[市況]
16日のNYDowとNASDAQは大幅下落しました。17日の日経平均先物は、前日比60円安で寄り付きました。前場は徐々に値を上げる動きとなりました。後場もさらに値を上げる展開となり、最終的に50円高で終わりました。日経平均は14円高で引け、出来高は15.4億株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、210万株の買い越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅が縮小しました。個別銘柄に関しては「買い」が有利な状態です。
16日の米国市場では、ドルがユーロなど主要通貨に対して買われ、商品相場の割安感が後退したことや。中国の金融引き締め懸念が強まったことで、資源需要の伸び悩みにつながるとの見方が出て商品相場や資源関連株が大幅に下落しました。また、欧州でアイルランドの財政悪化がユーロ圏の他の国にも波及するとの懸念が強まり欧州の主要株価指数が軒並み下落したことも株価の重荷になりました。
17日の日本市場では、欧米市場が大幅安となったこと嫌気し、朝方は利益確定売りが先行しました。商品相場の急落で資源・素材関連株を中心に軟調に推移しましたが、円相場が83円台前半で円安・ドル高方向に動いたことを手掛かりに、自動車・精密など輸出株が買われました。
[テクニカル視点]
日経平均は、9日線、25日線の上に在ります。短期トレンドは青信号が点灯しています。総合乖離率は+6.3%とプラス幅が拡がりました。200日線との乖離率は-1.1%とマイナス幅が縮まりました。日経平均は一目均衡表の雲の上に在ります。1つの要素がマイナスですので、中期的トレンドは黄信号が点灯しています。
また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線、25日線の上に在りますが、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。
NYDowは、200日線の上に在りますが、9日線の下に在り、25日線を下回りました。一目均衡表では雲の上に在ります。
NASDAQは、200日線の上に在りますが、9日線の下に在り、25日線を下回りました。一目均衡表では雲の上に在ります。米国市場の短期トレンドはら黄信号から赤信号に変わりました。中期トレンドは青信号が点灯しています。
テクニカルな指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が7.4ポイント割安(弱い動き)であることを示しています。日本市場の割安幅は2.2ポイント縮小しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、5月に改訂されたOECDの2010年予想実質GDP伸び率の日米差と7-9月期の決算を考慮した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が米国市場に比べ2.0ポイント割安となっています。
市場は現在、「米国の景気と雇用状況と金融規制の影響」、「欧州の財政赤字と景気後退の行方」や「中国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。FRBは2011年6月末までに米国債6000億ドルを購入する追加金融緩和策を決めました。米国の7-9月期のGDPは年率で2.0%増加し、市場予想に一致しました。7-9月期の主要企業の決算発表内容は概ね好調です。経済指標では、10月の小売売上高、10月のISM非製造業景況感指数、10月のISM製造業景況感指数、10月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、9月の製造業購買担当者景気指数、8月の米個人消費支出、9月のシカゴ購買部協会景気指数、などは市場予想を上回りましたが、10月の消費者態度指数、9月の耐久財受注、10月のフィラデルフィア連銀製造業景気指数、9月の鉱工業生産指数、などは予想以下となりました。10月の雇用統計で失業率は9.6%と変化は無かったものの、雇用者数が前月比で15.1万人増となり市場予想の6万人増以上に増加しました。一方、住宅関連では、9月の新築住宅販売件数は2か月連続のプラスとなり、10月の住宅市場指数が5ヶ月ぶりに前月比で上昇し、9月の中古住宅販売件数は予想以上でした。また、8月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年同月比で1.7%上昇したものの伸びが鈍化しました。8月の景気指標と住宅関連指標は弱い内容でしたが、9月、10月、11月は改善傾向です。
ギリシャを初めとする欧州各国の財政赤字拡大が債務不履行懸念を生んでいましたが、ストレステスト通過により、欧州銀行の金融不安は落ち着いたようです。しかし、G20で2013年に財政赤字半減が宣言され、需要不足から世界景気の後退リスクが出てきたように、先進国の財政赤字に対する根本的な解決には時間が掛かりそうです。長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下で、FRBの低金利政策は継続されていますが、中国の利上げが悪材料視されています。引き続き、金融機関間の金利、株価の推移や企業業績の推移に留意することが肝要です。
ちなみに、LIBORドル3ヶ月物金利の推移は11月12日 0.2844% → 11月15日 0.2844% → 11月16日 0.2844%と低下後横ばい傾向です。ちなみに、急落前の05月03日の0.346%を下回っています。MAXは6月17日の0.5392%でした。
シティグループの株価は16日、下落しました。(昨年1月高値7.59ドル・昨年3月安値1.02ドルに対し、現在4.22ドル)。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが15.0、PBRが1.12、ROEが7.5%となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの下落にも関わらず上げました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+2.3%となり、日経平均は220円の割高で、割高幅は拡がりました。プレミアム値は、ここ一週間、+40円 ~ +220の間で推移しています。日本市場は、円安推移で米国市場と比べて強い動きが拡大しました。米国市場はドル高と欧州市場安で株価は大幅下落しました。短期は下降トレンドとなりましたが、中期はまだ上昇トレンドの中にあります。今夜の米国市場は、10月の消費者物価指数や、10月の住宅着工件数などが注目されそうです。一方、日経平均の中期トレンドは横ばいのままですが、短期は上昇トレンドです。日経平均の上昇の為には、今後も円安への動きや米国市場の一段高などの支援材料が必要です。今日は日米長期金利差が少し縮小しましたが、目先の為替は円安ぎみに動きました。米国株安ながら円安が支援材料となり、今日の日経平均は最終的に高くなりました。米国の金融緩和でインフレ期待が出ると米国長期金利は上昇すると云う面もあり、今後も長期金利の動向は要注目です。長期金利上昇は米株安と成り易い面があり、中国の利上げがや欧州の財務問題が重なると、日本株にとってもマイナス材料ですが、一方、金利差が開き円安となればプラス材料です。日経平均の今後を占う上で、日米金利差の推移が引き続き重要です。ここしばらくは、好悪材料が日替わりで入り乱れ、日経平均は、まだまだ、神経質な動きが続きそうです。
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