場は中期上昇トレンドにありますが、短期トレンドは青信号の維持が微妙となりトレンドは横ばいになってきました。一方、日経平均は三角持ち合いを下離れ、冴えない動きとなっています。日経平均の上昇の為には、今後も円安への動きや米国市場の一段高などの支援材料が必要ですが、米国市場は高値圏でのもみ合い状態に在り、上昇が続くかどうか微妙な段階です。この先NYDowが25日線を割るか否かを注視することが必要です。ちなみに、現在の25日線乖離率は+1.0%で、まだ110ドル程度の余裕があります。日経平均の短期トレンドは赤信号が続いており、一目衡表の雲を下回りました。ボリンジャーバンドが拡がり始め、チャートとしては、一段と良くない形になっています。目先は弱気が支配しやすい環境ですが、9080円近辺が目先の抵抗ラインと考えられますので、下げ余地はそれほどなさそうです。騰落レシオやサイコロジカルラインが売られ過ぎを示すなど、その先の反転も近かそうですが、FOMCが転換点の第一候補と考えられます。
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