[市況]
5日のNYDowとNASDAQは小幅上昇しました。8日の日経平均先物は、前日比50円高で寄り付きました。前場は90円高まで上昇した後、上げ幅を縮める展開となりました。後場も前場と同程度の60円幅の動きとなり、最終的に70円高で終わりました。日経平均は106円高で引け、出来高は16.7億株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、125万株の買い越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅が拡大しました。個別銘柄に関しては「買い」が有利な状態です。
5日の米国市場では、10月の雇用統計で雇用者数が前月比で15.1万人増となり市場予想の6万人以上に増加し、前月分も上方修正されたことで、雇用情勢が回復しつつあるとの見方から買いがやや優勢となりました。FRBが近く自己資本比率の高い健全行に増配を認めるとの報道を受け、前日に買われたJPモルガン・チェースなど大手銀行株に買いが続いたことも相場を支えました。もっとも、NYDowはリーマン・ショック前の水準まで上昇しており、材料出尽くし感から利益を確定する動きも出て、相場は前日終値近辺でもみ合う場面が目立ちました。
8日の日本市場では、10月の米雇用統計改善を手掛かりに5日の米国市場が続伸したことや、円が81円台前半にやや下げたことも追い風に、輸出関連株を中心に買われました。ただ、前週末までの3営業日で計5%強の急ピッチな上昇で短期の過熱感も意識され、9700円台では戻り待ちの売りが上値を抑えました。
[テクニカル視点]
日経平均は、9日線、25日線の上に在りをます。短期トレンドは青信号が点灯しています。総合乖離率は-+4.7%とプラス幅が広がりました。200日線との乖離率は-2.2%とマイナス幅が縮まりました。日経平均は一目均衡表の雲の上に在ります。1つの要素がマイナスですので、中期的トレンドは黄信号が点灯しています。
また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線、25日線、9日線の上に在りをます。一目均衡表では雲の上に在ります。
NYDowは、200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。
NASDAQは、200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。米国市場の短期トレンドは青信号が点灯しています。中期トレンドは青信号が点灯しています。
テクニカルな指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が13.9ポイント割安(弱い動き)であることを示しています。日本市場の割安幅は1.1ポイント縮まりました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、5月に改訂されたOECDの2010年予想実質GDP伸び率の日米差と7-9月期の決算を考慮した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が米国市場に比べ0.2ポイント割高となっています。
市場は現在、「米国の景気と雇用状況と金融規制の影響」、「欧州の財政赤字と景気後退の行方」や「中国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。FRBは2011年6月末までに米国債6000億ドルを購入する追加金融緩和策を決めました。米国の7-9月期のGDPは年率で2.0%増加し、市場予想に一致しました。7-9月期の主要企業の決算発表内容は概ね好調です。経済指標では、10月のISM非製造業景況感指数、10月のISM製造業景況感指数、10月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、9月の製造業購買担当者景気指数、8月の米個人消費支出、9月のシカゴ購買部協会景気指数、8月の小売売上高、などは市場予想を上回りましたが、10月の消費者態度指数、9月の耐久財受注、10月のフィラデルフィア連銀製造業景気指数、9月の鉱工業生産指数、などは予想以下となりました。10月の雇用統計で失業率は9.6%と変化は無かったものの、雇用者数が前月比で15.1万人増となり市場予想の6万人増以上に増加しました。一方、住宅関連では、9月の新築住宅販売件数は2か月連続のプラスとなり、10月の住宅市場指数が5ヶ月ぶりに前月比で上昇し、9月の中古住宅販売件数は予想以上でした。また、8月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年同月比で1.7%上昇したものの伸びが鈍化しました。8月の景気指標と住宅関連指標は弱い内容でしたが、9月、10月、11月は改善傾向です。
ギリシャを初めとする欧州各国の財政赤字拡大が債務不履行懸念を生んでいましたが、ストレステスト通過により、欧州銀行の金融不安は落ち着いたようです。しかし、G20で2013年に財政赤字半減が宣言され、需要不足から世界景気の後退リスクが出てきたように、先進国の財政赤字に対する根本的な解決には時間が掛かりそうです。長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下で、FRBの低金利政策は継続されています。引き続き、金融機関間の金利、株価の推移や企業業績の推移に留意することが肝要です。
ちなみに、LIBORドル3ヶ月物金利の推移は11月03日 0.2859% → 11月04日 0.2856% → 11月05日 0.2856%と低下傾向です。ちなみに、急落前の05月03日の0.346%を下回っています。MAXは6月17日の0.5392%でした。
シティグループの株価は5日、上昇しました。(昨年1月高値7.59ドル・昨年3月安値1.02ドルに対し、現在4.49ドル)。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが15.5、PBRが1.12、ROEが7.1%となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの上昇率以上に上げました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+0.1%となり、日経平均は10円の割高で、割高に転換しました。プレミアム値は、ここ一週間、-260円 ~ +30の間で推移しています。日本市場は、円高一服でドルベースでは米国市場とほぼ均衡しています。今夜の米国市場は、重要な経済指標の発表はなさそうですので個別材料が注目されそうです。先週末は材料出尽くしと高値警戒感で揉み合う展開となりましたが、米国市場は短期・中期とも上昇トレンドの中にあります。一方、日経平均は中期トレンドが黄信号のままですが、短期トレンドが青信号となっています。日経平均の上昇の為には、今後も円安への動きや米国市場の一段高などの支援材料が必要です。目先の為替は円安方向に動きましたが、今回の米国の金融緩和で米国長期金利は低下し、金利差は縮まる傾向です。この傾向が続けば、円高傾向も続き、日本市場のブレーキとなりそうです。上昇エンジンはまだ片肺と考えておいた方が良さそうです。日経平均の今後を占う上で、日米金利差の推移が重要となりそうです。日経平均は節目のボリンジャーバンド+2σに到達しましたので、一服してもおかしくない水準ですが、為替か米国市場が支援材料となれば、200日線(現在9951円)までの上昇の可能性はありそうです。
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